はじめに
サウンドハウスでギターをお探しの皆さん。エレキギターには、様々なデザインがありますよね。無骨だけど可愛いテレキャスター、骨太でロックなレスポール、定番かつスタイリッシュなストラトキャスター。どれも格好良くて迷ってしまいます。
でもちょっと待ってください。そこから少し視野を広げてみると、王道のモデルとはどこかが違う、個性的なギターがいくつも目に飛び込んできます。そしてそんなモデルには、それぞれのモデルならではの魅力がたくさん!
というわけで今回は、よく見るのとはちょっと違う、でも全く違うわけでもない。そんな、王道仕様からは少し外れた仕様のギターたちを紹介していきます。
価格を10万円以下に抑えたモデルを3つ集めましたので、最初の相棒が欲しい方も、新たな仲間を探している人も、ぜひチェックしてみてください。
BACCHUS Windy


まずは筆者の使用ギターから。Windyはロングスケールのネックにオフセットボディの、ジャズマスタータイプのギターです。しかし、よく見るとかなり違うかも。
WindyにはP90タイプのピックアップが搭載されています。これはもともとGIBSONで開発されて、レスポールやSGなどに搭載されていた、シングルコイルのピックアップです。見た目はジャズマスターのピックアップと似ているんですが、じつは別物。サウンドが異なるというだけでなく、大きさも異なっているので、ピックアップを交換しようと考えている人は注意が必要です。
ブリッジも違っていて、これもレスポールなどGIBSON系のギターによく使われているT.O.Mタイプのものです。弦はストップテールピースで固定されていて、ブリッジとは独立しています。アームは付いていません。
小さな違いですが、ピックアップセレクターが左上に付いているのも個人的に嬉しいポイントです。
これらの特徴から、サウンド的にはジャズマスターよりもレスポール・スペシャルに近いのではないかという印象です。一方、弾き心地はジャズマスター的。オフセットボディで抱えやすく、コンター加工もなされているので非常に弾きやすいです。
本機はナトー(マホガニーに似ている)材のボディですが、これがアッシュに変更されたモデルや、いわゆるテレマスタータイプのモデルなど、バリエーションも豊富。筆者が今イチオシのギターです。
惜しむらくは、サウンドハウスで取り扱われていないこと。ここを通して、より多くの人にWindyを、そしてBACCHUSのギターを使ってほしいと、いちユーザーとして願っています。
こちらもオススメ!
■ FENDER ( フェンダー ) / American Performer Jazzmaster Satin Lake Placid Blue
■ Tagima Guitars ( タジマギターズ ) / TW-61 BLACK
SQUIER Contemporary Jaguar HH
続いてはFENDERの廉価ブランド、SQUIERからの紹介です。直系ですから、堂々とジャガーを名乗れるのも嬉しいですね。
もともとはFENDERの最上位機種として開発されたジャガー。その特徴は、何と言ってもメカメカしいスイッチの数々。格好良いのですが、回路が複雑になって故障しやすくなったり、手が当たって勝手に変わってしまうからとテープで固定されたり……。何となく報われない部分もあるデザインなんです。
Contemporary Jaguarでは、そのルックスをある程度は継承しつつ、根本から機能を見直したモデルです。プリセットやローカットスイッチはなくなり、代わりにピックアップのコイルタップや、直列/並列の切り替えができるようになりました。
コイルタップとは、ハムバッカーを擬似的なシングルコイルとして使える機能です。通常のジャガーに搭載されているのはシングルコイルなのですが、本機にはハムバッカーが載っています。ハムバッカーはノイズが少なく、パワーもある反面、繊細な音が出しづらかったり、うまく音作りをしないと抜けが悪くなりやすいんです。そこで、コイルタップを使うことで、ジャガーらしいジャキジャキした音も再現できるようになっているのですね。
そのほか、ジャガーの弱点とされていた弦落ちしやすいブリッジやチューニングが狂いやすいフローティングトレモロはT.O.Mとテールピースに変更されています。ただし、アーミングができなくなったことには注意。
その仕様や爽やかで目を引くカラーリングから、モダンな雰囲気を感じる一本。幅広い音楽に対応したいときには、要検討かもしれません。
YAMAHA Pacifica 611 VFM
最後に紹介するのは、ご存じの方も多いでしょうこの一本。アニメの影響から人気が爆発した、YAMAHA Pacifica 611 VFMです。筆者がPacificaを狙っていたとき、突然の人気を受けて販売価格が上昇、さらに品切れ状態となり、泣く泣く断念した苦い思い出があります……。そのおかげで、先述のWindyに出会えたのですが。
話を戻して、Pacificaの仕様について。ピックアップはフロントにP90、リアにハムバッカーという珍しい組み合わせです。フロントは甘く、リアは力強くという、ポジションから連想される音色のイメージ通りに使いやすい設計だと思います。
Pacificaの凄さの一つは、やはりその価格では安すぎると思えるほど、高品質なパーツを使用していることです。Seymour Duncanのピックアップに、Wilkinsonのトレモロユニット、Groverのロッキングチューナー、GraphTechのナットなど、パーツ代だけで本体価格の何割も占めてしまいそうな製品が、この一本に組み込まれています。
ギターの形状は、ストラトタイプ。ただし、通常のストラトとはかなり違いを感じますね。このあたりのデザインは、好みが分かれやすい部分かもしれません。とはいえ、実際に弾いてみると、ストラトらしい弾きやすさはしっかりと残っていて、ロングスケールで弦を押さえにくい、なんてこともありません。ナット幅も41mmと、かなり細めに作られています。
Pacificaは3万円ほどで買えるものから、本機のようにパーツにこだわったグレードのものまで、幅広く展開しています。ピックアップの構成やトレモロの有無など、プレイヤー自身の求めるスペックに応じて最適なモデルを選べるようになっています。初心者のうちから良いギターで練習したい人は、まずは一度手にとってみることをおすすめします。
終わりに
定番のものは良いことは分かっているけど、何となく選びたくない。そんな天邪鬼さんの気持ち、筆者にはよく分かります。今回ご紹介したのは、筆者が目を奪われてしまったものばかり。
使うギターからも個性を出したい、そんなアーティスティックなあなたには、これらのギターを一度試していただきたく思います。
今回もありがとうございました。
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