はじめに
DTMにおいてEQを使う目的は「特定の帯域を増幅、あるいは減衰させることで各トラックの音の調整をすること」にあります。サウンドメイクの段階での味付けやMIXの際の「帯域整理」にて活躍するプラグインなので、DTMerにとっては生活の一部といっても過言ではない存在だと思います。
今回はDAW上で使用するプラグインソフトウェアの中から、筆者が個人的におすすめしたいEQをいくつか紹介します。
目次
- WAVES / Curves AQ
- FabFilter / Pro-Q4
- EVENTIDE / SplitEQ
- WAVES / PuigTec EQs
- Plugin Alliance / Maag Audio EQ4
- 番外編:DAW純正付属のEQ
WAVES ( ウェーブス ) / Curves AQ
「Learn」ボタンをクリックするだけで音源を解析し、最適なサウンドを判断して、5種類の独自のEQプロファイルを生成する、世界初の自律型EQです。
AI内蔵というだけあってUIもシンプルかつ近未来的な印象。複雑な操作を必要とせず5種類のEQカーブを提案してくれるのが嬉しいポイントですね。5つのEQコントロールを備えているので、自由なカスタマイズも可能。EQを初めて買うユーザーにはもちろんのこと、ある程度自分の「型」ができているユーザーにとっても、いい刺激を与えてくれるプラグインなのではないでしょうか。

FabFilter ( ファブフィルター ) / Pro-Q4
EQといえばこれ!というくらいにプロオーディオの現場をはじめ、多くのユーザーに愛されているプラグイン。視認性が高く直感的な操作が可能なUIで「細部まで音を詰めていく作業」をするのに欠かせない一品ですね。各トラックのインサートに挿して微調整をするだけでなく、ダイナミックEQとして2MIXを整える作業でも活躍します。何よりも歪みの少ない、非常にクリアな音質でイコライジングできる点がロングセラーの秘訣なのではないでしょうか。
■ 製品紹介動画
EVENTIDE ( イーブンタイド ) / SplitEQ
8バンドの精密で音楽的なフィルターを備えたパラメトリックEQ。一見すると普通のEQなのですが、本製品には面白い機能があります。M/S処理やL/R処理のように音の成分をトランジェント(マイクの破裂音、ボーカルの歯擦音、アタック)とトーナル(持続音、倍音成分、アンビエンス)に分割し、それぞれに対してアプローチできるという優秀なEQとなっています。 トランジェント、トーナルの配分を変えるだけでも大幅に音が変わるので、単なる帯域調整以上のサウンドメイクが可能になることでしょう!
■ 製品紹介動画
WAVES ( ウェーブス ) / PuigTec EQs
レコーディング・プロセッサーの中でも名機といわれるパラメトリックイコライザー「EQP-1A」のモデリングプラグイン。パラメーター0の状態で通すだけでも少し音が変化する、サウンドメイクに重きを置いたプラグインです。
同時にブースト/カットをするというユニークな処理をすると、他のEQ処理では得られないサウンドになります。筆者の主観で言うとすれば「密度が詰まった感じ」になる印象で、バスドラムの低域の処理や、エレキギターの音作りなどで重宝しています。
メーカー公式のページにてシングルプラグインとしての購入も可能ですが、他のプラグインも収録されたバンドルでの購入が価格を抑えられるためおすすめです。
- WAVES ( ウェーブス ) / Silver
- WAVES ( ウェーブス ) / Gold
- WAVES ( ウェーブス ) / Platinum
- WAVES ( ウェーブス ) / Diamond ←「PuigTec EQs」はこのバンドルから!
- WAVES ( ウェーブス ) / Horizon
- WAVES ( ウェーブス ) / Mercury
Plugin Alliance ( プラグイン・アライアンス ) / Maag Audio EQ4
トップクラスのエンジニアが愛用しているレコーディング・プロセッサーの名機「Maag Audio / EQ4」のモデリングプラグイン。こちらもサウンドメイクに重きを置いたプラグインとなっており、特にボーカルの処理で多用されています。空気感を後押しする「AIR GAIN」ノブが非常に効果的で、ボーカルトラックの存在感をもう少し前に出したいときに活躍してくれています。全体的にかかり方もシルキーなので、ツマミをぐりぐり回すアグレッシブな方法から繊細な微調整まで、パラメトリックイコライザーながら幅広い用途で使える優秀なプラグインです。
番外編:DAW純正付属のEQ
DAW内蔵のEQは、なんといっても動作が安定していて、気軽になんとなく使えるのが嬉しいポイントかと思います。各社のEQの特徴を簡単に紹介します!
IMAGE-LINE(FL Studio) / Fruity parametric EQ2
DAW内蔵のEQながらアナライザーが高精度なので、一歩踏み込んだフィルター処理ができるのが嬉しいポイント。7バンド毎にソロ、ミュートを切り替えて細かくモニターすることも可能。カラフルな見た目で視認性も抜群です。

STEINBERG(Cubase) / Frequency2
CubaseProから収録されるEQ。HF、LFを含めた8バンドを調整可能で、Linear Phaseモードで位相のシフトを防ぐことができるのが嬉しいポイント。「Left / Right」「Stereo」「Mid/Side」の切り替えもできます。「Cut 96」を使えば96dBの非常に極端なフィルターをかけることも可能で、自然な調整からダイナミックな調整まで幅広く対応可能です。

Presonus(Studio One) / Pro EQ3
5バンド+HF、LFの7つのツマミが付いたEQ。とりあえず試しに使ってみよう!でインサートに入れるのに最適なEQだと思います。ざっくりと方針を固めるのに筆者も多用しています。

Apple(Logic Pro) / Channel EQ
ミキサー画面から簡単にアクセスできて探す手間もなく気軽に使えるEQ。UIにEQカーブの図が簡潔に描写されているので、直感的に操作できる点でも優れていると思います!

Ableton(Live) / EQ Eight
8つのパラメトリックフィルターからなるEQ。バンド数の多さと、選択した帯域の効果を確認できる「視聴モード」が優秀で、低域や高域の味付けはもちろん、2.2k、3.3kあたりのハイミッドの処理も簡単にできる優れものです!


あとがき
いかがでしたでしょうか。一言でEQといっても千差万別の機能を有していて、メーカーによって様々な設計思想が垣間見えるのが面白いですね。プロセッサーと違って気軽に試せるのがプラグインの魅力ではないかと思います。
用途に合わせたEQをつかって素敵な音源を作っていきましょう!