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モニターによるパフォーマンスの向上

2023-11-06

テーマ:How to

オーディオミキサーとフロアモニターの正しい使用法

ステージモニターは、各ミュージシャンに最良のリファレンスサウンドを提供し、最高のパフォーマンスを引き出すことができます。モニターを正しく調整することは、バンド全体のパフォーマンスにとって非常に重要です。フロアモニターとインイヤーモニターのどちらを使用するにしても、モニターのサウンドが悪いとバンド演奏に悪影響を与えてしまいます。

この記事では、クリアで明確なフロアモニターミックスを作るための実践例を紹介します。

EQによりクリアで表現力のあるミックスを作る

これは永遠のテーマですが、フロアモニターからクリアで明瞭なサウンドを生み出すのに直結します。この記事と一緒に以下の3つの記事もお勧めします。

EQを使用して、クリアで存在感のあるミックスを作る(パート1) - デジタルコンソールで使用できるEQツールとその機能について学びましょう。

EQを使用して、クリアで存在感のあるミックスを作る(パート2) - 音楽的で、明瞭で、クリアで存在感のあるライブミックスを作成する際に、何を操作しているのかが分かるように、周波数について学びましょう。

EQを使用して、クリアで存在感のあるミックスを作る(パート3) - EQツールを特定の楽器、ボーカル、サウンド再生に適用する方法を学びます。

モニター・ミックスはプリフェーダーであるべき

Aux/Bus センドは、ステージ上のミュージシャンに、別々のモニターミックス信号を送るために使用します。

プリフェーダーは、フロントミックスを調整してもAux/バスミックスに影響を与えません。

ポストフェーダーは、フロントミックスに加えられた調整がAux/バスミックスに反映されます。

すべてのステージモニターミックスは、ステージ上のミュージシャンが聴くサウンドバランスに影響を与えないように、プリフェーダーに設定してください。

ハウリングとの戦い

ハウリングほど邪魔なノイズはありません。ハウリングは、ボーカルやアコースティックギターのフロアモニターに最初に現れます。ここでは、フロアモニターのハウリング問題を解決する実践例をご紹介します。

  • モニターを「リングアウト」する「リングアウト」とは、ステージ上のマイクとスピーカー間のハウリングを防ぎ、ゲインを最大にするために使用するプロセスです。会場の音響特性によっては、特定の周波数が共振し、ハウリングが起こりやすい場合があります。モニターを鳴らす場合、音響技術者はミキシングデスクのゲインやフェーダーコントロールを上げてハウリングを意図的に発生させます。ハウリングが発生すると、技術者はイコライザー(通常はグラフィックEQ)を使用して、ハウリングの周波数でゲインを下げます。ハウリングの周波数は、ほとんどのデジタルミキサーで利用できるRTA(リアルタイムアナライザー)を使用して特定できます。この作業を、音質を損なわずハウリングが十分に減少するまで繰り返します。

    フロアモニターは、バンドの演奏の音量に合わせて安定させるのが重要です。

  • ハウリングを防ぐためにマイクをフロア・モニターに向けないのは当然なのですが、ボーカリストが、思わず手を横に下ろしてしまい、マイクをモニターの方に向けてしまう場合があります。そのことをうっかり忘れがちなボーカリストは、マイクをマイクスタンドに立てて歌うと良いでしょう。

ステージ上のボリュームを最小化

Crystal LewisバンドはQSC K12.2スピーカーをフロアモニターとしてリファレンスに使用。

フロアモニターはステージノイズを発生させます。特に小さな会場では、モニター・ステージの音と後ろの壁からの反射音が観客に向けたスピーカーよりも大きくなり、問題になります。このような場合、客席には、音量は大きくても、輪郭が不明瞭な音が届きます。

よくある勘違いは、ステージ上のスピーカーの数を減らして、ステージモニター音全体を小さくする必要があるという誤解です。フロアモニターに関しては、"数が多ければ多いほど良い"のです。複数のミュージシャンが同じフロアモニターを共有する場合、必要な音を正確に受け取れません。そのため、各ミュージシャンは自分たちの音量を上げるように要求し、モニターを共有する他のミュージシャンのミックスを歪ませます。

可能な限り、各ミュージシャンは自分専用のフロアモニターとモニターミックスを持つべきです。こうして、自分のモニターで必要な音だけを参照でき、ステージ上の音量を大幅に下げられます。

各ミュージシャンに専用のモニターミックスを提供できない場合、例えば、ボーカリストは他のボーカリストと、ドラムはベースと、エレキギターはベースと、といったように、似たような楽器とのミックス共有がベターな選択肢となります。

アコースティック・ドラムとギターアンプ、ベースアンプを使用するバンドの場合、バンドに演奏してもらい、楽器用アンプ、ドラムのみで、バランスを試し、足りない部分をモニターで補います。バランスを保つために、ギターやベースのプレイヤーにアンプの音量を下げてもらう必要があるかもしれません。これは、楽器用アンプに遮音パネルを使ったり、ドラムシールド(遮音パネル)を使用している場合でも同様です。

ステージノイズを抑えるのが困難な状況では、できれば、ギターアンプを別の部屋などに移動してみてください。または、ギターアンプのモデリングはここ数年で素晴らしい進歩を遂げましたので、ダイレクト・ラインを使い、アンプの使用自体を見直します。ギタリストは、他のメンバーと同じようにフロアモニターを通してギターをモニターします。

重要なのは、ステージ音量の上手いコントロールです。結果的に、フロアモニターの音量もコントロールしやすくなります。

フロアモニターの低周波を最小化する

サウンド、特にボーカルが濁っていて輪郭がはっきりとしない音が関係者から聞かれる不満の一つです。これは周波数マスキングと呼ばれる現象で、低域や中低域が、高域の音を覆い隠しているのです。フロアモニターから不要な低域を取り除いて、明瞭度とピッチリファレンスを向上できます。これにより、ハウスミックスの輪郭がはっきりとします。フロアモニターのバス/AUX出力にハイパスフィルターを使用するのが最良の方法です。

フロアモニター・バス/AUX出力にハイパス・フィルター(HPF)を使用すると、不要な低域(LF)を除去でき、明瞭度とピッチの認識度が向上します。

通常、フロアモニターのHPFは120Hzから始めます。ボーカリストが歌っている音域や、ステージに溢れている低域の量によっては、HPFをさらに高くします。

耳をすませて

ステージに上がり、各ミュージシャンのポジションの近くに立ち、それぞれのミックスを聴く。

フロアモニターミックスをFOHのミキシングコンソールから行うにせよ、独立したモニターデスクから行うにせよ、エンジニアがステージに上がり、各ミュージシャンのポジションの近くに立ち、それぞれのミックスを実際に聴くべきです。ヘッドフォンでモニターミックスをソロにするだけでは、モニターミックスを取り巻くすべてのステージノイズを把握できません。

経験の浅いミュージシャンは、モニターに何を求めれば良いのか分からない場合があります。エンジニアは、モニターのEQや他の音楽コンポーネントのボリュームを微妙に変えて、各ミュージシャンにとって可能な限り最高のリファレンスを提供します。

フロアモニターの主目的を忘れない

フロアモニターは、各ミュージシャンに優れたリファレンスを提供します。私たちは、ハウスミックスを調整したり、フロアモニターミックスでレコードを作ろうとしているのではありません。フロアモニターが部屋やハウスミックスに影響を与えるかを含めたモニターミックスの安定性と輪郭は、何よりも優先されます。とても微妙なバランスですが、この現実をミュージシャンにも理解してもらう必要があります。

モニターミキシングの知られざる要素

モニターミキシングで最も重要でありながら、あまり周知されていない暗黙のルールに触れておきます。

しっかりとしたリファレンスの生成は、時にストレスになります。ミュージシャンやボーカリストは、「お願いします 」や 「ありがとうございました」の一言もなく注文をつけるかもしれません。そのような場合でも、こちらから礼儀正しい言葉で対応すれば、お互いの立場を理解でき、意思の疎通が図れ、緊張感が和らぎます。

この記事はQSCによるHow to Hear Yourself and Improve Your Performanceの翻訳です。

Golden Preciado

GoldenはQSCのトレーナーであり、ハウス・オブ・ワーシップ・スペシャリストです。Goldenは音楽業界で育ち、オーディオエンジニア、ミュージシャン、ワーシップリーダーである父親の跡を継ぎました。教会の世界だけでなく、音楽業界においても、熟練のフロント・オブ・ハウスとブロードキャスト・エンジニアとして活躍しています。チャーチ・サウンドトレーニングに関するFaceBookグループや、その他トレーニングが必要な現場などで、自分のスキルを教えています。

 
 
 
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