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人生の不思議はつづく。。。 無人駅の下総松崎からはじまるサウンドハウスの歴史

2024-01-08

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

下総松崎という地名を正しく読める人が、何人位いるだろうか?そもそも県道沿いの大きな標識でさえ「Shimousa Matsuzaki」、と間違えて表記されているくらい、読み方はわかりづらい。正しくは、「しもうさまんざき」である。「しもふさ」でもなければ、「まつざき」でもない。1995年頃だっただろうか、成田市に道路標識に間違いがあると手紙を書いて指摘したことがある。しかし、それから何年経っても修正してもらえなかったことを覚えている。それほどまでに、行政にさえあまり関心を払ってもらえないようなマイナーな地名なのだ。

下総松崎とは千葉県成田市の北の端にあるJRの駅の名称にすぎず、町の名前ではないのだ。少なくとも下総松崎という町は、自分の知る限りは存在しない。JR下総松崎駅はJR成田駅の次に電車が停まる駅だ。ところが国際都市とも呼ばれている成田市内にある駅であり、成田空港が存在するにも関わらず、この下総松崎駅は早朝、夜間は無人駅となる。古びた駅舎には切符の券売機が1台あるのみだ。駅には無論、売店もない。駅の南西側は田んぼと雑草だけが目に映り、道路さえない。北東側は細い道路が1本、県道に繋がってはいるものの、古びた空き家と空き地だらけで、駐車場だけが目につく。それが「秘境駅」とも言われている所以だ。

この下総松崎にサウンドハウスの原点が関わっていることは、意外な事実である。1992年の1月のある日、見知らぬ成田という町に行く幻を見て東京を出発し、どこに行くかもわからないまま、あちらこちらを車で行き来しながら最初に辿り着いた場所が、この下総松崎だった。当時、下総松崎の駅近くには古びた成田温泉が存在し、不思議とそこに吸い込まれるように導かれていった。当時、温泉は営業を続けてはいたのだが、見るからにボロボロで、到底お客様が来るような施設とは思えなかった。しかしながら、何故かこの天然温泉施設に魅力を感じた自分がいた。そして愛犬ミッチー君と一緒に周囲を散策してみたのだ。

するとどうだろう、思いのほか、素晴らしい発見に恵まれることとなる。まず、成田温泉は「千葉県立房総のむら」に隣接していた。そこには県立博物館で唯一、考古学を専門に扱う「風土記の丘」が存在する。しかも「房総のむら」には大規模な「龍角寺古墳群」と「岩屋古墳」が広がり、115基もの古墳がある。しかも「岩屋古墳」は方墳としては国内最大という。これら歴史の重みを感じながら、自然を満喫できる「房総のむら」は51ヘクタールもあり、巨大な散歩道を形成していることがわかった。そんな美しく、歴史のロマンに満ちた場所に隣接していたことから、有無を問わず、この成田温泉に惚れ込んでしまった。その後、「成田温泉」は経営難に陥って店仕舞いし、裁判所の競売にかけられることとなる。そして何とかして温泉をゲットするため「成田温泉」の所有者と交渉し、自分が引き取ることになった。つまり、何のあてもなく成田を訪ねた自分が、瞬く間に下総松崎に拠点を設けることとなったのだ。

この時点からギター1本とミッチー君とだけで、成田市界隈を行き来しながら、ふと気が付くと、大勢の友達に恵まれることになる。すぐに成田市にできたばかりのキリスト教系の教会で、毎週日曜の夜、自分が音楽集会を導くことになった。その集会に最初から参加してくれた一人の女性との出会いが、人生の流れを決定づけることになる。自分が成田に来たことは偶然でもなんでもなかったのだろう。そして半年少々で電撃的な結婚をすることとなり、結婚式は成田市内の加良部公園で行った。節約が一番と思い、公園ならば無料で結婚式ができることから、思い切った決断をした。

その結婚から、実はサウンドハウスの卵が産まれることになる。結婚した相手方の家庭は言い方は悪いかもしれないが、大変貧しく、家にはテレビもなかった。住まいは小さな県営住宅のような古家であり、両親と共に妹2人と弟1人、すなわち6人が同居していたのだ。そのような窮屈な環境下でも、家族が楽しく団欒している姿に感動を覚えた自分がいた。この家族の両親が経営するちっぽけな洋裁店が、自分の結婚直後、バブル崩壊のあおりを受けて店仕舞いをし、多額の借金を抱えてしまうことを知る。そして何とかこの負債を支払って、義理の両親に楽をさせてあげなければならないと、成田で出会った友人らと相談しながら辿り着いた結論が、サウンドハウスの創業だった。人生の不思議は続く。

JR下総松崎駅

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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