Cheena:弦ですね。奏者にとって当然ともいうべきこだわりポイントである弦を多方面から分析しましょう。
〜プロフィール〜
Cheena:お気に入り弦はナイロンコートか至って普通のニッケルラウンドワウンド。自作できないので逆に沼、という境地に達している。
→ Cheenaの記事一覧
ネモト:お気に入り弦はいっぱいある。今はDRのBlack Beauty推し。↓参考
記事【ベース&テーマ別】ベスト弦を探る~泥沼より愛を込めて
→ ネモトの記事一覧
Cheena:ついにここに来てしまいましたね、弦。
また恒例の(?)区分から始めましょうか…ギター系弦楽器では、主要なものから
- プレーン
- ラウンドワウンド
- フラットワウンド(テープワウンド)
- ハーフワウンド(セミラウンド等とも)
の巻き方に、
- ニッケル
- ステンレス
- 8:2ブロンズ
- フォスファーブロンズ
- ナイロン
の素材と
- 無垢
- コーティング
- ナイロン巻き
の仕上げ、で大半でしょうか。もちろん他にも色々あります。
ネモト:そうだね。
あとは超絶マイナーだけどハーフ&ハーフ(前半はフラット弦で後半はラウンド弦。フラットだから指板を傷めず、右手で触れるのはラウンド弦だから感触に違和感はない)いうのもむかーしあった。一瞬で消えた。
今回は「何の」弦かは決めていないのでウッドベースはじめバイオリン属楽器弦も簡単に書いておきます。
上に挙げたものの他には
- シルク
- ナチュラルガット
- 純銀
- ナイロン(ナイロン以外の人工繊維もナイロンと呼ぶ人が多い)
かな。高い弦だと10万円くらいします。
琴に使う線も今はナイロンだね。友人の結婚式にいた人に触らせてもらった。シルクだと思っていたので意外だったわ。
Cheena:人工繊維だとフロロカーボンとかですかね。あとバイオリン属弦楽器用のクロム弦、スチール弦なんかも。
結構素材は自由です。
ネモト:ベルベットストリングのシルクコア弦を触ってみたいけど機械の故障により約2年前から生産していないという悲しさよ。ホントに生産再開する気があるのか…。
コントラバス弦色々試してみたいけど、どれもなかなか高価なので試せない。長持ちするけどさ。エレキ弦は安いのがいいところ。
Cheena:たしかにコンバス弦は長さもあって高価ですよね…いつかPlaytechからアップライトベースと弦を出してくれないものか。
ネモト:サウンドハウスさん、プレテクバス弦5000円程度でお願いします。
ちなみに今現在私のバスに張っているのはトマスティック・インフェルトのスピロコア(5弦)と同社のベルカント(1?4弦)トマ弦はエレキだと高価なのにバスだと低価格なのはなんか面白い。
来年あたり張り替えようかと思っていて、今はピラストロのエヴァ・ピラッツィ・スラップにする予定。
ナイロンセット(1.2弦がガットのセットもある)なら3万円程度。高くね?と思う方もおられると思いますが普通です。
Cheena:長持ちしますからねえ…演奏が原因で切れることはないし、音質も安定しているしちゃんとメンテすれば交換する理由は特にないですからね。
それにしてもナイロンセットはいいものです、クラシックギター用プレーンもジャズギター用ワウンドもベース用ワウンドもどれも素晴らしい音がする。
DADDARIO ( ダダリオ ) / ETB92 ブラックナイロン Tapewound Bass Medium 50-105
見た目にこだわれるのも良いポイントですね。黒弦も白弦もかっこいい。
ネモト:交換サイクルとしては2年に1度と言われているね。私は5年に1度でいいと思っている。半年で張り替える人もまれにいるけどね。
テープワウンドの難点としては滑りにくいから気合入れてスライドする時に火傷しそうになるくらいかな?潤滑剤で解決できるから大した問題ではないけど。
Cheena:火傷はよくあることですねえ…でも何度やっても慣れない。
ネモト:そういや最近はテープあんまり使わなくなっちゃったな。フラット弦だとトマスティックJFをチョイスするようになっちゃった。いかにもフラット弦という音が好みではなくなってきたのだろうか…。
Cheena:ハーフワウンド使いますか?あんまり数はないですけど。
ネモト:ケンスミスのハーフワウンドはよく使ってた。8弦フレットレスはほとんどあれだったかな。今はダダリオに変えたけど、ケンスミに戻そうかなと思わなくもない…。
Cheena:ちょっと常用するには高いんですよね…
KEN SMITH ( ケンスミス ) / COMPRESSOR MEDIUM LIGHT
プレテク弦ユーザーとしてはあの価格で提供されるとガンガン使い捨てる癖が付いてしまうというか。5弦ですら1000円で交換させてくれますからね…
ネモト:確かにプレテク弦のコスパを見ると高い。
ただ、ハーフ弦に張りたてラウンド弦の音は最初から求めてないし平気で半年は張ってしまう。交換頻度が低いからトータルだとコスト面での文句はないかな。
Cheena:まあそうですね。良い弦張ろうかな……多分今持ってる楽器の中で弦セットが一番高いのBass VIだ。
ネモト:あれ高いもんな…。
良い弦かぁ。今愛用してるDR Black Beautyの話を少しだけ。


これはコーティングされたステンレス弦ね。私は親指弾きを多用してるんだけど、柔らかい音を出したいなら親指の腹を、固い音を出したいなら爪を使ってピッキングしてるのね。
で、Black Beautyはほとんどの弦と異なり腹で弾くとニッケル弦のような音、爪で弾くとステンレス弦のような音がするのよ。つまり表現の幅が広がるから気に入っている。mtdにも張ろうかと思ってる。
Cheena:うひゃーVampyre格好いい。何もかもが最高すぎる。
そして弦。なかなか面白い音色ですね。金属とかアクリルのピック使ったら楽しそうだ…
ネモト:ピック使ってもいいし、アクセントでプルを入れたりしても楽しい。音は倍音がカットされている分地味な感じだから嫌いな人はいるかもね。
Cheena:4×2弦ベースに似合いそうな弦だ… ※多弦と副弦を区別し混乱を避けるためチューニングの組数×複弦の数で表記します。例:通常の5弦エレキベース→5×1弦、レギュラー+ナッシュビルの12弦ギター→6×2弦
ネモト:4×3弦とかあるね。トム・ピーターソンとか。
あれはあれで大変よろしい音をしている。
やってる人はあまりいないけどメーカーによっては弦のカスタムオーダーができます。SITだと1本1000円(太さにより変わる。1000円だったのは.011だったかな)で10本以上から受付だったかな。うろ覚え。
Cheena:バラ弦でセット組むのとオーダーと、どっちがいいかってなったらオーダーの方が気分が上がりますよね…
箱買いとかオーダーとかしてみたい。
ネモト:私も箱買いやってみたいな。でも箱で買いたいほど使いまくっている弦がないという。
Cheena:プレテク弦のでかい箱があれば調整用に重宝しますね。ギター弦は紙包装なので10セットずつぐらいでビニール袋に密封されてるといいな…ベース弦は高いのでそうそうセットは見ませんが、サウンドハウスならやってくれると信じます。
ちなみにこれはダダリオのギター弦25セット箱。
DADDARIO ( ダダリオ ) / EXL110-B25 Bulk Shop Regular Light
これ一箱に匹敵するピュアシルバー弦1セットの値段、おそろしい…
ネモト:仮に25セットで1箱だと仮定するとダダリオでも5万ちょっとかな?高いなぁ。
純銀弦は高いね。仮に買ったとして、交換の時期が来ても私なら捨てないでなんとかして銀の部分だけ取り出しそうw
Cheena:磨いて叩いて伸ばせばコインぐらい作れそうですねえ…
ネモト:自作銀貨とか胸熱。2枚目以降は多分作らないだろうけどw
Cheena:おっと脱線脱線。軌道修正したいところですが素材とか構造方面の話はしましたし、実際の弦セットの特殊なやつでも紹介してみますか?
ネモト:そうだね。やろうか。
Cheena:基本的なのはやっぱり6×2弦ギターとか4×2弦ベースの副弦ですかね。あとはギター弦より長めで太いバリトン弦とか1オクターブ上に合わせる細いピッコロベース弦。
DADDARIO ( ダダリオ ) / EXL280 Nickel Wound Piccolo Bass 20-52
ネモト:面白いやつだとコアがマンドリン弦という変わった弦もある。
MJC Ironworks ( エムジェイシーアイロンワークス ) / MJC-ML45105SS4
Cheena:コア弦には色々ありますねえ。断面が6角形のものを採用したり、敢えて捻ってみたり。
あ、ちなみに弦ごとの音量バランスっていうのは弦の太さ自体ではなくコアの太さに依存しますよ。ベースは基本的に大丈夫ですけど、ビンテージとかオールドスタイルなギターで音量のばらつきに悩まされる方には3弦がワウンド弦になっている少し太めのゲージをおすすめします。ジャガーの弦落ちもストラトの音量も解決できるので。
こんな感じのがあります。「Wound 3rd」で調べるといいかな。
DADDARIO ( ダダリオ ) / EXL110W XL Nickel Round Wound Regular Light / Wound 3rd
ネモト: そういうのもあるので違うメーカーの弦を混ぜるのは良くないとされてます。でも8×1弦セットや9×1弦セットは存在しないので混ぜている。特に不具合は感じてないかな。コントラバスはじめ生楽器だと低音弦と高音弦を違う弦にするって普通なんだけど、これはエレキならではの泣きどころになるのかな。
Cheena:普通に考えて混合を推奨するメーカーはありませんよね……ただ、どこかの古いブログでギター弦の4弦をマンドリンだか何かのプレーン弦に交換してチョーキングをやりやすくしていた、みたいな話はあったような。奏者側としては普通の楽器でも時折行なっているわけですね。
GeoCitiesやGoogle+なんかのブログサービス終了に伴って失われた遺産は大きい…
インターネット考古学は暇な時にでもするとして、弦の混載が良い場合のわかりやすい例があります。
低音側は柔らかく高音側が硬めのプレベサウンドをジャズべ的な他のシングルコイル系ベースで再現しよう、となったときに高音側をステンなどのラウンドワウンド、低音側をナイロンやフラットワウンドと混載し、さらに弄れる場合はサドルをチタンとTUSQで合わせるなど。
ただただ望む音質を求める、という場合には弦の混載は強力な手段になりますね。
あとIbanez Ashulaを使う時は混載をお勧めします。フレットレスとフレッテッド混ざってるので。
ネモト:確かに優秀だね。コントラバスだと低音弦は立ち上がりに優れたスピロコア、高音弦は柔らかい音のベルカントを張ったりする(チェロだとスピロコアとラーセンがメジャーな組み合わせ) 混載ではないけど、主にメタル界隈で通常の4弦ベースに5弦セットの2?5弦を張ることがある。
なんなら4弦を全音下げでAにすると謎の低音が出てくるようになるよ。ナットの加工を伴うので気楽には試しづらいかも。
読者様、沼でしょ?
Cheena:これ以上の沼がさらにあるんですけどね。弦の長さ当たりの重量やコア線の比重、張力と弦長の関係なんかも語りたいところですがどうしますか?
ネモト:次回といたしましょう。長くなりすぎてしまうし、トークの内容が濃すぎるから読者様疲れてると思うから。
ありがとうございました。次回をお楽しみに!
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