モジュレーション系の代表格“フェイザー”は位相のズレやその変化を利用して音にウネリを付加するエフェクターだ。
’70年代のサイケデリックで実験的な音楽などで多く聴くことが出来る。
往年の名機のリバイバル化を低コストで再現している近年話題のメーカー「WARM AUDIO」から今回は「Mutation Phasor II」を試奏してみた。

音を出す前の第一印象は個体がデカいという圧倒的なインパクトだ。
このオマージュ元となったであろう某ヴィンテージペダルに比べると小型化されてはいるものの、コンパクトエフェクターでの音作りが主流になっている現代において、ボードの“土地問題”を考えるとやはり小さい部類には入らないだろう。
そこはオリジナルリスペクトのメーカーの強い拘りを感じさせる。
一説によると筐体の大きさが音に影響するとかしないとか、、信じるか信じないかはアナタ次第、、。
ツマミはRate、Depth、Feedbackの3つ。電源は9VDCで駆動する。

試奏にあたって、ギターはストラト系のYAMAHA Pacifica USA-2を、アンプはMESA BOOGIE Triple Crown50のクリーンチャンネルを使用し、SHUREのSM57でマイキングしてDAWにレコーディングした。
それでは「Mutation Phasor II」を使った5パターンの演奏を確認してみよう。
■【製品レビュー】WARM AUDIO/Mutation Phasor II by YamashiRoll
01 フュージョン系カッティング
Rateは2であまりウネリのスピードは上げずに、Depthも3と浅め、Feedbackは任意だが6に設定してみた。
ワウとは違う独特のウネリで音にグルーヴ感を与え、気持ち良くファンキーになれる。
02 ネオソウル系指弾き
①とほぼ同じ設定だが、指弾きのニュアンスやアタック感を残したままフェイザー効果を隠し味的に使用する個人的にお勧めの設定だ。
03 ジャズブルース系ウォーキングベース
ここではRateを4、Depthを4と少し上げてロータリースピーカーの様な効果を狙ってみた。オルガン風なニュアンスを演出できる。
04 ポップス系コードアルペジオ
全てのツマミを2にして浅く掛ける設定。
シンプルなフレーズでもフェイザー効果により、シュワシュワと音に深みを与えてくれる。ずっと弾いていたくなる、こちらも好みの設定だ。
05 ロック系歪みリフ
歪みの後にフェイザーを繋いだ設定。
クリーンと比べてより効果が分かりやすく大胆で、エグさやインパクトを強調出来る。新しいリフのアイディアが生まれて来そうだ。
※使用したオーバードライブペダルは同メーカー「WARM AUDIO」の「ODD BOX V1」

総評としては音が太い、ツマミの効きが良い、クリーンと歪みどちらとの相性も良い、そして圧倒的な存在感と個性があるエフェクターだと感じた。
今回のデモ演奏では筆者の好みでRateやDepthを抑えめにしたバンドアンサンブルに混ざる様な設定が多かったが、勿論深めに掛けて飛び道具的な使い方も出来る。
この四角い箱に隠された幾多の可能性はプレイヤーのインスピレーションとセンスに委ねられる。
音にインパクトや個性が欲しいと思っている人にお勧めなエフェクターだ。
「Mutation Phasor II」と共に魅惑のウネリの世界へ旅立ってみよう。

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