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EQを使用して、クリアで存在感のあるミックスを作る(パート2)

2023-03-01

テーマ:How to

ライブ・オーディオのミキシングにおいて、しばしば音響エンジニアは理解不足のために誤ったイコライジングをしています。この記事では、周波数に関する知識と理解を深めて、明瞭かつ存在感のあるライブミックスを作成するために、何を操作しているのかを正確に理解できるようにします。

パート1では、EQがどのように機能するかについて説明しました。このテーマを読む前に、パート1を読むことを推奨します。

周波数とは何か?

周波数とは、特定の音波が1秒間に振動する回数(サイクル)です。ヘルツは、ドイツの物理学者ハインリッヒ・R・ヘルツにちなんで名付けられ、周波数を表す単位です。例えば、1秒間にちょうど1サイクルの振動をする場合、1ヘルツ(Hz)としています。

ギターの低音E弦は82.41Hzで振動しています。弾くと、その音波は1秒間に82.41回の周期で振動しているということです。ピアノのCは261.63Hzで振動します。標準的な88鍵ピアノは、最低音(A0)から最高音(C8)までの音域(27.50Hz~4,186.01Hz)を持っています。

音楽家は、演奏する音を「音程」または「ピッチ」と呼びます。C、Eb、G#、F、Dbなどのように、文字で表記されます。一方、スタジオやライブの音響エンジニアが使うEQツールでは、同じ音程を周波数(Hz)で表わしています。つまり、簡単に言えば、周波数と音程は全く同じと言えます。

周波数がどのように聞こえるかを学ぶ

これらの周波数がどのように聞こえるかを知ると、音楽のミキシングにおいて、クリアで明瞭なミックスを作るために非常に有益です。

周波数を聴覚的に知るのに役立つ素晴らしいオンラインコースやスマートデバイス用のアプリがいくつかあります。

https://theproaudiofiles.com/quiztones/

https://www.soundgym.co/

楽器の音色を表現する場合、どの周波数帯域をブーストまたはカットすれば、目的の効果が得られるかを認識しておくと便利です。以下の表は、様々な周波数帯域がどのように聞こえるかを説明しています。しかし、この表を読んだだけでは、EQの操作は身につきません。実際にEQを操作(ブースト、カット)し、どのような音に変化するかを体感して、トレーニングする必要があります。

まず、音楽を再生し、パラメトリックEQまたはグラフィックEQを使って、これらの周波数帯域をブースト・カットして、音にどのような影響があるかを学びます。

周波数特性
20Hz-60Hz 極低域
60Hz-200Hz 低域
200Hz-600Hz 中低域
600Hz-3kHz 中域
3kHz-8kHz 中高域
8kHz-20kHz 高域
周波数特性
Rumble 25Hz-40Hz
Bottom 60Hz-90Hz
Boom/Punch 100Hz-170Hz
Warmth 130Hz-220Hz
Fullness/Mud 250Hz-450Hz
Honk 450Hz-1kHz
Tinny 1kHz-2kHz
Crunch 2kHz-4kHz
Edginess/Brittleness 3.5kHz-6kHz
Sibilance (in Voice) 4kHz-10kHz
Definition 6kHz-10kHz
Piercing 8kHz-12.5kHz

楽器を知る

すべての楽器には基本周波数帯域があり、その楽器が出せる音の範囲があります。EQの使い方を知るための最初のステップでは、各楽器が周波数スペクトルのどこに位置するのかを理解します。この表は、一般的な楽器の基本周波数帯域を表しています。楽器の周波数帯域がわからない場合は、このチャートを近くに置いて、すぐに参照できるようにしましょう。ここに掲載されていない楽器は、WEBで検索してみてください。

素晴らしい音は、素晴らしい信号源から始まる

「S/N比(signal-to-noise ratio)」について簡単に説明します。信号(Signal)とは、ボーカルやアコースティックピアノ、ギターなどの楽器など特定のチャンネルで増幅したい音源です。ノイズ(Noize)とは、増幅する必要のない音です。例えば、ボーカル・マイクやピアノ・マイクに混入した大音量のギターアンプやドラムの音などです。マイクが求めるのは、強い信号とできるだけ少ないノイズです。信号が大きく、ノイズが小さければ小さいほど、S/N比は良くなります。優れたS/N比の追求は、クリアなミックスを作るための最初のステップです。

マイクは音源の近くに設置すると、不要なノイズを最小限に抑えられます。

ステージ上のアンプやその他の音源は、その楽器が持つ周波数帯域をフルレンジで出力する必要があります。ステージ上のミュージシャンは、望んでいるトーンを実現するために、アンプや電子機器に自分でEQをかけますが、ミックスをクリアにするために必要な周波数が足りていない場合があります。例えば、エレキギター奏者がギターアンプの高音域を絞りすぎている場合です。ステージ上のソースから出力されていない周波数にミキシングコンソールからEQをかけるのは不可能です。

ミキシングコンソールでは、最適な入力ゲイン(トリム、ヘッドアンプ、プリアンプ設定とも言われます)の設定が重要です。入力ゲインは、信号がミキシングコンソールに入る際、シグナルチェーンの最初の構成要素になります。EQを含むミキシングコンソール内の他のすべての処理は、入力ゲインの設定に影響されます。

プロセスへさらに深く

さて、周波数(音)とは何か、楽器の基本周波数帯域(各楽器が出せる音)とは何か、そして良好なS/N比を確立する方法について理解したところで、EQのプロセスをステップ・バイ・ステップで説明します。私はバンドと仕事をするとき、クリアで明瞭なミックスを作ろうと努力していますが、EQはそれを実現するための素晴らしいツールのひとつです。パート3「EQを使用して、クリアで存在感のあるミックスを作る」にご期待ください。

Golden Preciado

GoldenはQSCのトレーナーであり、ハウス・オブ・ワーシップ・スペシャリストです。Goldenは音楽業界で育ち、オーディオエンジニア、ミュージシャン、ワーシップリーダーである父親の跡を継ぎました。教会の世界だけでなく、音楽業界においても、熟練のフロント・オブ・ハウスとブロードキャスト・エンジニアとして活躍しています。チャーチ・サウンドトレーニングに関するFaceBookグループや、その他トレーニングが必要な現場などで、自分のスキルを教えています。

 
 
 
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