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「時速五キロの神」から学ぶこと

2022-09-19

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

小山晃佑(こやまこうすけ)という著名な神学者は世界的に有名であり、「時速五キロの神」という本は世界各地で読まれている。小山氏は戦後すぐにアメリカに渡り、プリンストン大学で神学博士号を取られた。その後、タイ、シンガポール、ニュージーランドで教鞭をとり、最終的にはアメリカに戻られ、ニューヨーク州のユニオン神学校で長年にわたり教えられていた。1980年代、小山氏の存在を知った自分は、わざわざユニオン神学校まで訪ねて行ったことを覚えている。

「時速五キロの神」という本の内容は衝撃的であり、最初に手にした1983年、自身の在り方を深く考えさせられた。世界史の中で最も偉大な人物、歴史を大きく塗り替えた人は誰か、と言えば、まぎれもなくイエス・キリストの名前が筆頭にあがる。多くの証言、歴史書、そして歴史の流れから推察するに、イエス・キリストの偉業は人知では計り知れないほどのインパクトがあり、当時の人々の驚きは察するに余りがある。イエス・キリストは、多くの人々の病を癒し、悪霊に取り憑かれた人の悪霊を追い出し、盲人の目を開き、そして死人をも蘇らしたのだ。そんな話を信じる、信じないは別として、もし、タイムマシンがあるならば、『Back to the Future』のように、イエス・キリストが地上を歩かれていた時代を訪ねてみたいものだ。イエス・キリストの登場以降、人類の歴史は大きく変わったことに違いはない。

さて、本題に戻ろう。世界の歴史を最も大きく動かしたイエス・キリストではあるが、実は、キリストは、時速5kmでしか歩かなかったということに小山氏は着眼した。当時は車もなければ自転車もない。ただ、田舎町の集落を転々と渡り歩きながら、人々と出会い、手を差し伸べていく。しかもイエス・キリストは、時間を見つけては群衆を避けて静かな山に登り、ひとり聖黙の時を過ごされたという。それでも、歴史が大きく変わったのだ。歩くだけで、歴史が動いていく。。。

今の自分はどうだろうか。情報量が満載のデジタル化時代において、朝起きた瞬間から、それら最新情報の収集からはじまる。メールに流れこんでいる大量のメッセージを片っ端から処理し、Lineやメッセンジャーのアプリ系にも目を通し、同時にテレビのモーニングサテライトから経済情報を聞きながら、新聞からは当日のニュースをいち早くゲットする。そして自分のカレンダーを確認すると、やるべきことがいっぱいたまっていて、待ったなし。すべて、フルスピードでこなしていかなければ夜までに到底終わる量でないことは、一目瞭然である。そして連日、「まだまだ!」と気合を入れつつこなしていくものの、最近では歳をとってきたせいか、夜9時過ぎ頃になると「助さん、格さん、もういいでしょう!」という水戸黄門の声が聞こえてくる。

この大きな違いはなんだろう。かたや、何も手にせず、時速5kmで歩きながら人々に語りかけ、時には奇跡を成し遂げ、歴史を大きく塗り替えたイエス・キリストがいる。が、いざ自分を振り返ると、休む間もなく働き続け、身を粉にしてまで毎日自分をすり潰しているにも関わらず、ふと気が付くと歴史が変わるどころか、単に自分が年老いていることだけが心に突き刺さる。この人生観と生き方の相違、時代背景の激変、生きることの目的を振り返らずして、自らの成長はもはや考えられないと断言できる。

とはいえ、「わかっちゃいるけど、やめられない」毎日の流れがある。よって毎朝、聖書を読み、ひと時祈りの時間を持つことでかろうじて、自分の心身を支えている。冷静さを保ち、時代の流れを見据え、自らの歩むべき道を見定めるためにも、最小限、必要な手段であろう。それが禅であっても、瞑想の時間であっても、いい。大事なことは、自らを振り返り、生きることの大切さ、目的を知り、生かされていることに感謝することにつきる。つまるところ、人にとって良いことは、日々、感謝して美味しいものを食べて、ぐっすりと眠れることだと思う。それさえも犠牲にしてがむしゃらに働いても、結局歴史は動かないのだ。現代人に、そして自分にとって大切なことは、時速5kmで歩き、周りを見渡しながら、周囲の人々に人生の恵みを証しつつシェアすることのように思えてきた。夢のような寝言は続く。。。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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