先日、ボードを組むならシミュレーションを!というような内容の記事を書きましたが、そもそもボードって何をどう入れるのがいいのか、そもそもわからないという方が多いことと思います。
いや正直、正解はないので個性を爆発させて試行錯誤して作っちゃって欲しいものですが、それでもセオリーというか、ある程度の指標があった方が苦しまずに済むというのもまた事実。
というわけで、私なりに皆さんの個性を殺さず、かつ迷いづらいボードの組み方というのを、何回かに分けていくつかのパターンをご紹介できればと思います。長い旅になるかもしれませんが、お付き合いください。
基本的にPedaltrainを使っての解説です。なぜならサイズがわかりやすいからです。
あ、このシリーズを読む上で絶対に思っちゃいけないことがあります。
「それ、マルチ一台で良くね?」
さて、今回は第一回。まずは Pedaltrain - Nano を使って小型直列ボードを組んでみましょう!
PEDALTRAIN ( ペダルトレイン ) / PEDALTRAIN NANO SC

おお、コンパクト。36cm×14cmです。小さくて軽いって正義なんですよ。
小さいからと言って妥協しているなんてことはありません。私が小型ボードでライブをするならこう、というのをしっかりと形にしたものです。このボードのコンセプト、組む際に考えたことを解説していきます。
まず、ボードの中身は以下の通り。
- TC ELECTRONIC / polytune 3 (チューナー)
- Ibanez / TS808 (オーバードライブ)
- VEMURAM / Jan Ray (オーバードライブ)
- ZOOM MS-50G+ (デジタルマルチエフェクター)
たったの4品。あ、電源を入れるなら裏側に VITAL AUDIO / VA-05 なんかを仕込んじゃえばOKです。1つ空きを作れるので、必要に応じてワウなどを外置きできます。
さて、肝心の考え方についてですが、本シリーズで紹介するボードは全て、汎用性、利便性、安定性を意識した構成を心がけています。そのため、この最小構成でも抜かりありません。
polytune 3 は言わずもがな、チューナーです。私、クリップチューナーをよく失くすのでペダルチューナーがないと安心できないんです。「おいおい」という声が聞こえます。無くさなければ省けるというのはごもっともです。しかしペダルチューナーには様々な恩恵があります。これに関してはペダルチューナーの良さを解説する記事でも書いて説明したいところですが、ざっくり申し上げると、
- 一発でチューニングができる
- クリップチューナーよりも精度が高いものが多い
- 視認性に優れる
- トラブル時にミュートができる
といったところでしょうか。これだけのようで、これだけの恩恵があります。演奏はチューニングから始まります。抜かりなく、しっかり確実に行いたいものです。
続いて TS-808 ですが、これはブースター枠です。私ならゲイン9時前後、トーンはギターに合わせつつ少し上げ目、ボリュームフルテンでセットします。ここぞというとこに踏んでおけば大体のことは何とかなります。パワーです。
さて Jan Ray です。私が無人島に持って行くならこれと愛してやまない一台。いや、無人島に持って行くなら他の選択肢かも。ちょっと言い過ぎました。とはいえ大好きなペダルです。言わずもがな、バッキング用にローゲインセッティングです。ミッドがちょうど良くなるようにEQは合わせて、どれくらい気持ち良くなりたいかでトリマーを決めます。ああ、買い戻したい。
最後に MS-50G+。何でも屋です。揺れ物空間演出、ハイゲインなんでもござれ。困った時の小型マルチです。癖になっちゃってます。説明するまでもなく、何にでもなれるこいつを入れておけば、多少の妥協は必要ですが音作りの幅を狭めることなく、欲しい音だけは狙って出せるようになります。
つまり、構成としてはこうです。
『チューナー+お気に入りの歪み2つ+万能役マルチ』
これが私的最少構成の答えですが、正解ではありません。回答例です。
せっかくなので他の回答例を挙げてみましょう。
- チューナーはクリップもしくはマルチで補うからコンプに置き換える
- アンプの歪みをスイッチして使うからブースター2発で良い
- そんなに凝った音を出す気はないからマルチをディレイ単発に置き換える

こんなボードになります。これもこれで答えです。
結局は何を求めるか、どういう環境で使うことを前提とするかです。てかいいな、これ。
JC-120 や Twin Reverb などの歪まないアンプ相手だと、ネオソウルなど歪み量が少なめのジャンルにハマると思います。逆にMarshall系や Deluxe Reverb 相手なら、歪みをたくさん用意できて楽しそう。全踏みでリードを掻き鳴らしたいですね。

もう一個答えを考えてみました。今のライン環境に合わせたものです。
Dream を歪み目でセットしておいて、SD-1 と RC でゲインを足すという考え方です。あまり歪まなさそうに見えますが、ギャンギャン歪ませることができます。SD-1はなんとなくAnniversary仕様にしてみました。色がかっこいいからです。El Capistan は合わせると楽しそうだから合わせてみました。動機ってこんなもんでいいんです。リバーブはDreamに入っているものを使うのでOK。
意外と4つだけでも手幅は広げられます。思いつく限りの音を詰め込むのは難しいですが、狙った音を出しつつ、余白を持たせることは十二分に可能です。
しかし、Nanoのこのサイズめっちゃ良い。考えてるだけで楽しい。組みたくなっちゃう。
というわけで今回の試行錯誤は以上になります。
次回は3列仕様の Metro を使って組んでみたいと思います。ここから一気に選択肢が広がります。小型ですら2,000文字を超えてしまっているので、なるべく抑えつつわかりやすく読みやすい記事を書けるように頑張ります……。
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