9月になり、最近は夜になると日中にため込んだ熱気がアスファルトから立ち昇ってきつつも、空気はどこか冷えているような感覚を覚えます。気を抜くと一瞬で冬になってしまいそうです。
この時期になると毎年「今年の夏も何もせずに終わってしまった……」と少し寂しくなるのですが、よく考えたら暑すぎて外に出る気にもならなかったので仕方ないですね。秋こそはアクティブに過ごしたいものです。
……アクティブ?
アクティブといえば、音響機器の世界ではパワードスピーカーを「アクティブスピーカー」と呼ぶことがあります。
はい。かなり強引ですが、今回のテーマにつながりました笑
PAスピーカーを探していると、必ずと言っていいほど目にする「パワード」と「パッシブ」という言葉。
見た目はどちらもスピーカーなのに、何が違うの?結局どっちを選べばいいの?と思ったことはありませんか?
そこで今回はパワードスピーカーとパッシブスピーカーの違いについて、PA初心者の方にも分かりやすくご紹介します!
■ そもそも何が違うの?
両者の最大の違いは、スピーカーを鳴らすための「パワーアンプ」が内蔵されているかどうかです。
……と言われても、PA初心者の方からすると「そもそもパワーアンプって何?」となりますよね。
私も最初はそうでした。
マイクやミキサーから送られる音声信号は、そのままでは非常に小さく、スピーカーを十分な音量で鳴らすことができません。そこで登場するのがパワーアンプです。
パワーアンプは、ミキサーなどから送られてきた音声信号を、スピーカーを実際に鳴らせる大きさまで増幅する機器。例えるなら、スピーカーを動かすための「エンジン」のような役割を持っています。
このパワーアンプがスピーカー本体の中に入っているか、外に用意するかによって、「パワード」と「パッシブ」に分けられます。
パワードスピーカーは、本体の中にパワーアンプが内蔵されています。そのため、ミキサーやマイクなどから送られてきた音声信号を接続し、スピーカー本体の電源を入れれば音を鳴らすことができます。
一方、パッシブスピーカーにはパワーアンプが内蔵されていません。ミキサーなどから送られる音声信号だけではスピーカーを鳴らせないため、別途パワーアンプを用意する必要があります。
接続の流れを簡単に表すと、次のようになります。

簡単にまとめると、
- アンプ内蔵 = パワードスピーカー
- アンプ非搭載 = パッシブスピーカー
ということですね。
■ パワードスピーカーのメリット
パワードスピーカーの魅力は、なんといってもシステムをシンプルに組みやすいこと!
別途パワーアンプを選ぶ必要がなく、ミキサーとスピーカーを接続するだけで使用できます。スピーカーに適したアンプがあらかじめ内蔵されているため、「スピーカーとアンプの出力は合っているかな……」と悩む必要もありません。
モデルによっては、マイク入力や簡易ミキサー、Bluetooth、DSPなどを搭載しており、スピーカー1台だけである程度完結できる製品もあります。
小規模なライブ、会議、学校行事、店舗イベントなど、設営と撤収を手早く済ませたい用途には非常に便利ですね。
ただし、スピーカーごとに電源が必要になる点には注意しなくちゃいけません。左右に2台設置する場合は、音声ケーブルだけでなく、それぞれのスピーカーまで電源を確保する必要があります。
■ パッシブスピーカーのメリット
パッシブスピーカーは、外部パワーアンプと組み合わせて使用します。
「必要な機材が増えるなら、パワードの方がいいじゃん!」と思いますよね。
しかし、パッシブスピーカーにも大きなメリットがあります。
まず、スピーカー側に電源を取る必要がありません。パワーアンプからスピーカーケーブルを伸ばせばよいため、スピーカーを高い位置や電源を確保しにくい場所へ設置する場合に便利です。
例えば、ダンススタジオなどで天井や壁面の上部などにスピーカーをつるす場合があると思います。この時、パワードスピーカーだと、その日の使用が終わるたびに脚立を持ってきてスピーカー本体の電源をオフ、次に使用する際は同じように電源をオンにしなくちゃいけません。
誰だってそんな非効率的なことは避けたいですよね。決して私がものぐさなだけではないと信じています笑
そういう場合、パワーアンプからスピーカーケーブルを伸ばしておけば手元のパワーアンプの電源オンオフで簡単に操作ができるので、パッシブスピーカーの利点と言えるでしょう。
また、パワーアンプを1か所にまとめて管理できるため、複数のスピーカーを使用する設備音響や常設システムにも向いています。故障やシステム変更の際に、アンプとスピーカーを個別に交換できる点もメリットです。リスクヘッジは何事にも大切ですからね!
その一方で、アンプの出力やスピーカーのインピーダンス、許容入力などを確認して組み合わせる必要があります。ケーブルも、一般的なマイクケーブルではなくスピーカーケーブルを使用します。
パワードスピーカーより少し知識が必要になるシステムといえるでしょう。
スピーカーとパワーアンプの選び方については「虎の巻」でも解説していますので、併せて見てみてください!
■ 結局どちらを選べばいいの?
初心者の方や、持ち運んで使用することが多い方には、基本的にパワードスピーカーがおすすめです。
アンプ選びで悩みにくく、必要な機材も比較的少ないため、初めてPAシステムを組む場合でも導入しやすいでしょう。
反対に、店舗やホールなどへ常設したい場合、たくさんのスピーカーをまとめて管理したい場合、将来的にアンプやスピーカーを個別に入れ替えたい場合は、パッシブスピーカーが候補になります。
つまり、
- 手軽さ、持ち運びやすさを重視するならパワード
- 拡張性、常設時の配線や一括管理を重視するならパッシブ
という選び方が一つの目安です。
ただし、どちらが優れているということではありません。使用する場所や目的、スピーカーの本数によって適したシステムは変わります。
■ パッシブ/パワード それぞれのおすすめスピーカー
「違いは分かったけど、それで結局どの商品がおすすめなんだ……」とソワソワしていたそこの方!大変お待たせいたしました。
ここからは、パッシブ/パワードそれぞれのワタクシ「くらげ的」おすすめスピーカーをご紹介します。
もちろん、会場の広さや用途、必要な音量、予算などによって適したスピーカーは変わりますので、あくまでも個人的なおすすめです。悪しからず!
おすすめパッシブスピーカー
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CSP12 PAスピーカー
まずは、サウンドハウスでパッシブスピーカーを探すなら外せないCLASSIC PROのCSP12!
12インチウーハーを搭載した2WAYフルレンジスピーカーで、低域から高域までバランスの取れたクリアなサウンドが魅力です。ライブやアコースティックライブ、会議、プレゼンテーションなどなんでもござれ。「なるべく費用を抑えたい。でも、しっかり使えるPAスピーカーが欲しい!」という方に、まずチェックしていただきたい1台です!
JBL ( ジェービーエル ) / JRX215 PAスピーカー
続いては、JBLのJRX215!
こちらの大きな特徴は、15インチウーハーによる余裕のある低域です。迫力のあるサウンドを出しつつ、音の輪郭もしっかり感じられるため、バンドライブやDJイベント、クラブなど、音楽を力強く鳴らしたい場面にぴったり。
最大出力音圧レベルは129dBと、パワフルに鳴らせる点も心強いところです。個人的にはJBLのブリブリとした低音感はライブっぽさを感じて好きなので今回ご紹介させていただきました。JBLらしいサウンドを比較的導入しやすい価格帯で楽しめるので、「低音の迫力も欲しい」「小~中規模会場のメインスピーカーとして使いたい」という方におすすめです。
MACKIE ( マッキー ) / C300z PAスピーカー
MACKIEのC300zは、12インチウーハーを搭載したパッシブスピーカーです。EAWのラウドスピーカーチームによって設計・チューニングされており、自然でクリアなサウンドが魅力。ボーカルや楽器の音が埋もれにくく、聴き手へしっかり届けてくれます。さらに、左右非対称のキャビネットを採用しているため、通常のメインスピーカーとしてはもちろん、床に横向きで置いてフロアモニターとしても使用可能! ライブやイベント、バンド練習など、1台を幅広い役割で使いたい場合に便利です。
スタンド設置に加えてフライングにも対応しているため、持ち運んで使用するだけでなく、店舗や小規模ライブスペースなどへの常設用スピーカーとしても候補になります。
音質に妥協したくない方に、ぜひともおすすめしたい逸品です。
おすすめパワードスピーカー
JBL ( ジェービーエル ) / EON710 10インチ パワードPAスピーカー(Bluetooth対応)
パワードスピーカーの1台目は、JBL EON710!
10インチウーハーを搭載した比較的コンパクトなモデルですが、アンプ出力は1,300W、最大出力音圧レベルは125dBと、見た目以上にパワフルです。それでいて重量は11.9kg。高音質、高機能、持ち運びやすさの3拍子がそろっています。
Bluetoothによる音楽再生に対応しているほか、3チャンネルのデジタルミキサーやdbxのDSPも内蔵。自動フィードバックサプレッション、ダッキング、ディレイ、EQなど、実際の現場で役立つ機能が盛りだくさんです。
「一般的な箱型パワードスピーカーが欲しいけれど、音質も機能も妥協したくない!」という方におすすめです。
QSC ( キューエスシー ) / CB10 バッテリー内蔵パワードスピーカー
続いては、2026年1月に発売されたQSCのCB10!
最大のポイントは、やはりバッテリー駆動に対応していること。最大約12時間の連続使用が可能なため、電源の確保が難しい路上ライブや屋外イベントなどで大活躍してくれます。
10インチウーハーと1インチコンプレッションドライバーを搭載し、コンパクトながら最大出力音圧レベルは127dB。持ち運びやすさを重視しながら、音質や音量もしっかり確保したい方におすすめです。
3チャンネルミキサーやBluetoothも内蔵されているため、マイクや楽器、スマートフォンなどを接続して、CB10を中心としたシンプルなシステムを組むことができます。専用アプリからの遠隔操作に加え、スタンド設置やフロアモニターとしての使用にも対応。
「電源がないから音を出せない」という悩みを解決してくれる、機動力抜群の1台です!
※バッテリー駆動時間は、音量や再生する音源、周囲の温度などによって変動します。
MACKIE ( マッキー ) / Thrash12v2 パワードスピーカー
お次はMACKIE Thrash12v2をご紹介します。
私はこのシュッとした面構えがかっこよくて気に入っています。
12インチウーハーと1インチドライバー、1,300Wの高効率アンプを搭載し、最大出力音圧レベルは129dB。ライブやバンド練習、DJイベントなどでも、しっかりと存在感のあるサウンドを届けてくれます。用途に合わせて「Flat」「DJ」「Live」「Wedge」の4種類から音質を選べるため、メインスピーカーはもちろん、フロアモニターとしても活躍します。
さらに、ハウリングを自動で抑えるフィードバックエリミネーターや、Bluetoothによる音楽再生にも対応。2台をワイヤレスでリンクし、ステレオまたはデュアルモノで再生できるのも便利ですね。操作系はシンプルにまとめられているので、「難しい設定は苦手だけど、音量や機能には妥協したくない!」という方におすすめしたい、実用性抜群の1台です!
JBL ( ジェービーエル ) / EON ONE MK2
最後にご紹介するのは、JBL EON ONE MK2!
こちらはスピーカー、1,500Wピークのアンプ、5チャンネルデジタルミキサー、DSP、バッテリーをひとまとめにした、オールインワンタイプのコラムPAシステムです。
8基のツイーターにより、水平方向へ広く音を届けやすいのがポイント。一般的な箱型スピーカーとは見た目も大きく異なり、アコースティックライブや講演、店舗イベントなど、客席の広い範囲へ音を届けたい場面で活躍します。
リバーブ、コーラス、ディレイなどのLexicon製エフェクトに加え、dbxの自動ハウリング抑制機能なども搭載。マイクや楽器を直接つなぎ、音作りまで本体で行えます。
バッテリーで約6時間使用でき、スピーカーのパーツはウーファー部へ収納可能。設営から撤収、持ち運びまで考えられているのが素晴らしいですね。
「別途ミキサーなどを何台も持ち込みたくない」「1台で本格的なライブやイベントを行いたい」という方には、まさに全部入りの頼もしいシステムです!
■ まとめ
今回は、パワードスピーカーとパッシブスピーカーの違いについてご紹介しました。
見た目は似ていますが、アンプが内蔵されているかどうかによって、必要な機材や配線、向いている用途が大きく異なります。
「初めてだから簡単に使いたい!」という方はパワードスピーカー、「複数台をまとめて管理したい!」「常設設備として自由にシステムを組みたい!」という方はパッシブスピーカーを中心に探してみてはいかがでしょうか。
用途に合ったスピーカーを選んで、快適なPAライフをお楽しみください!
それではまた次回!!
じゃあな













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