1968年、まだ昭和の時代、想像を絶するSF映画がリリースされ、世界中で話題になった。その題名は『2001年宇宙の旅』。その数年後、当時高校生であった筆者は、SF系の話題が大好きなクラスメートと一緒に映画館へ行き、この映画を見た。その時の衝撃は、今でも忘れられない。はっきり言って、とても気持ち悪かったのだ。
まず、画像がとてもきれいな宇宙船内のストーリーであることに驚いた。とにかく当時では信じられないほどの鮮やかな画像を繰り広げたのだ。ところが、いかんせん話の流れがさっぱりわからない。あまりに複雑な内容なので、結局は映画を2度見ることになるのだが、それでもわからなかった。よって、あまりいい気分になれない。
ましてや気持ち悪いほど映画の中では沈黙が多く、会話が少ない。何が言いたいのだろうか、と考え込んでしまう。会話が始まっても、そのほとんどがなんと、HALというコンピューターと人間とのやりとりに終始する。そして宇宙飛行士ボーマンは、未知の世界となる宇宙へと旅を続けながら、HALをうまく使おうとするも、見事にHALに思いを見破られ、逆に操られてしまうのだ。そして最終の結末も意味不明。何がなんだかわからない形で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように時空間がひっくり返ってしまうかのごとく、映画は終わる。
度肝を抜かれたのは、人間とコンピューター頭脳(AI)との会話のやりとりだ。しかもこの映画では、宇宙船内に脳ミソのようにびっしりと細胞のごとくチップが埋め込まれたHALが主役なのだ。そのHALの頭脳となるカセットを引き出したり、改善したりするのが人間の役目なのだが、それをHALは嫌うのだった。そしていつの間にか、ボーマン船長はHALに支配されてしまい、絶対絶命の窮地に追い込まれ、宇宙船も制御不能となる。果たしてボーマン船長の行く末は??
それから半世紀が経った。自分も歳をとったものだ。この映画がリリースされてから50年を超えた2023年の今日、HALが正に現実のものになろうとしている。そのスタートポイントがChatGPTというAIの存在だ。しかもその進化が激しい。ものすごいスピードで、AIが情報を吸収しているのだ。それは人間が学ぶことができる領域とスピードをはるかに超えるものであり、ついにAIという人工知能が人間を超えてしまう時代が到来したのだ。
このAI技術を駆使してフルに活用することにより、世界制覇も夢ではなくなる。AIを搭載した軍備により戦争に負けることもなく、あらゆる攻撃から身を守るために仮想シールドを張り巡らして迎撃することもできるし、思いのままに世界中の情報を収集し、何でもやり遂げることができるようになってしまう。何しろ、世界中の人が知ることのできる情報まで、すべて操作できてしまうのだから、人々の洗脳も簡単になる。そんな恐ろしい時代の到来でもある。
そのAI技術の最先端を行くのが、実は中国とイスラエルだ。イスラエルは世界最強の軍備を誇り、アインシュタイン博士のような天才学者が今でも大勢いる博学文化の国だ。それに相対して中国は膨大な人民軍と国防費を駆使して、イスラエルに負けじとAI戦略に取り組んでいる。行きつくところ、聖書の黙示録によると世界の終わりでは、イスラエルと中国が戦争をすることになる。何しろ敵対する国は膨大な人口を誇る。「その騎兵の数は2億」、その軍隊により、「その口から吐く火と煙と硫黄、この3つの災いで人間の3分の1が殺された」と預言書に明記されているとおりなのだ。
ということは、AIが進化して実用化され始めた今、人類の歴史は終焉に向けて、時計が動き始めたことになる。時を同じくして、日本の人口も14年前から減少し、もはや数世紀後には、地球上に日本人がいなくなると言われている。どちらをとってみても、世の終わりはもはや、目前に迫っているとみた。これは果たして妄想だろうか。単なる夢うつつにすぎないのだろうか。NAMM帰りの時差ボケにやられただけなのだろうか。いや、違う。ほっぺたをひねってみると、痛い。現実だ。願わくは、人類の最後の時を見届けることなく、平和な世界が続けばと願うばかりだ。
