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コアキシャルケーブルとRCAケーブルの違い

2023-05-09

テーマ:実録 ! サービスマン日記, PA

コアキシャルケーブルとRCAケーブルって何が違うのでしょう。
同じ同軸ケーブルであり、場合によってはそれらを差し替えて使うことはできるのでしょうか?
それぞれのケーブルの違いについて考えていきます。

まずは、それぞれの外見を確認しましょう。

■ RCAケーブル

上記2つの画像のような外見の場合が多いです。端子部分は色分けされています。
一般的に、“アナログ”のステレオアンバランスのオーディオ信号、映像信号を伝送する際に使うケースが多く、白:L信号、赤:R信号、黄:映像信号というのが、一般的な認識ではないでしょうか。

次に

■ コアキシャルケーブル

上記画像のように、RCAケーブルとは違い、端子部分に色分けはありません。
プラグ部分は金属製で、ケーブル自体は一定の太さがあります。

ケーブルを輪切りにした際のケーブル断面はどうでしょうか。

どちらも1芯の同軸ケーブルですので、上図のように同じような断面になります。外側に保護シールド(被覆)、内側に信号伝送用の中心導体(芯線)があるケーブルです。
外見だけでは、あまり違いがありません。なので、互換性があるように思っても仕方がありません。ではその違いは、何でしょうか。

決定的な違いは、“特性インピーダンス”と呼ばれるものです。

「RCAケーブル」は、特性インピーダンスが定まっていません。ですので、言わばアバウトに作られているケーブルです。
反対に「コアキシャルケーブル」は、特性インピーダンスを一定にするよう正確に作られています。
特性インピーダンスが一定であることで得られるメリットは以下のとおりです。

  • 信号ノイズの影響がない
  • 長距離伝送で信号品質が低下しない
  • 高周波信号伝送において、反射等の影響がない

しかしながら、一般的な家庭用オーディオ/ビデオ機器であれば、「RCAケーブル」でも十分な品質の伝送が可能です。さらに「コアキシャルケーブル」よりも手軽に入手できるため、代替として使用することもできます。

それでは、「コアキシャルケーブル」でないといけない場面はあるのでしょうか?
特性インピーダンスが一定であることのメリットで、高周波信号伝送の話をしました。
デジタル信号がそれに値します。つまり、デジタル信号のやりとりは、「コアキシャルケーブル」でないといけません。

下記のようにDIGITAL OUTPUT(COAXIAL)等の表示が機器にしてある場合は「コアキシャルケーブル」を使う必要があります。

また、ミキサーやオーディオインターフェースで、WORDCLOCK端子を使用する場合も同様に「コアキシャルケーブル」でなければなりません。実はコアキシャルケーブルの特性インピーダンスには“50Ω”と“75Ω”が存在します。WORDCLOCK端子には75Ωと表示されていることがほとんどで、“75Ω”のコアキシャルケーブルを使用します。表示していない場合でも“75Ω”を使用しておけば問題ありません。

最後に、特性インピーダンスの話を少し。

50Ωと75Ωが存在するという話をしましたが、特性インピーダンスはなぜ75Ωや50Ωといった値が使われているのでしょうか。同軸ケーブルで75Ωがポピュラーな理由は、1960年代に用いられていた代表的なアンテナの出力インピーダンスに合わせたためです。それが現在でも、続いています。

50Ωの同軸ケーブルについては、簡単に説明すると、ポリエチレン(比誘電率は2.2)を絶縁層に用いた同軸ケーブルにおいて、表皮効果による損失を最少に抑える特性インピーダンスが51.1Ωだからと言われています。また当時の技術者が、覚えやすいように端数を切って50Ωという値を使っていたと言われています。

これは過去の様々な実験・研究から、実現可能な範囲において、『絶縁層に有利な素材はXX、最小損失の数値はXX』と決まってきた結果、この50Ωにたどり着いたという、いわば人類の発明的な数値なのです。

RCAケーブルとコアキシャルケーブルは違うもので、用途によって使い分ける必要があります。少しでも参考になれば幸いです。

技術サポート / 堀江 司

社会人経験を経て、ESPギタークラフトアカデミー卒業後、楽器音響業界へ。音響機器修理エンジニア就いて10年。PA音響機器の修理を中心に数多く携わってきました。年々修理分野の幅を広げ、現場で培ってきた知識・経験・技術を土台に、時代とともに変化する新しい技術や製品へ対応すべく歩み続けています。主にJBL、QSC、BEHRINGER、SUMMITAUDIOを中心とした音響機器の修理に従事。電源機器の修理サポートも行っています。第2種電気工事士資格保有。

 
 
 
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