
再現度と演奏力、エンターテインメント性を高いレベルで持ち合わせた、世界的にも例を見ないフロイドのトリビュート・バンド原始神母。
2021年4月に行われた川崎クラブチッタのライブでは、アルバム『原子心母』を管楽器、チェロ、そしてコーラス隊をフィーチャーした構成でカバーし、フロイドファンの度肝を抜いた事も記憶に新しいバンドです。
演奏の素晴らしさだけでなく、他のトリビュート・バンドではまず味わえないパフォーマンス力でオーディエンスを魅了していくステージが印象的でした。
→ 関連記事『原始神母による『原子心母』 全曲再演! PINK FLOYD TRIPS 2021 狂喜のライブレポート第1部 2021年4月3日』
そして2021年12月30日、六本木EXシアター。前回のクラブチッタにて狂喜のライブを体感したファンはもちろん、見逃したファンや動画で衝撃を受けたファンたちが、凄まじい熱量を持って一堂に介した祭典となりました。このブログでは、忘れられないであろう素晴らしきライブのレポートを2回にわたってお送りいたします。
2回目ではメンバーの方々のご厚意により、プレゼントもご用意しておりますのでお楽しみに!
さて会場に入ると、まず眩いオリジナルグッズに目を奪われました。
フロイド心を満たすデザインのアイテムで溢れていましたが、私は色々と迷った末に、パスケースを購入。

社員証を入れて、みんなに見せびらかそうかと思いましたが、デザインの良さ故にいまだに使うのがもったいなくて、コレクションアイテムになってしまいました。
通販で購入できるそうなので、買っとけば良かったと思う方は、チェックしてみては。
さてさて、アルバム『対』が流れるシアター内に入ると、初期からのリアルタイムファンと思える方から、若い層まで幅広いオーディエンスで場内はほぼ満席。
ビンテージのフロイドTシャツを来ているファンも見かけ、観客の期待度をうかがえます。
久々に聴く『対』に聴き入っていると場内は暗転。
吹き荒れる『狂気』のファンファーレに一機にトリップしていきます。

1、タイム~ブリーズ(リプライズ)- Time~Breathe(Reprise)

前回のライブ同様、けたたましく鳴り響く時計の音でライブがスタート。しかし、今回はイントロの低音が実に印象的でした。シアターサイズの音響によるものなのでしょうか、柏原克己さんのドラム、コーラスの冨田麗香さんのパーカッションも含めて、低音が身体に響きます。最近はコロナ禍でなかなか体感できないこの感覚が、久々に蘇ってきたようで涙がでそうでした。
ダイナミックな三国義貴さんによるハモンドサウンドも、耳というより身体で聴いているような迫力でした。

そして何よりも木暮"shake"武彦さんの、国宝級とも言えるギターサウンド。ここまでカッコよく、ストラトを弾き倒すギタリストを私は見たことがありません。
4月のライブを見ていたオーディエンスは、フロイドのトリビュートを見に来たというよりも、原始神母の世界そのものを楽しみにして集まったのではとさえ思える、素晴らしいオープニングでした。

2. 虚空のスキャット The Great Gig in the Sky
そして、そのまま期待を裏切ることなく、アルバム『狂気』の聖なるハイライト・ナンバーが続きます。
前回体感した時は興奮のあまり気が付かなかったのですが、この曲から聴こえるラヴリー・レイナさんの歌声はオリジナルのクレア・トリーよりも、ブラック・ミュージックなフィーリングを強く感じました。しかし、ゴスペルっぽくなり過ぎない塩梅がミソといいますか、ロジャー・ウォーターズのバンドでも活躍しているP.P.アーノルドのアルバムで聴けるようなUKロックな佇まいなのが嬉しかったです。


そして、今回もエンディングの半音ずらしを再演。やはり期待を裏切りません。
3、マネー Money

間髪入れずにそのままコインのジャラ音やレジの効果音が鳴りはじめて、フロイドのヒット曲がスタート。

それにしても、扇田裕太郎さんのベースの音はどうやって出しているのでしょうか。ロジャー・ウォーターズのソロのライブでのサウンドよりも、ずっとオリジナルのサウンドを再現しているように感じました。
サックスは後に「原子心母」の再演にて、管楽器、コーラスの指揮をとるYOKANさん。前回は「狂ったダイヤモンド」でSAXを披露。オリジナルで聴ける派手な響きと比べるとスマートなプレイ。実にヒップでいい感じです。
次に始まる目玉パートのサウンドコンセプトとのギャップを感じさせないのが狙いなのでしょうか。

そしてギターソロは、オリジナルと比べて早いテンポに急展開。ソロ中間部にて、ギター、サックス、大久保治信さんのエレピによる掛け合いは、UK ジャズロックにも通じるスリリングさを感じます。これは本家フロイドでは味わえないセンスと言えるでしょう。
さて、ここまでですでに手に汗握る時間を過ごし、次は一息つく時間帯かと思いきや…
激しい風の音が鳴り響き、早くも本ライブのメインテーマの一つ、アルバム『おせっかい』全曲再演がスタート!
『おせっかい(THE MEDDLE)』

1971年にリリースされたピンク・フロイドのアルバム『おせっかい』。ライブ音源とメンバーのソロ楽曲が中心の『ウマグマ』や、オーケストラとアレンジャーの手を借りて制作された『原子心母』など、70年前後に制作されたアルバムと違い、バンド一丸となって練り上げられたアルバムです。また、初来日、二回目の来日においても演奏された楽曲を含んでいるため、昔から日本の洋楽ファンにとても愛されていたアルバムと言えるでしょう。
そんな、日本のフロイドファン、洋楽ファンのための、ちょっと早いお年玉が、心の準備もできていないままシアター内に降り注ぎます。
4、吹けよ風、呼べよ嵐 ONE OF THESE DAYS

あのディレイ全開のベース音が鳴り響きます。デイブ・ギルモアのソロでのライブと同様サム・ピッキング(今もそう言うのでしょうか?) スタイルです。

逆にshakeさんのギターはギルモアのソロライブで見られるような、ラップスティールギターでのプレイとは違い、当時のフロイド時代のようにストラトをスライドバーで弾いています。
これは特に、二回目の来日を観たリアルタイムファンには嬉しい再演ではないかと思います。また、冨田さんのシンバルが、曲を力強くするアクセントとして鳴り響きます。静かになる部分の逆回転のようなギターサウンドは、ロジャーの心が宿っているようなプレイに聴こえました。この時期のフロイドを凝縮したようなサウンドと、フロイドにはない視覚的な楽しさ。まさに原始神母ならでは醍醐味です。
5、ピロウ・オブ・ウインズ A PILLOW OF WINDS
扇田さんが12弦ギター。そしてコーラスの冨田さんもアコースティック・ギターで参加。shakeさんのスライドギターが、楽曲の多幸感をより一層増幅させます。実に美しいイギリスの木漏れ日フォークロックの世界です。
6、フィアレス Fearless
至福のアコースティックナンバーが続きます。ただただ音に身を委ねてしまう、素晴らしき再演。エンディングではイギリスのサッカーチーム、リバプールFCの応援歌が重なり、ボーカルのケネス・アンドリューさんも応援に参加。ワタクシも大声で叫びたかった!
7、サン・トロペ San Tropez
ネオ・アコの元祖とも言える、少しジャジーなオシャレフォーク。ケネス・アンドリューさんが冨田さんとラヴリー・レイナさんを両隣に一緒にダンス。60年代のイギリスのTVショーのような、愉しさに溢れていました。

8、シーマスのブルース Seamus
ラヴリー・レイナさんと冨田さんが犬の鳴き声をライブで再現。愛犬家の私にはとても心和むパフォーマンスです。

ケネスさんはブルースハープを披露。前回のライブのレポートにてケネスさんはデヴィッド・ボウイを思わせるところがあると書きましたが、この曲ではマンフレッド・マンのポール・ジョーンズに通じるカッコ良さを感じました。こういう視覚的な楽しさこそ、他のトリビュートでは味わえない魅力ではないでしょうか。
9、エコーズ Echoes
ピンク・フロイド伝説の初来日でも演奏された、フロイドのナンバーの中でも人気の高い曲で、2000年代にもギルモアのソロライブで取り上げられています。
原始神母による今回の再演は、ソロアーティストによる再演と違い、正にバンド(原始神母)として練り上げられたアレンジとサウンドで、当時のフロイドの心情が生み出したグルーヴを今ここに再現させたのではと夢想してしまうほど。生涯忘れられないパフォーマンスでした。

エフェクトがかかったピアノの1音目から鳥肌が立つ思いだったのは、会場にいた全員がそうだったのではないかと思います。
囁くようなギターやオルガン、そしてドラムの響きも、アルバムで聴ける魅力そのままに、さらにライブ感を増した再演です。
原始神母によるこの曲の全てをお伝えすると、それだけでブログができてしまう程聴きどころが多いのですが、特に素晴らしかったのが中間部。グルーヴィーなリズムに乗って飛び交うギターソロとオルガンソロです。ピンク・フロイドがバンド一丸となって生み出した名曲という認識の元再演する原始神母と、演奏を見守るオーディエンスの熱量を否が応でも感じざるを得ないこの時間軸。このまま永遠に続いて欲しいと思うライブパフォーマンスでした。
ここ最近忘れかけていたライブならではの楽しさが凝縮された一時です。そして、静寂の部分での効果音を楽器で再現。あの鳥の鳴き声(?)はshakeさんがギターで鳴らしているのでしょうか(私の席からは見えなかった……)。
エンディングの効果音は、オリジナルよりも長く、音量とピッチが上がって行き突然終わる様になっており、初めてビートルズのア・デイ・イン・ザ・ライフを聞いた時の様なスリリングさを感じました。

と、第一部がここで終了。 休憩をはさみ、半ば放心状態のまま第二部に突入するのでした。
そして、圧巻の第二部は次回ブログにてお伝えします。嬉しいプレゼントの発表もございますので、お楽しみに!
『“おせっかい/Meddle”+”原子心母/Atom Heart Mother” 全曲再現2本立て ~ 50years anniversary tour ~』
2021/12/30(木)六本木 EX THEATER
原始神母 メンバー(敬省略)
木暮"shake"武彦(Guitar)
三國義貴(Keyboards)
大久保治信(Keyboards)
扇田裕太郎(Bass, Guitar, Vocals)
柏原克己(Drums)
ケネス・アンドリュー(Lead Vocals)
ラヴリー・レイナ(Chorus)
冨田麗香(Chorus)
画像提供:原始神母
最後に、フロイド心をくすぐるアイテムを一つご紹介!!
EMG ( イーエムジー ) / DG20 ivory ギター用ピックアップ
デビッド・ギルモア・シグネチャーモデル。
ギルモアの赤いストラトから生み出されるトーンは、このEMG / DG20のもの。アルニコマグネットのSAシングルコイル、ベースとトレブルをブーストさせるEXGギターExpanderと、ストラトのトーンを強化するSPCプレゼンスコントロールを搭載。白いノブが付いたカスタムのホワイトパールピックガードに全て配線済みでセッティングされています!!
サウンドハウス 原始神母ライブ記事一覧
◆原始神母による『原子心母』 全曲再演! PINK FLOYD TRIPS 2021 狂喜のライブレポート
原始神母による『原子心母』 全曲再演! PINK FLOYD TRIPS 2021 狂喜のライブレポート第1部 2021年4月3日
原始神母による『原子心母』 全曲再演! PINK FLOYD TRIPS 2021 狂喜のライブレポート第2部 2021年4月3日
原始神母による『原子心母』 全曲再演! PINK FLOYD TRIPS 2021 狂喜のライブレポート第3部 2021年4月3日







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