2024年もディープにフロイドする原始神母の2023年12月30日「覇響の宴」第一部
原始神母。日本のフロイドファンによる、フロイドファンのための世界一ディープなピンク・フロイド・トリビュートバンドです。各メンバーによる、楽曲への愛情から沸き起こるエナジーが漲る演奏。そしてフロイドの音楽性を極限まで再現した音像空間。更には他のトリビュートバンドとは一線を画すエンターテインメント性がミックスされたライブ・パフォーマンスは、ツアーの回数を重ねるごとに壮大なものになってきています。
来る2024年11月からは、フロイドのアルバム『対』30周年記念ツアーとして、同アルバムの楽曲をフィーチャーしながら、ピンク・フロイドの歴史を網羅するような楽曲も披露するライブツアー、「『The Division Bell』30th Anniversary TOUR」の開催が決定しております。
そして、このブログでは、昨年2023年に体験した、フロイド・トリップ感満載の原始神母 六本木EXシアター公演の様子を2部にわたってお贈りいたします。原始神母のライブ未体験の方が11月からの公演に行きたくなる程テンションが上がり、公演を見に行った方もライブでのトリップ感を思い出していただける様なブログになれば、筆者としてはとても幸いでございます。
2023年12月30日の六本木EXシアター。6月に行われた日比谷公園大音楽堂での強烈なライブに圧倒されて当然の様にやってきたファン、野音公演に来られなかったファン、名演の話を聞いて新たにファンになった人たちが、12月30日という年末気分でテンションも上がる絶好の日に集結。チケットもソールドアウトとなったそうです。
公演名は「ピンク・フロイド 歴史的名盤『狂気』50th 記念イベント + Atom Heart Mother 〜冥界のカンタータ〜」。
日比谷野音でも披露された、圧巻の『ライブ・アット・ポンペイ』と『狂気』の再演に加え、今や毎年恒例になっている、ホーン隊、チェロ、コーラスを迎えての「Atom Heart Mother」をコーラス隊大幅増員で2023年を締めくくろうという、本家フロイドのメンバーが来日したとしても実現しないであろう最強のパフォーマンスを宣言。
会場内に入るともう、コンサートグッズ販売ブースからしてファンが殺到。この日に用意されたTシャツ「冥界のカンタータTee」はじめファン心をくすぐる魅力的アイテムで溢れておりました。また、日比谷野音でも好評だったポンペイTシャツ、私もいつか全色揃えたいです!当日行けなかった方や時間なくて購入できなかった方は、原始神母のオフィシャルサイト(原始神母 Goods)から購入できるようですのでチェックしてみてはいかがでしょうか。
開演10分前にシアター内に入るとチケット争奪戦の末に、かなりの熱量を帯同してやってきた日本のフロイド・ファン(=原始神母ファン)で埋め尽くされておりました。
ステージ上は『ライブ・アット・ポンペイ』の再現セットが配されています。ステージ上部には日比谷野音での「太陽讃歌」の再演にて、ふてぶてしいまでに強烈なサウンドを放ち、猛烈なフロイド・トリップに大きな効果を与えたドラが設置されています。もうこれが目に入った時点でテンションが上がる中、場内が明るいうちに鼓動のSEが流れ、キーボードの大久保治信さんとベーシスト扇田裕太郎さんが登場。大久保さんによるシンセサイザーの不協和音が興奮を煽る中、木暮"shake"武彦さんをはじめメンバーが次々と登場。いよいよ『ライブ・アット・ポンペイ』の再演が始まります。
Pink Floyd / Live at Pompeii
『ライブ・アット・ポンペイ』はイタリアのポンペイにある遺跡で行われた屋外の無人ライブを収録した1972年の映像作品で、今回は六本木EXシアターという室内での再演という事もあり、当時はシアターサイズで行われていたフロイドのライブ・パフォーマンスを、トリビュートで体験できるというわけです。要するにアルバム『ウマグマ』の世界に飛び込んでいっちゃう様なライブが楽しめるという事で、もう始まる前から失神しそうです。今回のブログではその「フロイド・トリップ室内楽」ならではの迫力と濃度の高さをお伝えしたいと思います。演奏の大まかな部分は前回の日比谷野音でのレポートを参照していただければ幸いです。
1. Echoes Part I
2021年に観た『おせっかい』再演ライブで初めてこの曲の再演を体感しましたが、その時も、前回の日比谷野音ライブでも、そして今回も三國義貴さんによる出だしのピアノの音に鳥肌が!ケネス・アンドリューさんの歌声が非常に温かみを帯びた感じに響きます。この曲を普段レコードで聴いているときはギターに耳が行きがちな私ですが、今回のライブでボーカル部分のメロディーの素晴らしさを再認識した次第です。
屋内でより集中しながら体感していることもあるのでしょうか、各楽器の音色が鮮烈に届いてきます。インプロヴィゼーションでの扇田裕太郎さんのベースと柏原克己さんドラムは重低音の迫力を放ちながらも、前回よりも少しやわらかくホットに響いてくるサウンドに感じました。途中の木暮"shake"武彦さんのストラトギターが放つソロはロックしながらも、さらにオリジナルに近い音色で、エコーズ・トリップ感が満載な楽しさです。そして三國義貴さんと大久保治信さんによる、前回以上の迫力で襲い掛かるオルガンバトル。そのバトルの迫力を更に昇華させる、柏原克己さんのニック・メイソン張りに意表をつくドラム。EXシアターも観に来てよかったです本当に!
2. Careful With That Axe, Eugene
「エコーズ」で興奮したまま、間髪いれずに飛び出してきたのが「ユージン、斧に気をつけろ」。この曲の再演を屋内で聴くのは初めてですが、三国義貴さんによるメロトロンがよりダイレクトに迫ってくる感じで、さらにトリップさせてくれます。前回気が付かなかっただけかも知れませんが、今回はほんのりジャジーなリズム感に響きました。アルバム『狂気』に収録された「走り回って(On The Run)」の初期段階のアレンジの「The Travel Sequence」を思い出します。木暮"shake"武彦さんのコーラスと扇田裕太郎さんの絶叫も室内ならではのフロイド感で身体に響いてきます。
3. A Saucerful Of Secrets
前回以上に木暮"shake"武彦さんのサイケ満載なギターサウンドと、大久保治信さんのメロトロンがホール内を包む中、もう一つ設置されたシンバルを扇田裕太郎さんがこれでもかと言わんばかりに叩きつけるオープニングでスタートする「神秘」。屋内で聴いているとさらに『ウマグマ』への落とし穴に引きずり込まれます。前回でも見られた柏原克己さんの高速ドラムプレイを中心に、木暮"shake"武彦さんの床置きギタープレイ、扇田裕太郎さんのドラ、そして大久保治信さんのアナログ感と未来感が共存した迫力のサウンドが加わっていく様は、素晴らしい照明の効果もあり、よりシアトリカルに楽しむ事ができました。エンデイングの大久保治信さんのオルガンがとてもホーリーな響きで、ここで登場したケネス・アンドリューさんと冨田麗香さんと廣野ユキさんによる凛々しいコーラスが、この再演をより神聖なものへと響かせていたのがとても印象的でした。実に神々しい再演です!!
4. One Of These Days
「神秘」再演で感動している最中、続いて名曲「吹けよ風、呼べよ嵐」の強風とベースの音が容赦なく響き渡ります。扇田裕太郎さんのベースはゆっくりとなめらかに盛り上げていくような印象。大久保治信さんのオルガンがとてもグルーヴィーに響く中、木暮"shake"武彦さんのギターサウンドが強烈にラウドになっていくところがスリリングで、ベースメインのブレイク部分との対比がよりはっきりとした実にロッキンドライブな迫力です。
5. Cymbaline
日比谷野音では風を感じながら、屋外ならではのじつに爽快な再演を楽しみましたが、今回は屋内だからでしょうか。三国義貴さんのメロトロン、大久保治信さんのピアノがとても厳かに響きわたります。ケネス・アンドリューさんの歌声の力強さも印象的です。冨田麗香さんのパーカッション・プレイも、サウンド部分と視覚的部分の両方において原始神母の重要な位置を占めている事を再発見しました。
6. Set The Controls For Heart Of The Sun
アルバム『神秘』に収録されていたロジャー・ウォーターズ作「太陽讃歌」。前回のライブでのブログにおいて、原始神母によるこの曲のパフォーマンスについてかなりの長文を書いてしまいました。しかし、それはアルバム『狂気』発表前における、きわめて実験性が強い頃のフロイドによるライブ・アンサンブルの旨味と、この時代特有のロック・ミュージックのキモとなるような部分を、限界までに詰め込んだような名演だったからでした。そして今回EXシアターで体感した「太陽讃歌」。
扇田裕太郎さんのドラと三国義貴さんによるSFチックなヘヴィーシンセに続いて、繊細に鳴り響く木暮"shake"武彦さんのギターリフ、ケネス・アンドリューさんのロジャー以上に感傷的にささやく歌声は、屋内で聴いているとまるで太陽に呪われた人々による祈りの集会に飛び込んだようなトリップ感です。
中盤から鳴り響く柏原克己さんの力強い高速ドラムのキック音が、トランシーに盛り上げていく木暮"shake"武彦さんのギターサウンドと、三国義貴さんの黒魔術的なメロトロンサウンドを後押しするかの如く、客席全体に拡散。これはロジャーのライブでも、デヴィッド・ギルモアのライブでも望めない、原始神母のパフォーマンスだからこそ体験できる迫力と言えるでしょう。そしてのちに第二部では、6月のライブで「月に愛されているかのようなパフォーマンス」を繰り広げた原始神母による『狂気』の再演が待ち構えているのだから、ファンが何度でもライブに足を運びたくなるのは無理もないでしょう。
7. Echoes Part II
そして『ライブ・アット・ポンペイ』と同様、2つのパートに分けての「エコーズ」再演後半がスタート。火山の沸騰と思われるSEに始まり、木暮"shake"武彦さんのギターによるカモメの鳴き声がホール内で大きく響くと、カモメをなだめるかのように温かみのある三国義貴さんのシンセの音色に、甘いドロップを投下するように美しくはじける大久保治信さんのピアノサウンドというハーモニーに手に汗握ります。そして再びケネス・アンドリューさんの優しく、かつたくましい歌声がこの曲を壮大なものにしていきます。
再びポンペイ心マックスになれた幸せな時間帯でした。
そして、次は休憩をはさんでアルバム『狂気』の再演が始まります。気になる内容はブログの第二部でお届けいたします。
さて、もはやフロイドのトリビュートバンドという域をも超えてしまうような、限りなきライブ・スペクタクルを繰り広げる原始神母。そんな原始神母によるライブツアー、「『The Division Bell』30th Anniversary TOUR」の開催が決定しました。
ツアーではデヴィッド・ギルモア主導による時期のフロイドが1994年にリリースしたアルバム『対(The Division Bell)』をフィーチャーしながら、ピンク・フロイドの歴史を網羅するような楽曲を準備していくという事で、当時来日がかなわなかったフロイドによる『対』リリース時のツアーへの憧憬を抱いてきたファンの長年の夢が叶うステージが堪能できそうです。ツアーは11月に長野・金沢・名古屋・神戸が決定しています。
『The Division Bell』30th Anniversary TOUR
2024/11/12(火)長野 LIVE HOUSE J
2024/11/13(水)金沢 GOLD CREEK
2024/11/15(金)名古屋 ElectricLadyLand
2024/11/16(土)神戸 CHICKEN GEORGE
2024/11/17(日)神戸 CHICKEN GEORGE
そして、更に!12月30日(月)には2024年 原始神母ツアーファイナル、毎年恒例のEX THEATER ROPPONGIでの『𝕋𝕙𝕖 𝔻𝕚𝕧𝕚𝕤𝕚𝕠𝕟 𝔹𝕖𝕝𝕝』𝟛𝟘𝕥𝕙 𝔸𝕟𝕟𝕚𝕧𝕖𝕣𝕤𝕒𝕣𝕪 〜年末Special〜の開催も決定!
本年もブラスオーケストラ、コーラスをフィーチャーした「Atom Heart Mother」を披露!!2024年のフロイド心にとどめを刺す一夜となるこの東京公演では、合唱隊100名を募集するという事で、日本の洋楽史に歴史を残せるチャンスです!詳細は原始神母オフィシャルサイトをチェック!
原始神母 Live date
原始神母 メンバー(敬省略)
木暮"shake"武彦(Guitar)
三國義貴(Keyboards)
大久保治信(Keyboards)
扇田裕太郎(Bass, Guitar, Vocals)
柏原克己(Drums)
ケネス・アンドリュー(Lead Vocals)
冨田麗香(Chorus)
廣野ユキ (Chorus)
ラヴリー・レイナ(Chorus)
画像提供:原始神母
最後に!サウンドハウスで取り扱っているフロイド心をくすぐるアイテムをここでひとつ!
WARM AUDIO ( ウォームオーディオ ) / Jet Phaser フェイザー
70年代ロックサウンドを意識したWARM AUDIOのフェイザー・ペダル。
デヴィッド・ギルモアはじめ1970年代に多くのギタリストが取り入れたフェイザー・サウンドを再現。6つのモードを搭載。JET LEVEL、RESONANCE、SLOW RATEつまみを操作し、好みのフェイザー・サウンドを生み出せます