■これまでのGM音源シリーズ
GM音源01 いにしえのGM音源
GM音源02 ピアノカテゴリー
GM音源03 クロマチック・パーカッション・カテゴリー
GM音源04 オルガン・カテゴリー
GM音源05 ギター・カテゴリー
GM音源06 ベース・カテゴリー
GM音源07 オーケストラ・カテゴリー
GM音源08 アンサンブル・カテゴリー
GM音源09 ブラス・カテゴリー
GM音源10 リード・カテゴリー
GM音源11 パイプ・カテゴリー
GM音源12 シンセリード・カテゴリー
GM音源13 シンセパッド・カテゴリー
GM音源14 シンセSFX・カテゴリー
GM音源15 エスニック・カテゴリー
このカテゴリーは、主に打楽器ですが、一部音程のある楽器もあります。 GM音源では広い音域で扱えてしまいますが、実際の楽器の音域は限られた範囲だったり、飛び飛びだったりします。 その楽器の扱える音程を把握することで、それらしく再現することができるようになります。
113 000 Tinkle Bell 音域 C4-C6
ハンドベルと言われることが多い楽器です。 ひとつのベルは1音程で、2オクターブ分ほどラインナップがあり、数人がベルを持ち替えながら演奏するスタイルが基本となります。 歴史は古く17世紀の教会生まれです。元々は教会の鐘であるカリヨンを演奏するための練習用だったようです。
114 000 Agogo Bells 音域 C4-C5
ラテン音楽に欠かせないアゴゴです。 大小の2個組、もしくは3個組となっています。音程感は希薄ですが、C5、F5のように4度差になっているものが多いようです。打ち込みで演奏する場合、4度差の2音だけ使うとそれらしくなります。 TTSの場合、全鍵盤に音が割り振られていて、メロディも演奏できるので、実際にはあり得ないメカニカルな演奏をしてみました。
115 000 Steel Drums 音域 C4-E6(テナー)
スティールパンとも呼ばれます。 写真のような形で、内側の特定の凹んだ面をマレットで叩くことで、特定の音程が出ます。金属的な響きがある癖のあるトーンで耳につきます。 1940年ぐらいにカリブ海の地域で誕生した楽器です。 ドラム缶を使って作られた打楽器で、音階があり、テナーパンの音域は2オクターブほどあります。 他にもいくつか種類があり、より低い音が出るスティールパンもあります。
楽器の構造は興味深く、理屈から作り出したというよりも、ドラム缶の凹んだところを叩いたら、たまたま音程が出ることを発見し、それが発展したように思われます。 薄板金属でないと、このような物理現象は生まれないので、近代ならではの楽器と言えます。 ただし金属は温度による伸縮が大きいため、チューニングへの影響は避けられません。 凹みの大きさで音程は決まりますが、並びが円形状に五度圏表のようになっています。 この楽器を使った曲としては、ディズニーの「Under the Sea」などが有名です。
Steel pan, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
116 ウッド
116 000 Wood Block
音程感は、ほとんどありません。写真のように2個セットになったようなものが多いです。 本物に近い音は以下の2音になります。これはドラムセットにあるウッドブロックの音でもあります。
F#4 | E5 |
ドラムセットの低いWood Block | ドラムセットの高いWood Block |
116 001 Castanet
日本では写真の教育用カスタネットをよく目にしますが、元々はスペインの民族楽器です。フラメンコでは踊り手が演奏も受け持ちます。音程感はありませんが、教育用だとC3当たりがそれっぽい音になります。
117 太鼓
117 000 Taiko Drum
和太鼓は西洋の太鼓とは音の傾向が違います。形状も明らかに違っていて樽型になっています。 西洋のものが行進で使える持ち運び可能な太鼓が多い中で、和太鼓は儀式用などで使われてきたためか、据置き型で、大きく重いものが多いです。見た目通りの重厚な響きがします。
Taiko drum, CC BY 2.0 (Wikipediaより引用)
117 001 Concert BD
オーケストラ用のバスドラム、グランカッサです。ドラムセットのバスドラムとは求められている音が違うため、一回り大きく、響きも随分と違って雷のような音がします。 オーケストラセットにもConcert BDはありますが、固定で1音しか使えません。実際のバスドラムのサイズは24、28、32、36インチなどがあり、音程感も違います。 下表はサイズごとに鍵盤に対応させてみました。ちょうど1オクターブ間隔で並んでいます。 さらにチューニングでピッチが変化しますので、鍵盤に割り当てることで、細かなピッチ調整にも対応できるようになっています。
C2 | C3 | C4 | C5 |
36インチ | 32インチ | 28インチ(ドラムセットOrchestraSetConcertBD1と同じ) | 24インチ |
118 タム
118 000 Melodic Tom 1
トムトムとも呼ばれているもので、ドラムセットにも組み込まれています。 多くのサイズがあり、組み合わせることで流れるようなフレーズを作り出すことができます。 写真のタムは大きい方から16、15、14、13、12、10、8、6インチとなっています。 タムにはピッチが割と明確にあるため調整する必要がありますが、調整幅が広く、サイズごとにピッチが決まっているわけではありません。 またTTSの場合、発音した後に数音ピッチが下がりますが、比較的落ち着いて減衰するところがあります。 下表ではTTSの鍵盤を弾いたとき、落ち着いた時のピークのピッチを書いておきました。鍵盤とピッチが合っていれば使いやすいように思うのですが結構違います。鍵盤2オクターブ差が、1オクターブ差の音になるようです。
C2 | G2 | C3 | G3 | C4 | G4 | C5 | G5 | C6 |
C1 | E1 | F#1 | Bb1 | C2 | E2 | F#2 | Bb2 | C3 |
118 001 Melo Tom 2
音色バリエーションですが、ピークがつかみにくく、音程感が希薄になっています。
119 シンセドラム
119 000 Synthesizer Drum
音が出た瞬間から急激にピッチが大きく下がるのが特徴のシンセドラムです。 アコースティックのタムも裏面を表面より高くチューニングすると、この傾向になりますが、シンセで極端に表現したことによって印象的なサウンドになった例です。 80年代初期は新鮮だったため、よく使われていましたが、特徴的過ぎたためか、その後敬遠され、あまり聞かなくなりました。 オリジナルサウンドはシモンズのエレクトリックドラムで、アナログシンセによる合成音で作られていました。 何よりも六角形のパッドはインパクトがありました。
Simmons SDS5 Electric Drum, CC BY-SA 2.5 (Wikipediaより引用)
119 001 808 Tom
1980年に発売されたRoland TR-808(通称やおや)に使われていたタムサウンドです。 TR-808はアナログシンセの技術をドラムマシン用に転用したもので、技術的にはシモンズに近いです。ただし、この808のタムはピッチが固定で下がりません。強烈な個性はありませんが、癖がそれほどないため、用途によっては使いやすいかもしれません。
Roland TR-808, CC BY-SA 2.0 (Wikipediaより引用)
119 002 Elec Perc
ドラムセットの中にもエレクトリックドラムがありますが、その音とは違う方向になっています。 音は明らかにスネアですが、重心が低く、パワーのある音です。鍵盤全体に配置されていますが、タムのようにメロディックなアプローチよりは、気に入ったピッチの音だけを普通のスネアとして使った方がよさそうです。
120 000 Reverse Cymbal
普通に叩いたシンバル音を逆再生したサウンドです。本物のシンバルを小刻みに叩きながら徐々に音を大きくするシンバルロール奏法に近いニュアンスになります。 テープの逆再生は60年代から使われているエンジニアテクニックで、ビートルズのアルバムで使われて有名になりました。 オーディオ的な加工のため、どこか不自然なところがあり、それが新鮮な印象を生み出しました。 シンバル逆再生は、癖が強すぎなかったためか、定番化したような印象すらあります。
動画ではA2、A3、A4、A5を弾いて順次鳴らしたものですが、ピッチだけでなく音の長さも違っているのが分かります。これは同じサンプル音をスピードを変えて再生しているため起きる現象です。2倍のスピードにすればピッチは1オクターブ上がり、再生時間は1/2になります。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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