■これまでのGM音源シリーズ
GM音源01 いにしえのGM音源
GM音源02 ピアノカテゴリー
GM音源03 クロマチック・パーカッション・カテゴリー
GM音源04 オルガン・カテゴリー
GM音源05 ギター・カテゴリー
GM音源06 ベース・カテゴリー
GM音源07 オーケストラ・カテゴリー
GM音源08 アンサンブル・カテゴリー
GM音源09 ブラス・カテゴリー
GM音源10 リード・カテゴリー
GM音源11 パイプ・カテゴリー
GM音源12 シンセリード・カテゴリー
GM音源13 シンセパッド・カテゴリー
GM音源14 シンセSFX・カテゴリー
このカテゴリーは、癖のある民族楽器揃いなので、打ち込みするにも、ある程度その楽器を知る必要があります。 弦楽器の場合は、チューニングと奏法から、その楽器のらしさが現れます。MIDIで打ち込む場合は、実際に演奏している動画などをよく観察するとよいと思います。
105 シタール
シタール(インド)エスニック系では割と知られた楽器です。 ただし、その構造は難解で、弦の数は20本程度あり、さまざまなバリエーションがあります。 さらに弾くための弦と、共鳴弦に分かれています。共鳴弦だけでも10本以上あります。 ネックをまたぐようにアーチ状のフレットが紐で取り付けられていて、さらに可動します。フレットの間隔は基本的にギターと同じように半音ですが、全音になっているところも何箇所かあります。 アーチ状のフレットの下には、なんと共鳴弦が張られています。とてもユニークな構造です。 下表は7本のメロディー弦のチューニングの一例です。当然他にも多くのチューニングが存在します。 また独特なビヨーンという響きは、弦とブリッジの接触によって起こっています。 メロディ弦ではベンドやビブラートを多用するため、打ち込みでは苦労する楽器です。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
F3 | C3 | G2 | C2 | G3 | C4 | C5 |

Sitar, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
105 000 Sitar 音域 C2-F5
標準的なシタール。
105 001 Sitar 2 音域 C2-F5
バリエーションで、明るめの音になります。
106 000 Banjo 音域 D3-C6
カントリーミュージックでは欠かせないバンジョー(アメリカ)です。太鼓のような皮の上にブリッジがある構造で、金属、ボルトなどを多用した近代的な作りになっています。構造的にギターよりも大きな音が出ますが、サスティーンがあまり伸びないため、細かなフレーズで演奏されることが多いです。 弦は5本張られていますが、なぜか5弦が仲間外れのように短く高い音です。開放弦で、すべての弦を鳴らすとGonDが鳴ります。奏法はピックを指に付けたフィンガー・ピッキングが主流で、アルペジオ主体で演奏されます。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
D4 | B3 | G3 | D3 | G4 |

107 000 Shamisen 音域 C3-G5
三味線(日本)は、名前の通り、弦が3本の楽器です。中国の三弦が沖縄に渡り三線となり、そこから本土に渡って三味線が生まれました。三味線のボディには猫や犬の皮が張られています。 一般的なチューニングは下表のようになっていますが、曲によって様々なチューニングが使われます。 演奏時に開放弦の音は、よく使うので、それを意識して打ち込むと三味線ぽく聞こえてきます。 ギターのようなフレットがないため、なめらかなスライドが可能で、打ち込みでは苦労するところです。 三味線は、三線と違って、独特の形状の撥(ばち)を使って演奏しますが、これは琵琶用の撥を用いたことから始まり、それが定着したようです。 基本的な弾き方は撥を使って弦を弾き、そのまま皮まで打ちます。そのため皮に当たったときのアタック音も重要になります。
日本の家屋は木造ということもあり、音響的にはあまり響かない環境です。三味線は、その中で培われてきた独特のトーンと言えるでしょう。三弦とも三線とも違う雰囲気があります。 そのためか、三味線に過剰なリバーブを掛けると、三味線とは思えない音になって違和感が出てきます。楽器の誕生には、その環境が大きく影響しているということです。 上記のバンジョーも、反響の少ない屋外での演奏を主目的としているためか、三味線と似た傾向を感じます。不思議と構造的にも近かったりします。生物の収斂(しゅうれん)進化に近いかもしれません。 ちなみに代表的な西洋楽器にリバーブを掛けて行くとゴージャスな響きになり、大抵はプラスに働きます。さらに過剰に掛けても意外と破綻しません。
1(3の糸) | 2(2の糸) | 3(1の糸) |
C4 | G3(F3) | C3 |

108 箏、琴
108 000 Koto 音域 G3-C6
和楽器である箏(こと)です。一般的に琴とも呼ばれますが、本来は弦の音程を調整する柱があるものを箏と呼びます。 中国から来た楽器ですが、長い年月をかけて、日本独自の仕様になったようです。 弦は13本張られてあり、平調子では下記のようにチューニングされています。マイナー4,7抜きのようなスケールです。 打ち込みの場合、弦楽器のチューニングは重要です。 特にハープのように多くの弦を持つ楽器は、グリッサンドで演奏されるため、なおさらです。 箏の場合、和音を弾きつつ、さらに1本だけベンドするようなテクニックもありますので、GM音源で再現するのは厄介ではあります。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
D4 | G3 | A3 | Bb3 | D4 | Eb4 | G4 | A4 | Bb4 | D5 | Eb5 | G5 | A5 |

108 001 Taisho Koto 音域 G2-Bb5
大正琴(日本)は、名前の通り大正元年に開発された楽器です。音楽初心者向けのお稽古楽器というのが一般的なイメージだと思われます。タイプライターのようなボタンで音程を決定し、ピックで弾くという独特のスタイルです。弦の数は5~6本と機種によって様々ですが、4本セットのメロディコースと1本のベース弦しかありません。チューニングは以下のようになっていますが、ベース弦だけは曲や流派によってチューニングを変えます。
演奏は1~4弦を一度に弾き、単音楽器のように演奏します。5弦は共鳴弦として扱われていて、基本的に弾くことはありません。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
G4 | G4 | G4 | G3 | G2(C3、D3) |

109 000 Kalimba
カリンバは両手の親指で、はじいて鳴らすアフリカ発祥の楽器です。構造はオルゴールに似ていますが、素朴な音がします。 両手で持って演奏することを前提としているので、一般的なカリンバの音域はとても狭く、使える音は特定のメジャースケール、もしくはペンタトニックとなっています。 動画では本来のカリンバから離れて自由に使ってみました。

110 000 Bag Pipe 音域 C2-F5
バグパイプは、ヨーロッパ生まれの特殊なリード(Reed)楽器です。リードを振動させるための空気を一度袋にためるところが他の管楽器では見られない構造といえます。この構造により、音を切らせることなく、出し続けたり、いくつかの音を同時に鳴らすことが可能になっています。

Bagpipe, CC-0 (Wikipediaより引用)
111 000 Fiddle 音域 G3-C7
フィドルは擦弦楽器を指す英語になりますが、主にヴァイオリン(イタリア語)のことを呼びます。このフィドルという呼び方をあえて使うのはカントリーミュージック等です。クラシックの正統派の演奏に対して、より民族的、大衆的な演奏で、そのスタイルによって呼び方が変わってくると言ってよいでしょう。GM音源のヴァイオリンはホールでの演奏をイメージした音になっていますが、フィドルは反響のあまりない屋外の雰囲気があります。

112 000 Shanai 音域 C3-C5
綴りが微妙に違いますが、インドのシェーナイ(Shehnai)だと思われます。オーボエに近いダブルリード楽器になります。実際の演奏はピッチの揺れが独特で、表現力も豊かです。特定の音だけをサンプリングしたGM音源では、雰囲気を似せるのが難しい音色です。動画では不安定なピッチにして真似をしてみましたが、どうにもなりませんでした。

Shehnai, CC BY 3.0 (Wikipediaより引用)
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