営業の井上です。今回はマイクのちょっとマニアックな部分に着目してみます。どの部分かというと、マイクのグリルボール部分。普段何気なくマイクを使っていて気にもしたことないよ!という方もいるかと思います。どんな違いがあるのか? 話だけではわかりにくいので、早速見比べてみましょう。
SHURE / SM58![]() |
AKG / D5![]() |
2つのマイクを並べてみました。グリルボールに違いがあるのはわかるでしょうか?もちろん色は異なりますが、もう一つ決定的な違いがあります。それが
グリルトップ部分が丸みを帯びているか、直線的(フラット)か
という点です。※画像赤丸

ただ形が違うだけでしょ?と思われるかもしれません。平らであることにどのようなメリットがあるのでしょう?
それは唇をグリルに当てながら歌いやすいという点です。
何故グリルボールに唇を当てながら歌っている人がいるのか?この疑問から解決していきます。
唇を当てて歌う理由

マイクには一般的に「指向性」があります。指向性とは、一方向からの音のみをピックアップし、他方向からの音が入りにくい構造のことです。指向性により、ハウリングを抑制する効果もあります。しかし、マイクの位置がずれると声を拾ってくれないという事態も考えられます。また、角度によって声の聴こえ方も変わってしまいます。一定の距離感や角度を保ち、安定して声を出すために有効なのが「唇を当てて歌う」方法なんです!
何故、直線型グリルが良いのか?
先ほど指向性や、距離、角度が重要になるということを説明しました。直線型グリルの場合、円形グリルよりもポイントを把握しやすく、位置もずれにくい特徴があります。「歌うことに集中できる」これが最大のメリットなのです。 また、楽器用マイクの多くは直線型グリルを採用しています。楽器の場合、極力音源に近づけて集音することが多く、直線型グリルのほうがセッティングしやすいためです。歌いやすさから楽器用マイクをあえてボーカル用マイクとして使っている方もいます。その代表的なマイクがSHURE / BETA57Aです。
SHURE / BETA57A ダイナミックマイク
直線型グリルのマイクをピックアップ!
直線型グリルを採用した代表的なモデルをピックアップしました。メーカーによって音質の傾向やデザインが異なるため、簡単に特徴を紹介します。
AKG / D5
AKG / D7
AKG / P3S
AKG / Dシリーズは、しっかりとした中域を持つ芯のある音が特徴です。ヌケが良く、力強い歌声にマッチする音質です。また、上記以外にもスイッチ付きモデルや指向性の異なるモデルをラインナップ。自分のスタイルに合わせて選ぶことができます。さらにリーズナブルなPシリーズもあります。
beyerdynamic / TG-V35DS
beyerdynamic / TG-V50D
beyerdynamic / TG-V70D
「Touring Gear Vocal」の略を製品名に冠している通り、ライブやステージでの使用を想定したマイク。少し太めのグリップは、しっかりと握ることができます。シリーズを通してフラットで癖のない音質を持ち、男女、ジャンルを問わず使いやすいマイクです。上位モデルのTG-V70Dではコンデンサーマイクを思わせるような、広い周波数特性と音質を得られます。
SENNHEISER / E935
SENNHEISER / E945
青いメッキのグリルがクールな evolutionシリーズ。 E935が単一指向性、E945は超単一指向性のマイクです。音質は若干異なってきますが、ナチュラルで抜けのいいサウンドは共通した特徴。高域の伸びが気持ちいいマイクです。
いかがでしたでしょうか。数多くの有名ブランドが直線型グリルを採用しており、人気が高まっていることがわかります。丸いグリルボールのマイクしか体験したことのない方は、ぜひ直線型グリルのマイクを試してみてください。これまでと違った使いやすさを感じられるかもしれません!