ルーディメンツという言葉をご存じでしょうか。英語では「基礎」「入門」などの意味を表す言葉ですが、ドラムやパーカッションなどで言うルーディメンツとはPercussive Arts Society(PAS)という組織が40種類の基礎的な奏法を集めて呼称した技術のことを指します。
今回はその中からシングルストローク、ダブルストローク、ディドルについてご紹介したいと思います。
シングルストローク
こちらはその名の通りですがスティックを1回振り下ろし、打面を1回打つ奏法です。手順は「R、L、R、L」や「L、R、L、R」となります。

打楽器演奏で最も基礎的な練習ですので、メトロノームと合わせながらしっかりと練習していきましょう。
個人的には腕に余計な力を入れないこと、スティックのふり幅を一定にすることを意識しながら練習すると上達が早くなるかと思います。
アクセント記号がない場合は全ての音を均一にならす練習、アクセント移動など多彩な練習ができますので、いろいろ試してみてください。
特に強く打つ感覚、弱く打つ感覚はフラムの演奏でも使用する重要なものであり、演奏の表現にも役に立つものですので積極的に練習して身に付けておくと良いでしょう。
ダブルストローク
スティックを1回振り下ろし、打面を2回打つ奏法です。手順は「R、R、L、L」、「L、L、R、R」となります。

シングルストロークほどではありませんが良く使うストロークとなっており、テンポの速い曲などで非常に役に立ってくれます。
また、オープンロールやドラッグでも使用するためぜひ身に着けておきたい奏法です。
ダブルストロークはシングルストロークの演奏ポイントに加え、指のコントロールも重要になってくるかと思います。親指と人差し指でスティックを保持しつつ動作をコントロールし、その他の指で補助をする感じでしょうか。
指のコントロールはさまざまな場面で使用しますので、ダブルストロークをしっかり練習しながら身に付けておくと良いでしょう。
ディドル
ダブルストロークと非常に似ており、同じ手で2回打つこととなっていますが、ダブルストロークは一振りで同じ打面を2回打つこと、ディドルは単に同じ手で2回続けて打つことと定義されています。
同じ打面にこだわらずタム移動なども組み合わせて練習してみましょう。
シングルパラディドル
シングルストロークとディドルを組みあわせた奏法で、代表的な手順は「L、R、L、L」「R、L、R、R」となります。
● スタンダード・パラディドル

● インワード・パラディドル

● リバース・パラディドル

● ディレイド・パラディドル

シングルストロークやダブルストロークでは、拍の頭は常に開始した手で打つようになっていましたが、パラディドルでは振り下ろす回数が奇数となりますので、拍の頭を打つ手が入れ替わります。
また、ディドルの位置によってパラディドルの手順も変わりますので、どの手順、どちらの手から開始しても同様に演奏できるよう練習してみましょう。
ストローク、ディドルの応用
ここまで基本的な手順について大まかに説明してみましたが、最後にドラムならではの応用練習をご紹介します。
実際のフレーズとして使用できるものもありますので、ぜひ挑戦してみてください!
● 手足での練習
今までルーディメンツは両手練習であることを前提としていましたが、両手ではなく手と足を組み合わせて練習してみましょう。
どのような組み合わせでも問題なく演奏できるようになると、今まで以上に手足を自在に動かせるかと思います!
● 手足のコンビネーション例

● 4分音符や8分音符を刻みながらの練習
続いて右手で4分音符や8分音符を刻みつつ、右足と左手でルーディメンツを練習してみましょう。
単にルーディメンツだけを練習するよりもさらに手足の分離練習が効率的になるかと思います。
● パラディドルと4音符の組み合わせ

● ダブルストロークと8分音符の組み合わせ

また、シンバルで4分音符や8分音符を刻むことでビートのようにも聞こえてきますので、曲と合わせてみても楽しいかもしれません。
慣れてきたら左足で2、4拍を刻む練習も取り入れるとさらに効果的です!
今回はストロークとディドルについて簡単にご紹介しました!
ルーディメンツの中には単調に感じるものもありますが、どのトレーニングも非常に重要で、しっかりと身に付ければ安定して叩けるテンポの向上、音量の安定化、リズムキープ力の向上など、さまざまな効果が見込めます!
日々の練習の中で、少しだけルーディメンツを取り入れてみてはいかがでしょうか。