
前回、こちらの記事 でジャンクションボックスの役割とおすすめの機種を紹介しました。
この記事では、サウンドハウスで購入できる部品だけを使用して、ジャンクションボックスの自作にチャレンジします。読者のみなさまも「ちょっとやってみようかな?」くらいの気持ちで、ぜひ自作の世界に足を踏み入れてみてください。
ジャンクションボックスの自作に用意した部品と工具
部品代は3,000円未満!お手頃価格でジャンクションボックスが作れる

自作するジャンクションボックスは、TS(モノラルフォン)とTRS(ステレオフォン)を片側ふたつずつ、計4本のケーブルが挿せる仕様に決めました。用意した部品とサウンドハウスでの販売価格は次の通り。
部品 | 数量 | 税込価格 |
---|---|---|
TAKACHI TD9-12-4N |
1個 | 1,397円 |
NEUTRIK NMJ2HF-S |
4個 | 480円(120円 / 個) |
NEUTRIK NMJ6HC-S |
4個 | 800円(200円 / 個) |
MOGAMI 2534(切り売り) |
1m | 240円 |
※税込価格は記事執筆時点のもの
部品代の合計は、税込2,917円でした。
自作のために用意した工具

上の画像は、今回ジャンクションボックスの自作のために用意した工具を並べたものです。工具と用途を下記にまとめました。
工具 | 用途 |
---|---|
テスター | 導通確認 |
はんだこて一式 (はんだ、こて、こて台、クリーナー) |
はんだ付け |
電動ドリル | アルミダイキャストケースへの穴あけ |
ドリル、ステップドリル ※ともに鉄工用 |
電動ドリルで開けた穴の拡大 |
レンチ | ジャックのナットを締める |
プラスドライバー | 蓋のネジを締める |
センターポンチ | 穴あけする箇所の中心を凹ませる |
プラスチックハンマー | センターポンチを打ち付ける |
ワイヤーストリッパー | ケーブルの被覆剥き |
ケーブルカッター | ケーブルの切断 |
定規、ボールペン、マスキングテープ | 穴あけ箇所の下書き |
「ワイヤーストリッパーはカッターで」、「ボールペンとマステの代わりにシャーペンと消しゴムで」など、手持ちのもので代用できる工具は意外とあります。まずは、無理のない範囲で必要なものを揃えてみてください。
意外と簡単!?ジャンクションボックスの作り方
01 線材を用意する

今回はアイデアの一例として、マイクケーブルでおなじみの「MOGAMI/2534」を分解して、ジャンクションボックス用の線材を用意してみました。
2534は“4芯線+シールド構造”のケーブルです。表面の被覆に対して縦に切れ込みを入れると、中から線材を引き出せます。2本ずつある透明と青の線材は、ジャンクションボックス内の配線に使用するのに十分な品質です。

ジャンクションボックスの自作に使用する線材を用意できました。実際に触ってみると、やわらかくて扱いやすそうな印象です。

カッターやワイヤーストリッパーで、線材の先端部分の被覆を5mm程度剥いておきます。
02 アルミダイキャストケースの穴あけ位置を下書きする

アルミダイキャストケース(以下、ケース)の穴あけ位置を決めて下書きをします。
注意点は、ケースの4隅に蓋用のネジ穴が開いていること。ネジ穴の部分を省いて長さを計測し、ジャック4個分の“部屋”を均等な大きさで作ります。

ケースの蓋を外し、穴をあける面にマスキングテープを貼ったら、ボールペンと定規を使って穴あけ位置に下書きをします。上の画像を参考に、順番に線を引いて各部屋に“✕印”を作るのがおすすめ。穴あけ作業がしやすくなります。

下書きをしたら、次はいよいよ穴あけ作業です!
03 ドリルを使ってケースに穴をあける

作業2で描いた“✕印”の中心を、センターポンチで軽く凹ませます。地味ですが、とっても大切な作業です。このひと手間で、電動ドリルを使った際にドリルの刃が滑らず、狙った位置に正確に穴をあけられるようになります。

センターポンチで凹ませた位置に電動ドリルで小さな穴をあけたら、ステップドリルでジャックが入るサイズになるまで少しずつ穴を広げていきます。穴を大きくしすぎないよう、ゆっくり慎重に作業しましょう。

穴があいたら、ジャックを取り付けます。破損の原因になるため、レンチでナットを締めすぎないようにご注意ください。
04 はんだ付けでジャック間を繋ぐ

はんだ付けをする箇所には、あらかじめ「予備はんだ」をしておきましょう。
その後、ジャックの端子と線材を対角線上にはんだ付けします。プラスチックパーツや被覆が熱で変形しないよう、できるだけ手早く作業するのがポイントです。

はんだ付けが完了しました!
05 テスターで導通を確認する

ジャンクションボックスにシールドケーブルを挿し、テスターの“導通確認モード”で電気が正常に流れるかをチェックします。テスターから「ピッ」と音が鳴ればOK!導通に問題がなければ、ジャンクションボックスの完成です。
06 【番外編】シールを作ってオリジナリティを出す

今回用意したのが、はがきサイズの「A-one / 手作りステッカー(メタリックゴールドタイプ)」。自宅のプリンターでキレイなステッカーが作れる便利なアイテムです。シンプルな白地からカードダス風のキラキラ仕様まで、いろいろなタイプが販売されています。

シールのデザインはフォトショップで作りました。

デザインができたら、まずは普通用紙に印刷して、文字の位置やイラストの大きさを確認します。デザインを微調整し、完成したシールを貼り付けたのがこちら!

ほどよいチープ感がかわいらしくて最高!
実は、シールをまっすぐ貼るのがジャンクションボックス作りで一番緊張しました……。
ジャンクションボックスの自作にチャレンジしてみて!
ジャンクションボックスを自作する最大の魅力は、自分のエフェクターボードのサイズやシステムにぴったり合ったものを確実に手に入れられること。作るのもそれほど難しくはありません。エフェクターの自作に興味がある方は、最初の1台としてジャンクションボックスを候補にしてみてはいかがでしょうか?
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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