サウンドハウスの定番商品の一角を担うのが、CLASSIC PRO / PDM/R(安定化電源)です。発売から15年以上、サウンドハウスユーザーの皆様に愛されてきたロングセラー商品です。そんな愛すべき商品をもっと皆さまに深く知っていただきたく、現場でのトラブル事例を元にした使用上の注意点や、万が一調子が悪くなった際のメンテナンス調整方法もご紹介致します。
目次
1. 製品概要 ~安定化電源とはどのような製品か~
CLASSIC PRO / PDM/Rは安定化電源です。
では、安定化電源とは一体どういうものなのでしょうか。
イメージ図をご覧ください。

入力電圧と言われるのは、いわゆる大元の電源(電源コンセントなど)からの電圧です。入力電圧は環境、使用状況によってはAC電圧が不安定になる、ドロップする現象が発生する場合があります。安定化電源はそのような不測の事態に対処し、接続機器が安全に安定的に動作するよう、常に100V前後の出力電圧をキープする役目を持ちます。これが安定化電源の役割です。
CLASSIC PRO / PDM/Rでは現在の入出力電圧の状態をディスプレイでチェックすることができます。安定化電源が正しく機能しているかディスプレイ上でも視認できます。ディスプレイの表示については、一度お使いの環境下で正しく表示されているかチェック、調整をされたうえでお使いいただく方が良いです。
以前の記事でもこの調整法を紹介していたので、気になる方はこちらもご参照ください。
⇒ 【図解!】CLASSIC PRO PDM/R ディスプレイ電圧表示を合わせる!
2. 使用上の注意 ~現場であったトラブル事例~
CLASSIC PRO / PDM/Rに関して、これまで現場で実際にあったトラブル事例やご相談の多いケースについて、いくつかご紹介します。
UPSとの併用について、矩形波出力のUPSとの併用はNG
UPSの出力波形は矩形波のものと正弦波のものが存在します。PDM/Rでは矩形波出力の電源では正しく動作しませんので、必ず正弦波出力の入力電源が必要となります。またUPSを併用する場合、消費電力容量に余裕があるもの(2000VA/2000Wクラス以上)を選んでください。
パワーアンプとの併用について、突入電流の大きいパワーアンプとの併用NG
電源ON時の突入電流(ラッシュ電流)が大きいパワーアンプの場合、PDM/Rの1口当たりの最大電流容量10Aを上回る突入電流が流れることがあり、その都度電源がシャットダウンされてしまいます。近年、突入電流抑制回路を搭載したアンプやスイッチング電源回路のアンプが主流になってきており、多くの場合で突入電流は制御されるようになっています。しかしながら一部のパワーアンプでは、電源トランスによるリニア電源回路が採用されており、それらのパワーアンプは突入電流が大きくなります。中には突入電流が40A以上流れるアンプも存在しているため、それらのパワーアンプはPDM/Rと併用ができません。
発電機との併用について、インバーター式発電機との併用を推奨
PDM/Rは屋内の商用電源(電源コンセント)からの電力をより安定化させるための、補助機能の役割を果たします。インバーター式発電機以外の発電機では、PDM/R内部のマイコン制御が誤作動を起こす可能性があり推奨しておりません。また矩形波出力の発電機もご使用いただけませんので注意が必要です。
3. メンテナンス ~詳細な調整法~
お問合せや相談を受ける中で、お手元での調整で解決するケースもいくつかあります。
また近年、中古市場で入手した個体の調整などご相談を受けることがありますが、調整のみの場合でも作業工賃などが発生するため、極力お手元で調整できる方であれば調整を実施いただければ幸いです。
なお、調整にはマルチテスター、ゴム手袋、ドライバー、精密ドライバーが必要になりますので、その点ご容赦ください。
まずはどの部分を調整するか分かりやすくするため、天板を外した状態で上から撮影した画像です。下画像の赤枠の部分を今回調整します。

それでは赤枠の各部分の詳細調整方法をご紹介します。
それぞれの作業にあたり、感電防止のため、必ずゴム手袋の着用をお願い致します。また不用意にドライバー等の金属部分が基板の素子部分に触れないよう、十分に注意を払って作業を行ってください。
出力電圧の調整

右側(黒丸部分)のトリムポットで出力電圧の調整が可能です。
PDM/Rの出力電圧をテスターで計測しながら、出力電圧調整トリムを回し出力が100V付近となるよう調整してください。誤差±1~2V程度であれば許容範囲内のものです。
OUTPUTレギュレーションLEDの調整

OUTPUTレギュレーションLEDについて、左側(赤丸)のトリムポット調整にて点灯範囲の調整が可能です。
また点灯範囲がズレている場合でも(正常出力範囲内でレギュレーションLEDが消灯状態でも)テスターなどを使用して出力電圧が実測100V±5V以内であれば、そのままお使いいただいても全く問題ございません。
OUTPUT REGULATION_LEDが消えやすい場合は、内部にあるR48のトリムを反時計回りにおよそ1目盛り回すことでLEDの点灯具合を修正可能です。
上記調整方法をご紹介しましたが、それでも機器の不調が続く場合は、一度弊社サポートへご相談いただければと思います。
今後ともCLASSIC PRO / PDM/Rを長くご愛顧いただけますよう、よろしくお願い致します。