どうもこんにちは
先月、好きなアイドルグループの推しの方が卒業を発表されてなんだか毎日上の空な者です。
さて今回は、ピックガードやコントロールパネルを外してみると貼ってあるアルミシートのお話なのですが、なんで貼ってあるのでしょうか?
結論から申し上げますとノイズを減らすためなのです。
じゃあなんでノイズを減らせるの?
ってお話なのですが、ピックガード材に使われている樹脂は絶縁体で金属は導電体。
つまり金属でノイズの原因になる高周波などを集めてあげないとキャビティ内にあるノイズの素が出力のラインに乗っかって一緒に出てきてしまうわけなんです。
Fender社のテレキャスターやジャズベースのコントロールパネルが金属製なのも、シングルコイルピックアップの弱点でもあるノイズを軽減させるためだったりします。
それに付随してパネル全体がアースの役割を果たすので、ポット間やジャックのアースを配線材でつながなくて済むため配線材の節約にもつながります。
さらに付け加えると、アースの配線をしない事で技術者の熟練度も低くて済み、作業時間の短縮もできる。
つまり製造業の経験のないパートの人材で生産効率を上げられる画期的な設計なのです。
近年人気の高いジャパンビンテージのギターも、ピックガードにアルミシートを貼って配線を省略しているものを多く見かけますし、Gibson社もコントロールキャビティ内にアルミのプレートを入れて同様の事を行っていますね。
しかし、一見良いとこばかりに思えるアルミシートですがもちろん欠点もあります。
例えば先ほど挙げましたアースの配線を省略する場合、これはポットを回して緩んでくると導通が不安定になりノイズの原因になったりします。
そのため、ギターメーカーによりさまざまですが、ピックガードにアルミシートを貼ったものやテレキャスターのような金属プレートを使用したものでも、ポットなどのアースを配線材でつなげているものが多いように思います。
そしてよく言われているのがハイ落ち、つまり高音域の煌びやかさが失われるというものです。
正直私はあまり気にしたことはありませんがそう感じられる方も多いようです。
正確に数値として測ったことはないのでなんとも言えませんが、理論上キャビティ内の高周波を捨てているので音に何らかの影響が出ることは間違いないと思います。
ですがこのあたりの影響は程度の差があったり、音の好みもあったりしますのでとりあえずやってみて良かったらそのまま、良くなかったら剥がすくらいの考え方で良いんじゃないかなと思います。
アルミシート自体がそこまで高価なものではないですからね。
さて、アルミシートについて一通りお話しましたが、ここからは実装にあたっての注意点です。
まず1番大切なこと、それは必ずアースに落とすということです。
まぁこれはピックガードであればポットと接触しますし大丈夫なのですが、問題はコントロールパネル(ボディ裏)に実装する場合です。
レスポールモデルのようにギターの電装系のパーツが直接ボディに取り付けられていて、裏を樹脂パネルで閉じている場合、これはアルミのシートがパーツと接してしないので何らかの方法でアースに落としてあげないと逆にノイズが増えてしまいます。
製品でよく見かける方法としてはキャビティ内に導電塗料を塗り、銅やアルミのテープを使ってパネルと接触させるというものです。
この方法がもっともスタンダードではあるのですが……
えっ!!導電塗料ってなに?と思われた方に向けてや、それをやるにあたっての注意点などもありますのでまた次回説明いたしますね。
そして同じくらい大切なのが実装前に導通をしっかりチェックすること!!です。
なんで?そんなの導通するに決まってんじゃんと思われるでしょうが意外とそうでもないのです。
アルミシートには腐蝕防止のための溶剤が塗っていることもあり、これが原因で導通がとれない場合もあるのです。
大半のものは問題ないと思いますが、このような場合はシンナーやパーツクリーナー、除光液などで拭いてあげれば溶剤が落ちて導通がとれるようになります。
もう一つの注意点としてはできるだけ1枚モノのアルミシートを使用してください。
というのも節約のためにホームセンターなどで売っているアルミテープ(ガムテープくらいの幅のもの)で代用する方法をとられている方もたまに見かけるのですが、市販のアルミテープですと先ほど申し上げた腐蝕防止の溶剤が塗られていることが多いです。
そしてテープに使用しているのりは絶縁体なので重ねて貼った場合、モノによりますが導通が取れなくなります。
試しに会社にいた野生のアルミテープ2枚重ねてチェックしてみたところ、導通はとれませんでした。
こうなると一生懸命作業しても時間とお金の無駄になりますので、個人的には楽器用として販売されている1枚モノのアルミシートを使用することをおすすめします。
そして最後に弊社でもアルミシートの取り扱いがございますので一部紹介させていただきます。
MONTREUX ( モントルー ) / Aluminum Shielding Tape [8641]
もっともスタンダードなアルミシートでお好きなサイズにカットしてピックガードやキャビティパネルに使用することができます。
MONTREUX ( モントルー ) / Montreux SC Aluminum Shield Plate [9173]
FENDER ( フェンダー ) / American Vintage 62 Stratocaster Pickguard Shield Aluminum
こちらの商品はアルミプレートで前者よりも厚みがあり、ピックガードとボディの間に挟み込み使用していただくタイプです。
挟みこむだけでノイズ対策ができるのでとてもお手軽ですが、ピックガードの穴数や位置の制約があるのでご購入の際はしっかりとご確認ください。
LOGOS ( ロゴス ) / 焦げ付きにくい焼きそばシート
最後はLOGOSの焦げ付きにくい超極厚のアルミシート。
こちらは楽器用ではございませんが、焼網に敷くだけで鉄板代わりになり厚みがあるので形を整えて使えば鍋の代用品としても使える優れもの!!
キャンプやBBQがお好きな方にオススメの商品です。
いかがでしたでしょうか?
今回はピックガードに貼られているアルミシートについて解説しました。
肝心のノイズ軽減効果についてですが、個人的には結構効果を実感できるので、ノイズでお悩みの方は一度試されてみても良いんじゃあないかなと思います。
まぁ効果があるからこそ多くのギターメーカーで採用されていて、またメーカーごとにさまざまな手法で取り付けられているんですけどね。
このブログを読んでくださった方がギターの演奏面だけでなく構造面にも興味を持っていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまたサウンドハウススタッフブログで会いましょう。