サイモン&ガーファンクル最終回 パートⅥ
今回は1981年にニューヨークのセントラルパークで行われたサイモン&ガーファンクルの再結成コンサート。これを最後にサイモン&ガーファンクルは最終回となります。
コンサートに参加した2人のキーボーディストの演奏などから彼らの音楽を検証します。
サイモン&ガーファンクル 歴史的な再結成!
サイモン&ガーファンクルの再結成は1981年9月19日にニューヨークのセントラルパークで行われた。コンサート会場であるセントラルパークには53万人もの聴衆が集まった。
2人のリユニオン(再結成)は噂がたち、立ち消えになってはまた…という繰り返しだった。それだけ、リスナーはサイモン&ガーファンクルのリユニオンを望んでいたといえる。音楽家は一筋縄ではいかない人が多いので彼らの場合もなかなか難しかったのではないかという想像は付く。
この歴史的リユニオンを記録したコンサートは2枚組でレコード化され大ベストセラーとなった。一方このコンサートはテレビ放送もされ、全米の話題をさらった。このチャリティ・コンサートはセントラルパークの公園緑化運動に協力するもので、売り上げの半分はこの運動に寄付されるとポール・サイモンが現場でコメントしている。
私がセントラルパークの映像を見たのはレーザーディスクを購入直後だった。先日、某国営放送でこの模様をレストア(修復)されたものが放送され、それを久しぶりに観た。
レストアされた映像は当然、16:9の横長サイズではなく、4:3ではあったが映像的には見やすく各ミュージシャンの表情も良く分かった。
今回の鍵盤狂漂流記はライブ映像から見える2人の音楽とピアニスト、リチャード・ティーやシンセサイザー奏者として参加しているロブ・マウンジーのキーボードプレイなどを交えながらサイモン&ガーファンクルの音楽を映像的に考えていく。
■ 推薦アルバム:サイモン&ガーファンクル『セントラルパーク・コンサート』

このライブの印象はまず、サイモン&ガーファンクルの歌唱とハーモニーの素晴らしさ。時にはソロ、時にはユニゾン、そしてハーモニー。ハーモニーはアートが上を歌うだけではなく、2人のハーモニーが逆になったり、元に戻ったりとかなり複雑なハーモニーがデザインされている。CDを聴いていると耳の悪い私はどちらが何処を歌っているのかが分からなくなる。そこまで厳密にサイモン&ガーファンクルの音楽を聴く人もいないとは思うが、ライブ映像を見るとそれがよく分かる。
また、彼らの歌唱もさることながら、彼らのバックを務めるのはデイブ・ブラウン(g)、ピート・カー(g)、アンソニー・ジャクソン(b)、グラディ・テイト(ds)、スティーブ・ガッド(ds)、リチャード・ティー(P)、ロブ・マウンジー(syn)、ジョン・エッカート(tp)、ジョン・ガッチェン(tp)、デイブ・トファニー(sax)、ジェリー・ナイウッド(sax)といったニューヨークを代表するミュージシャンが名を連ねている。
そしてセットリストはS&Gの重要曲が揃う。オリジナルトラックとどう違うのか、どうアレンジされているのかなどを聴くのも大きな楽しみの1つ。
推薦曲:「ミセス・ロビンソン」
黒いオベーションのエレアコギターを持ってポール・サイモンとアート・ガーファンクルが登場する。ポール・サイモンのギターカッティングから曲が始まり、イントロのスキャット部分は無く、歌から入る。腕利きのバンドメンバーの顔もクローズアップされる。
シンセサイザー、プロフェット5をプレイするのはロブ・マウンジー。ロブもニューヨークのファーストコールミュージシャンの1人。ジョー・クールというバンドで来日した際、私は彼のプレイを聴いている。とても洗練されたプレイをするキーボーディストだ。マイケル・フランクスのプロデュースも数枚手掛けている。絵面ではロブがプロフェット5をプレイしているが分かるのだが、一体何を弾いているのかはさっぱり分からない(笑)。
推薦曲:「スカボロ・フェアー」
ポール・サイモンの変則アルペジオから始まる。サイモン&ガーファンクルの重要曲。ここでロブ・マウンジーのプロフェット5の音が初めて分る。ポールのアルペジオと2人の歌唱がベースの曲なので最初は他の音は入ってこない。でも、それだけでは音が薄くなってしまう。ロブが何をしているかというと2人のバックでパッドを白玉で弾いている。ロブのプロフェット5の音に耳を凝らすとモワ~っとした滲むようなパッドの音(霧のような音)が聴こえる。
このパッド音こそがプロフェット5の得意とする音で坂本龍一さんをはじめ多くのキーボーディストが好んで使っている音だ。曲の後半ではベルの音が混じったパッド音に変わる。実際のスカボロ・フェアーにはチェンバロの音がバッキングで使われているが、そのチェンバロを想起させる。この音がスカボロ・フェアーとベストマッチで楽曲のムードを高める演出をしている。
Cf)プロフェット5に関しては鍵盤狂漂流記その17、18をご覧下さい。

シーケンシャルサーキット プロフェット5
推薦曲:「アメリカ」
リチャード・ティーのフェンダー・ローズピアノにエレクトロ・ハーモニクスのフェイザー「スモールストーン」が掛けたティーお得意の音から「アメリカ」は始まる。オリジナルスタジオ盤ではスキャットから始まる名曲だが、ティーのローズはその印象を壊すことは無い。
この楽曲映像で印象的なシーンがある。間奏キメ部分でポールがギタリスト、ピート・カーと目を合わせながら弾くところで、ピート・カーの弾くアコースティックギター(オベイションのアダマス)のキメがズレる部分がある。メンバーの皆さんも張り切って弾いていて、つい力余って…という感じ。後方でベースを弾くアンソニー・ジャクソンが苦笑いしているのが微笑ましい。
2人の歌唱は1コーラス目がユニゾン、2コーラス目から2人のコーラスがアメーバーの様に入れ替わり立ち代わり、変化していく様が見て取れる。この辺りがまさにサイモン&ガーファンクルの真骨頂であると感じる。
推薦曲:「明日に架ける橋」
リチャード・ティーが弾くヤマハエレクトリックグランドピアノCP-80から「明日に架ける橋」は始まる。アウトドアということもあり、ハウリングや雨対策などの問題からこのピアノが選択されたのであろう。ティーといえば生ピアノなのだが、当時の技術では野外での生ピアノの選択は難しかったのだと思う。
「明日に架ける橋」はピアニスト、ラリー・ネクテルの名演で知られているが、リチャード・ティーのピアノは当然、ラリー・ネクテルのそれと比べると黒っぽい。2009年のライブではニューヨークの腕利きピアニスト、ウォーレン・バーンハートが「明日に架ける橋」を弾いているが、こちらの方がオリジナルに近い。
この曲ではポール・サイモンが歌わず、原曲通りにアート・ガーファンクルが1人で歌いきっている。
推薦曲:「恋人と別れる50の方法」
あのドラムから始まるあのイントロが素晴らしい。このコンサートでは特にスティーブ・ガットの気迫がビシビシと伝わってくる。
推薦曲:「ボクサー」
イントロから歌が始まる。4小節を2人が歌ったところでアートがオリジナル通り歌うとポールは歌わない。このシーンは別のライブを検証したところ4小節歌ったところで1小節空けて2人が歌っている。アートは間違えてオリジナル通りに歌ってしまったことが考えられる。ポールはアートを見て1小節空けて2人の歌唱が揃うというハプニングがある。ボクサーはオリジナル曲とは異なる歌詞が4コーラス目に挿入されている。
今回取り上げたミュージシャン、アルバム、推薦曲
- アーティスト:サイモン&ガーファンクル、リチャード・ティー、ロブ・マウンジー、スティーブ・ガット、アンソニー・ジャクソン、ピート・カーなど
- アルバム:「セントラルパーク・コンサート」
- 曲名:「ミセス・ロビンソン」「スカボロ・フェアー」「アメリカ」「明日に架ける橋」「恋人と別れる50の方法」「ボクサー」
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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