YAMAHAのSLB(サイレントベース)シリーズの人気もあり、エレクトリックアップライトベース(以下EUB)は以前より市民権を得ているように思います。私自身は以前にLANDSCAPEのSWB-STDを所持、使用していたこともありました。
コントラバスとEUBのそれぞれのメリット、デメリットについて考えてみます。
YAMAHA ( ヤマハ ) / SLB300 サイレントベース
LANDSCAPE ( ランドスケープ ) / SWB-STD DBK アップライトベース
① 見た目
コントラバスは実際に持ってみたり部屋に置いたりすると、驚きの大きさです。身長180センチ弱、横幅1.5人分といったところでしょうか。部活やサークルの合宿でソフトケースを寝袋にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
EUBはメーカーや機種によって形状、大きさはさまざまでYAMAHA / SLBシリーズは楽器を型どったフレームが付属し、前述のLANDSCAPEやNS DESIGNのように棒状のシンプルな見た目のものもあります。基本的にコントラバスより場所を取らないし、運搬が楽なのは間違いありません。
実際に部屋に置くとこうなります。防災の面では寝かせて置きたいところですが、畳1畳には納まりません。
NS DESIGN ( エヌエスデザイン ) / NXT4 Amber Burst
② 価格
コントラバスは価格の面でややハードルの高い楽器の部類に入ります。エントリーモデルで20〜40万円くらいの価格帯になります。
プロの演奏家だと通常100〜200万円クラスの楽器を所持している人が多く、上を見れば限りはありません。名器と呼ばれるものは桁が変わってきます。
EUBは弊社でも10〜20万円台から取扱いの商品があり、コントラバスより手に入れやすいと言えます。
Ibanez ( アイバニーズ ) / UB804-MOB
③ 生音 練習場所
アコースティック楽器の中ではコントラバスは生音の音量、音圧がある楽器なので意外と練習場所に困ります。とはいえ、生音の音色がコントラバスの最大の売りなのは間違いありません。
EUBはエレキベースと同様にアンプに繋いで音を出す前提の楽器ではあるものの、機種によっては生音(胴鳴り)が大きいものもあります。低音は弾いている自分が思う以上に建物内では響くので、居住環境によっては夜遅い時間帯は弾くのを避けた方が賢明です。
④ ピックアップ、アンプでの音作り
EUBについては、前述のようにアンプに繋いで音を出す前提の楽器であるため、まず間違いなくピエゾ、もしくはマグネットタイプのピックアップが内蔵されています。
コントラバスをアンプに繋ぐ場合はピックアップを取り付ける必要があります。指弾き、弓弾きのいずれにおいても音色を拾うことができる点でピエゾ・ピックアップがマグネットタイプよりも主流ですが、ピエゾを使用してもコントラバスの持ち味である音色はアンプを通して再現するのは難しいため、マイクで拾った音をアンプから出したり、マイクとピエゾの音をブレンダーで混ぜてからアンプに繋いだりします。
NEUMANN、DPAの楽器用マイクでコントラバスに取り付けるクリップが付きのものがあります。
NEUMANN ( ノイマン ) / MCM 114 SET コントラバス
DPA ( ディーピーエー ) / 4099-DC-1-201-B ベースセット
コントラバスに取り付ける代表的なピエゾ・ピックアップは以下の2種。
FISHMAN ( フィッシュマン ) / BP-100 Classic Series Upright Bass Pickup
REALIST ( レアリスト ) / WBASS-PU
大きな音量が必要な状況の場合、ピエゾは超ハイインピーダンスのためハウリングしやすく、マグネットタイプのピックアップを搭載しているタイプのEUBが音作りをしやすいケースが多いと言えます。
また、コントラバスにマグネットタイプのピックアップを載せるという選択もありロカビリーのベーシストの界隈ではむしろ主流でもあります。しかし、前述のようにコントラバスの持ち味である音色の部分で、アンプを使っての音作りがピエゾよりもさらに難しいというデメリットがあります。
⑤ 適したジャンル
いわずもがな、アコースティック寄りなジャンルにおいてはコントラバスが向いています。弓弾きが多いクラシックはもちろん、生楽器とのアンサンブルが多いジャズが挙げられます。
EUBのほうが適しているジャンルというのも確実にあります。クラブ寄りなジャンルやロック、ポップスでは、前述の音量の面をカバーしやすいというメリットが活き、絵面的にもEUBがハマったりもします。
まとめ
以上、5つの点でコントラバスとEUBを比較してみました。コントラバスがEUBより明らかに優れている点は生音で、その音色と音圧です。その部分をどこまで重要視するか、というところで選択が分かれるところではないでしょうか。
段階として、まず手に入れやすいEUBから始めてみて、その後コントラバスにトライする、というのも一つの選択かと思います。