おうち時間が増える中、自宅でアナログレコードを聴きたいという方からの機材のご相談を多数いただいております。『必要な機材はどれ?』 『レコードプレーヤーはどんなものがおすすめ?』そんな疑問やご質問にお答えしていこうかと思います。
今回のテーマは「フォノイコライザー」について。
今さら人に聞けない「フォノイコライザー」の基本や使い方について解説していきます。

【レコードプレーヤーをスピーカーにつないだけれど音が出ない!】
年代物のレコードプレーヤーを引っ張り出してスピーカーに繋いでみたものの音が鳴らない…。音が小さすぎてほとんど聴こえない…。時々こういったご質問を頂くことがあります。こんな時、まずは『フォノイコライザーの機能を正しく使用しているか?』というのをチェックしてみましょう。
フォノイコライザーはアナログレコードを再生する時に必要な機能
フォノイコライザーとは?どんな役割をしているものなのでしょうか?
フォノイコライザーの役割は大きく分けると2つ。『レコードに記録された溝から拾った音の出力レベルを上げる』という役割と、『レコードに記録された音を本来の音に復元する』という役割をしています。「フォノアンプ」と呼ばれたり、「フォノイコ」と略されたりすることもありますが、基本的には同じものを指していると考えていただいて問題ありません。
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「フォノイコライザー」の存在自体をご存じない方や耳にしたことがない方がいらっしゃるのも無理はありません。最近のオーディオ・リスニング向けレコードプレーヤーには安価なモデルであってもフォノイコライザー機能が内蔵されている機種が多くあります。また、DJ向けのミキサーも多くの場合はフォノイコライザー機能を搭載しており、わざわざ「フォノイコライザー」単体で用意しなくてはいけないという場面は、ひと昔前に比べると少なくなったという側面もあります。
『せっかく「フォノイコライザー」を買ったのに、使わなくてもレコード聴けちゃうじゃないの!?』と後悔しない為にも、フォノイコライザーを別途用意しなくてはいけないのかを確認する方法をご紹介いたします。
【フォノイコライザーは必要 or 不要?〈見極めの法則〉】
① ターンテーブル(レコードプレーヤー)のアウトプット信号が「PHONO(フォノ)」出力のみの場合
お使いのターンテーブルから音声信号出力のRCAケーブル(通称:赤白ケーブル)が出ているかと思います。ケーブルの根元やターンテーブルの仕様書などをご確認いただければ、出力信号がPHONO出力かどうか記載されているはずです。
Pioneer DJのPLX-1000の側面をみると「PHONO OUT」と書かれた入力端子があります。

SL-1200シリーズの最新モデル、SL-1200MK7背面にPHONO入力端子があるのを確認できます。

【記載が見つからない場合のワンポイントアドバイス】
PHONO出力 / LINE出力の記載が見つからない場合は「ターンテーブルからアース線が伸びているorアース線をつなぐ端子があるか?」を確認しましょう。アース線があれば、そのターンテーブルはまず間違いなくPHONO出力に対応しています。
PLX-1000の場合、PHONO端子のすぐ隣にある「SIGNAL GND」という箇所がアース線をつなぐ端子です。

このアース線とは、不要な電気を外部に逃がすためのケーブルのことを指し、ケーブルの両端にはU字型の金具が取り付けられています。フォノ出力された信号というのはLINEレベルの信号に比べて非常に小さいため、ターンテーブル本体の電源ノイズからも影響を受けやすいという特徴があります。アース接続を正しく行えていないと、音を出した際に「ブーン」というハムノイズが出てしまう要因となります。ターンテーブルから伸びているアース線をフォノイコライザー、あるいはDJミキサーのグランド(GND)端子にしっかりと接続してあげましょう。
ターンテーブル(レコードプレーヤー)のアウトプット信号が「PHONO(フォノ)」出力のみの場合
⇒フォノイコライザーを併用する必要があります。
世界中のDJから人気のTechnics(テクニクス) / SL-1200シリーズなど、基本的にはPHONO出力のみ対応です。一方、同じTechnicsでもSL-1500Cはターンテーブルにフォノイコライザー機能を搭載しており、PHONO出力 / LINE出力の切り替えが可能です。
このようにターンテーブルによってはPHONO出力 / LINE出力を切り替えることができる機種もありますので、お手持ちのターンテーブルをしっかりとご確認ください。
【PHONO / LINE出力 切り替え可能なターンテーブルの例】
② DJミキサーの入力端子側に「PHONO(フォノ)」と記載がある場合
DJ用途で使用する方はもちろん、オーディオ・リスニング用途でALLEN&HEATH / Xone:23CなどDAコンバーターとしても使えるDJミキサーに接続する場合、フォノイコライザーは必要となるのでしょうか?
この場合はDJミキサー側の入力端子周りを確認してみましょう。

こちらはALLEN&HEATH / Xone:23Cの背面の写真です。赤色四角の目印を付けた箇所をご覧ください。RCA端子の接続箇所の上に「PHONO」と記載していることが確認できます。このようにDJミキサー側に「PHONO」の記載がある場合はフォノイコライザーの機能が備わっているため、ターンテーブルから出力してきたPHONO信号をそのままDJミキサーに接続して問題ありません。
DJミキサーの入力端子側に「PHONO(フォノ)」と記載がある場合
⇒フォノイコライザーは必要ありません。
ちなみにですが、青色四角の目印を付けた箇所(写真右側)はグランド(GND)端子です。ひとつ前の項でご紹介したアース線を接続する箇所になります。ターンテーブル同様に、アース線に対応しているかどうかという点もPHONO入力に対応しているかを判断するポイントになります。
見極め方法の簡単なまとめですが、ターンテーブル側かミキサーやオーディオコンポなどの入力側かフォノイコライザーが備わっている場合はフォノイコライザーを別で用意する必要はありません。すでにターンテーブルやオーディオ機器をお持ちの方は、上記ご紹介の方法でフォノイコライザーが必要かどうかを確認してみましょう。
フォノイコライザー&フォノイコライザーとして使えるおすすめ機材
- audio technica / AT-PEQ20
- audio technica / AT-PEQ30
- RADIAL / J33 フォノアンプ搭載ダイレクトボックス
- ALLEN&HEATH / Xone:23C
ここまでお読みいただければ、お使いのレコードプレーヤーにフォノイコライザー(フォノアンプ)が必要かどうか、確認いただけることかと思います。
さて、必要かどうかは分かるとして、なぜ必要なのでしょうか?そして、フォノイコライザー(フォノアンプ)はどのような役割を果たしているのでしょうか?レコードから音が出る仕組みなどを交えて、次回ご紹介していきます。