ORTOFON(オルトフォン)の定番カートリッジ「Concorde(コンコルド) MkIIシリーズ」といえば、ヘッドシェル一体型によるセッティングの手軽さ、針先のU字カット幅が広いことにより針位置の視認性が非常に優れている点などでDJからオーディオファンまで多くの人からご好評をいただいております。
今回はそんな「Concorde MkIIシリーズ」について、意外と知られていないあるパーツについてご紹介していきます。
① 謎のリング
② 役割は?
③ 入っていない!そんな時は
① 謎のリング
「意外と知られていないあるパーツ」についてご紹介する前に、「Concorde MkIIシリーズ」の構造を改めて確認していきます。
スタイラス(=Stylus)と呼ばれる針先部分、カートリッジ本体、そして交換可能なフィンガーリフト。シンプルな構造に洗練されたデザインですね。
色ごとにMIX、DJ、Scratch、Digital、Clubと名前が付けられており、名前通りそれぞれに最適なプレイスタイルがあります。

それでは本題に入ります。「意外と知らないあるパーツ」とは何か。それはこちら。

ゴム製のリング。
『こんなのついていたっけ?』と思われた人がいらっしゃっても無理はありません。トーンアームに接続する側のお尻の部分についており、カートリッジの着脱時に不意に失くしてしまいそうな小さなリングです。
さらには、情報が少なすぎるシロモノでして、ただの輸送時の保護リングだと思われている方やウェイトの役割を担っているという方がいらっしゃったり、果ては付けるだけで音がよくなったりなんてことを思っている方もいらっしゃるようです。
② 役割はなに!?
そんな謎のゴムリング、一体どんな役割があるのかを調べてみたところ…
なんと公式ページにしっかりと情報がありました!
Rubber ring for Concorde cartridge
“Rubber rings function is to prevent over-tighten of the cartridge assembly on the tonearm, over-tighten can push the tonearm contacts back. The rubber ring should be pushed to the base of the cartridge assembly, position between the cartridge connector(rare) and the tonearm.”
意訳しますと
「ラバーリングの役割は、トーンアームに取り付ける際にヘッドコネクタの締めすぎを防ぐためのもの」とのこと!
ヘッドシェルのお尻の部分(トーンアームに挿し込む側)は4つの丸が接点となっており、取り付け時の締め付けによるダメージを防ぐような役割があるのですね。

③ 入っていない!そんな時は?
これで安心して使えるねぇと安堵したのも束の間。『リングが入っていないのですが…これは如何に!?』と、Concorde MkIIシリーズの2本セットをご購入されたお客様からお問い合わせをいただくことがございます。
安心してください、はいってますよ。
といっても決め付けるのは良くないですから、順を追って確認してみましょう。
【単純にカートリッジから外れてしまっている場合】
まずは落ち着いてハードケースの中を確認してみましょう。付属品のブラシに引っ掛かっていたり、ケースの淵に挟まっていたりしないかご確認ください。
【ケースの内蓋のしたに入っている場合】
Concorde MkIIシリーズは2本セットをご購入いただくとハードケースに入った状態で納品されます。現場への持ち込みにも便利なこのケース、内蓋ともいうべき緩衝パッドが取り外せるというのはご存じでしょうか?
緩衝パッドの取り外し方ですが、パッド右手前の「LIFT」と書いてある部分を上に持ち上げるだけです。


持ち上げるとそこには小さなユーザーマニュアルと、ないと思っていたラバーリングが入っていることをご確認いただけることでしょう。
ラバーリングを回収したら、あとは緩衝パッドを元の形にはめ込むだけ。簡単ですね。
緩衝パッドとケースの隙間、あるいはスタイラス・ガード部分にパッド破れ箇所(輸送時にどうしても生じてしまう可能性があるものらしく不具合ではありません)からパッド裏に入り込んでしまうこともあるようですね。
ちなみに、ORTOFON製品はパッケージに特殊なシールを採用しており、開封すると必ず跡が残る仕様となっています。そのためサウンドハウスでは入荷した状態のまま、お客様へ発送手配しています。人気モデルということもありこれまで非常に膨大な個数を販売してきましたが、リングの同梱漏れが発生していたというのは記憶の限り耳にしたこともなく、メーカーの生産・検品精度の高さが窺われます。
以前購入したヘッドシェルを使っているが、リングのみを失くしてしまったという方。
申し訳ないのですが、現状ではリング単体での販売はしておりません。これまでどおり、リング無しでも問題なく取り付けできますので、取り付けの際に締めすぎに気を付けていただくということになりますね。他メーカーのヘッドシェルでもORTOFON同様のゴムリングが付属するものがありますから、そういったものを使いまわしていただくのも手かと思います。
まとめ
しっかりとセッティングして、正しく使用することにより心地よいリスニング、DJができるというのはもちろん、カートリッジを長くお使いいただくことにもつながります。
オーディオ界隈には、(残念なことに)眉唾な情報がさも常識かのごとく出回っている場合も有ります。そんな時も自分でしっかりと情報を調べてみる、そして正しい情報を得ていい音を楽しむ。これもオーディオの醍醐味のひとつでしょう。

ORTOFONのページにはカートリッジ、ターンテーブルのセッティング方法をまとめた動画やページが多数あります。今日日のGoogle翻訳は非常に優秀かつ高精度です。海外ページでとっつきにくいかもですが、トライしてみましょう。新しい発見があるかもしれませんよ。
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