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OKUCHIBA Fes Vol.9 OTO TO OTO -ジャンルを超えて-

2025-11-10

テーマ:イベント・ライブ情報, アーティスト&楽曲

千葉県の、東京から見て“奥側”のエリアで盛り上がる「OKUCHIBA Fes」!2021年に第1回を開催してから早4年。もうすっかりおなじみのイベントになったのではないでしょうか!

OKUCHIBA Fesとは?

千葉県横芝光町出身のベーシスト依知川伸一氏が立ち上げた奥千葉プロジェクト(0479クラブが進化しました)主催の音楽祭。奥千葉プロジェクトは、千葉県北東部(山武・成田・香取・海匝)を中心に千葉県の文化発展に寄与することを目標に掲げた団体で、年に2回、地域内のホールでコンサートを行っている。
https://0479.love
https://okuchiba.com

⇒ 第1回東総音楽祭レポート
⇒ 第2回東総音楽祭レポート
⇒ 第4回東総音楽祭レポート
⇒ 第5回東総音楽祭レポート
⇒ 第6回東総音楽祭レポート
⇒ 第7回東総音楽祭レポート
⇒ OKUCHIBA Fes Vol.8レポート

今回の会場は「多古米」で有名な多古町のコミュニティプラザ文化ホール。

これまでの回は、プロミュージシャンによるダイナミックなライブイベントでしたが、今回は趣を変えて、若手アーティストをフィーチャーした、ジャンルの垣根を越えたステージとのこと。

依知川さんの紹介で登場したのは、安藤巴さんと楠瀬亮さん。二人とも28歳で、東京芸術大学の同級生。今は鋸山が有名な千葉県鋸南町を拠点に活動するマルチプレイヤー同士のデュオです。

依知川さんが選考委員を務める、千葉県のアーティスト・フォローアップ事業 の第一回目に、安藤さんが応募してきたのが出会いだそう。

今日、何の曲をやるかは決めていないという二人。

まるで自室のようなセットの両サイドに立ち、「どうする?」とアイコンタクト。おそらくどうするのか決まっていないうちに、楠瀬さんがサックスを手に取り、曲とも言えないフレーズをゆったりと吹き始めます。

それを聴きながら、安藤さんが大き目の巾着袋から、小さな打楽器をいくつも取り出しテーブルに配置。その途中で小さな笛を口に咥え、時折トビのような音をピー…と鳴らします。

一体、何が始まるの…!?

テーブルに打楽器を置き終わると、その打楽器をサックスに合わせてひとつずつ足していきます。実際に使われているところを見たことがないような楽器が、次から次に繰り出され、その音色に客席は釘付け。

少しすると、楠瀬さんがサックスを置いてピアノに移動。サックスで吹いていたフレーズを何となくなぞりながら、ゆるりと演奏は続きました。

まるで油絵を塗り重ねていくような音楽。

「こんにちは。」

弱い風が吹き抜けたように最初の曲が終わると、奥ゆかしく一礼。独特のゆったりとしたMCが、客席の緊張をほぐしていきます。

安藤さんがトークをする間、楠瀬さんがマイクを片手に何やら機材を調整。そしてゆるりと始まる演奏。

ルーパーを使い、さまざまな口笛のパターンを幾重にも重ね、フワフワ・ピヨピヨとした不思議なサウンドを作っていきます。

その音に乗せて、安藤さんが複数の管が並んだ笛パンパイプを少し吹き、手元にあったカリンバをポロポロ。

演奏の行方を固唾を飲んで見守る客席。

そして、楠瀬さんがガットギターを手に取り、安藤さんが歌い出したのは、童謡『かなりや』。

あーーー!この口笛はカナリアの鳴き声だったのか!
楽曲の正体がわかった瞬間、その衝撃は感動に変わっていく…なんというアート!

筋書が無いようで、実は計算されつくしているというのでしょうか。確かな実力があるからこそ作り出せる世界です。

『かなりや』は、二人が住む鋸南町にゆかりのある西条八十が作詞した歌ということで、演奏してみたのだそう。

突然、安藤さんがゆっくりと立ち上がり、意味ありげにストールを巻きました。

まさかお芝居もしちゃうの!?と思ったら、少し離れた床に置いてあるグロッケンを叩き始める。

その横で楠瀬さんがギターで弾き語ったのは、地元の小学校との交流から生まれた歌。曲名が無かったそうで、その場で曲名が決まるというサプライズも。

次は安藤さんのピアノ弾き語り。ルーパーでコーラスを風のように重ねていきます。

「この曲には歌詞が無いんですが、言葉が出てきたら歌います。」

そんな曲が多いという。

その後も、飲みかけのヘネシーの瓶を叩いてみたり、友人のインドネシアのお土産の笛を吹いてみたり、超ミニサイズのカリンバを2つ同時に弾いてみたり、秋の歌メドレーでは、虫の声を様々な楽器で表現してみたりと、斬新な楽器が絶え間なく続きます。

「トイレ行ってくる!」

またまた突然!MCの途中で安藤さんが離脱!

予定調和など存在しないこのステージでは、そんな緊急事態もたやすく包み込んでしまうのでした。

ラストはギター2本で弾き語り。「なめ茸ごはんがもったいなーい♪」澄んだボーカルから放たれる、言葉遊びのボール。

まるで妖精が遊んでいるような不思議なステージは、終わり方も風のようでした。それにしても情報量が多かった!

デジタル化が進む世の中ですが、お二人のようなアーティストもサウンドハウスはしっかり応援していかなくては!と強く思ったのでした。


第二部はエレキベースとチェロのコラボステージ。依知川さんと、世界的なコンクールで何度も1位を獲得している若きチェリスト・清水陽介さんの共演です。

この異業種コラボは、10年前に運命的な出会いをしたことから実現したそう。詳しいエピソードはこちらのプロフィールをご覧ください♪

「ベースとチェロのデュオを、僕たち以外に聴いたことがある人いますか?」

ともに低音楽器ですが、一体どう重なるんだろう?

2つの楽器の音のみではじまったのは『情熱大陸』!大地のような雄大でグルーヴィーな響きが会場を包みました。

「どんな楽器でも合わないことってないね!」手ごたえに満足気な依知川さん。

2曲目は、ふくよかなベースから始まる名曲『STAND BY ME』を依知川さんのボーカルで。オリジナルはコントラバスとストリングスが印象的な楽曲。このデュオにぴったりの選曲です!

次に、依知川さんが母校である横芝光町の「光小学校」に提供した校歌を二人で演奏。いつもは子どもたちが元気に歌っているこの曲も、チェロが歌うとメロディの美しさが際立ちます。

チルいなぁ…とまったりしていると、突然聞き覚えのある物々しいフレーズが…。これは映画『ゴジラ』のテーマ!さっきまでの温かな雰囲気から一転し、恐怖と緊張感が同じ楽器から生み出されます。なんていう迫力!

再び依知川さんがボーカルをとり、これまた名曲『上を向いて歩こう』を軽やかに。ボーカルに付かず離れず寄り添うチェロのフレーズが、これまた心地良い。

「さて、せっかく陽介君が来てくださったので、チェロのソロを聴いてみたいなと!」

大きな拍手の中、ステージは清水さんとチェロだけに。品格のある凛とした佇まいが何とも美しい。これがコンテスト覇者の風格!

「“どんな風になるのかな?”ってところから始まり、レパートリーができてきて、こうして二人で楽しく演奏できることを、とっても幸せに思っています。」

空港の保安検査で依知川さんと出会ったときのエピソードでほっこりと会場を笑わせ、チェロという楽器の紹介を少し挟むと、

「この場所の空気を感じながら演奏できたらと思います。」

ハイポジションを使った鳥のさえずりのような音で始まったのは『鳥の歌』。チェロの神様カザルスが、出身地であるスペイン・カタルーニャの民謡をチェロのために編曲した楽曲。朗々とホールに響き渡る伸びやかなチェロの音色。

2曲目は『Black Run』というイギリスの奏者スヴァンテ・ヘンリソンの楽曲。
「目から鱗なチェロの技術もお楽しみいただけると思います。」
弦をはじいたり、ボディを叩いたりと、今まで見たことのないチェロの奏法がふんだんに盛り込まれたこの曲。1854年製の貴重なチェロを叩いちゃっていいの!?ハラハラする客席を、高速のチェロ裁きで翻弄します。おそらくこの1曲で、チェロが出せ得る音を上から下まで全部聴いたのではないでしょうか…?

「チェロは子どものうちから始めないと難しい!」という依知川さん。
「いつでも初めてほしいですけどね♪」と返す清水さん。

難易度が高いほど燃える!という方はぜひ挑戦してみては?
実はサウンドハウスでもチェロの取扱いをはじめています!
⇒ チェロ一覧はこちらから

ちなみにエレキベースは、70歳からはじめて、80代でバンドを3つ掛け持ちしている方もいるそう!
⇒ エレキベース一覧はこちらから

「もう少し2人で演奏します。」

始まったのは、Beatlesの『Come Together』。ベースのイントロが印象的なこの曲も低音デュオにぴったり!

本編ラストは『いのちの歌』。まさに命を感じる壮大なサウンドが、雄大な景色を描いていきます。

大きな拍手に送られた二人は、すぐにアンコールでステージに呼び戻され、最後に演奏したのは、チェロによるデュオ・2CELLOSの『Kagemusha』。エレキベースに置き代わることで、原曲よりもインダストリアルな雰囲気に。

刺激的な音楽にたくさん触れることができた今回。
依知川さんの若手ミュージシャンへの期待が伝わってくる、フレッシュであたたかなイベントとなりました!

次回のOKUCHIBA Fesは未定だそう。きっとまた面白い企画で驚かせてくれること間違いなしです!

奥千葉プロジェクトでは、音楽のほか、スポーツや農業の発展・発信にも力を入れていくそう。
詳しくは ホームページ をチェックしてみてください!

SNS / 清水

弾き語りでの音楽活動を続ける中で、学校や自治体などに楽曲を提供。そこから音楽での地域活性化に関心を持ち入社し全国の音楽イベントを多く取材。コミュニティFMでのパーソナリティ経験あり。音楽はどんなジャンルも楽しく聴きます。

 
 
 
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