ギターを弾いていればシールドケーブルを自作したいと思う人は多いと思います。ネットで検索しても色んな記事も出てくるので実際にチャレンジした人も多いでしょう。
サウンドハウスでも動画やブログ記事などをいくつか掲載しています。
しかし、いざやってみよう!と思っても『はんだやらはんだごての種類やら、ケーブルも色々あるしプラグも色々あり過ぎる!』と迷うことも。挫折した人や、いざやってみても難しくて諦めてしまった人も多いかと思います。
というわけで今回は、そんな挫折を経験した人、はんだごては中学校の授業で触ったきりという人に向けて、シールドケーブルの作り方を解説します。この記事をきっかけに、シールド作りの第一歩、はんだ付けの第一歩を踏み出してみましょう!
私自身の経験や迷いやすい点などもご紹介すると長くなってしまうので、今回は準備編として必要な材料と道具をご紹介します。
何はともあれ必要なのは材料と道具です。
『種類が多過ぎてどれを選んだらよいかわからない!』と、まずつまずいてしまいがちなのがこのポイントです。
今回はひとまずこれを買っておけば間違いはない!というものをご紹介していきます。
今回はMOGAMIの2524とスイッチクラフトのジャックを使用します。
モガミの2524はここ最近の定番で、音もよく加工もしやすい、値段も手ごろと3拍子そろっています。
ケーブルも探せばありとあらゆるケーブルが出てきますが、何を買うか迷っているならこれにしてください。最初からあれやこれやと手を出さずに、まずはこれで慣れましょう。
大体の場合ケーブルは1m単位で販売されているので10mくらい買いましょう、10mなんて長いシールド作らないよ!って思った方もいるかもしれませんがひとまず10m。理由は後述。
プラグはド定番のスイッチクラフトを今回は使用します。
SWITCHCRAFT ( スイッチクラフト ) / 280
SWITCHCRAFT ( スイッチクラフト ) / 226
280はストレート型、226はL字型です。
初めてケーブルを作成しようと思った方がみんなここで思うこと『プラグって高くない?』
そう、ギターシールドはケーブルよりプラグにお金がかかりますので今回は280と226
それぞれ各1など計2~4個、好きな方を買いましょう。
そのうえで、
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / P12 モノラルフォンプラグ
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / P12R L型フォンプラグ
このコネクターも6~10個ほど買いましょう。
先にケーブルを10m買いましょうと書いたのは、ひとまずはCLASSIC PROのプラグを使って練習もかねて何本か作ってみる必要があるからです。
今回のブログは、はんだ付け初心者に向けて書いていますのでまず言えることは、『最初は絶対に失敗する』ということです。最初からスイッチクラフトのプラグを使用して失敗してしまってはショックが大きく、やる気がなくなってしまいかねません。値段の安いプラグで練習したうえでスイッチクラフトのプラグを使用した方がよいでしょう。基本的な構造は同じですので短めのシールドケーブルなどを3~4本は作るつもりで購入してください。
こう書くとCLASSIC PROのプラグは練習用なのか?みたいな気がしますがそんなことはないです。筆者はスイッチクラフトやG&Hなどのプラグを好んで使用していますが、パッチケーブルなどにはCLASSIC PROのプラグも使用します。
材料最後ははんだです。
ひと口に「はんだ」といっても、ホームセンターなどに行けば色々な種類がありどれを選べばよいか迷うというもの。(画像は筆者が普段使用している物)基本的にはどれでも使用できるのですが、あえて言うと『鉛フリー』や『無鉛』と書かれているものは選ばない方がよいです、はんだの溶ける沸点が高くはんだづけが難しいです。はんだ付け上級者でも特別な理由がない限り鉛フリーのはんだは使用しません。
また選ぶポイントとしては太さにバリエーションがあります、精密機器用のはんだは径が細くなっています。ケーブル製作には0.8mm~1.5mmあたりが妥当なところです。
はんだはまとめ売りが基本なので、割といい値段をしますが、定番のケスター44を短く切ってパッケージされた製品もあるのでひとまずこの辺りを2つほど購入するとよいでしょう。
MONTREUX ( モントルー ) / Kester 44 1.5m [1475]
FERNANDES ( フェルナンデス ) / NEW KESTER 44 1m
はんだによって音も変わるなんてことも言われるよう、ゆくゆくは色んなはんだを試してお気に入りを見つけるのもよいかも知れません。
基本的な材料はケーブルとプラグ、はんだのみです。人によって付属の絶縁用ストロー(透明な筒状のやつ)を使用せず収縮チューブを使用する人も多いですが今回はあえて使用しません。
そして道具ですが、まずはんだごて。 これもホームセンターなどで色々な種類があります。画像は筆者が使用しているHAKKOの20W/130Wの切り替えスイッチの付いたタイプです(ケーブル製作ではスイッチは全く使用しません)。
W数の大きい方が温度は熱くなるわけですが、熱ければよいというわけでもなく、熱くなりすぎて部品を壊してしまう場合もあります。個人的には、ケーブル製作に使用するなら20W~30Wほどがよいと思います。これまで色々なはんだ付け上級者にお会いすることがありましたが、割と皆さん普通のはんだごてを使用している人が多い印象です。はんだごては消耗品なこともあり、よく使用する人なら2~3年くらいで壊れて買い換えていたりします。電源を切り忘れて一晩放置していたらあくる日に調子が悪くなってしまったなんて経験もあります(火災の原因になるので気を付けましょう!!)。はんだごて台も併せて購入しておきましょう。
つづいて絶対に必要な道具はカッター、ニッパー、ラジオペンチといったところ。このあたりは既に持っている方も多いかと。ケーブルの長さを図るためのメジャーも必要です。
ひとまずは100均のでもよいので揃えましょう。
あると便利な物としてはワイヤーストリッパーや先の細いニッパーなども筆者は愛用しています。この辺は100均などでは売っているのを見たことがなく値段が激安なものはあまりないので、必要と感じてからでもよいかと思います。
はんだ付けをやり直したい時などにははんだ吸引の道具が必要になります。
こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事『はんだ除去 徹底比較 ― 技術スタッフ愛用機材を紹介』
はんだ付けの際にプラグを固定する何かしらの器具はあった方がよいです、画像左のようなバイスは何かと便利ですが、いきなりこれを買うのも予算がかさみます。そんな時は100均で大きい洗濯ばさみを買いましょう。今回は洗濯ばさみで挑戦してみます。(ストレート型のプラグにはハマりがよかったのですが、L型にはうまく使えなかったのでL型プラグはんだ付け解説編までに何か探してみます、ストレート型のプラグならクリップなどでも割と固定できます)
筆者自身は自作したエフェクターをばらしたりして余っていたケースにダメになったジャックを取り付けたものを固定台にしています。ジャック交換して余っている元のジャックなどが手元にある人は何か適当なケースに穴をあけて取り付けて作っておくと今後便利です。
エフェクターのジャックに挿して固定するというやり方もありますが、はんだ付けしている最中のプラグは高温になりエフェクターの故障につながりかねません。上記の方法や別の固定デバイスを使用するなどを検討しましょう。
その他に、はんだが乗りにくい時にその面を少し削るための紙やすり(1000番くらい)、収縮チューブを使う場合はライターなど色々と必要になるものはあります。
また安い物でもいいのでテスター(マルチメーター)を買っておくのもよいです。ケーブルテスターという製品もあるのでその手の物を買ってみるのもアリです。
というわけで以上、準備編でした。シールドケーブル製作の記事は数あれど、準備だけでここまで書いているのは珍しいのではないかと思います。
はんだごては非常に高温になり当たり前ですが触れば火傷します。筆者自身も火傷は何度もしました。作業中に何かに当たって溶かすこともあり火災の原因になりますので取り扱いには十分に注意してください。
というわけで次回、製作編をお楽しみに~!!