
世界的にも知名度を上げてきている北海道のYOYOKAちゃんを始め、キッズドラマーたちのレベルがどんどん上がってきています。
ドラムマガジンのコンテストではキッズ部門で大人顔負けの子供たちが何人もエントリーし、YouTubeでキッズミュージシャンを対象にしたJemRockJamというチャンネルではドラマーだけのイベントが複数回行われています。
そんな子供たちを見て『ウチの子も今から始めたらYOYOKAちゃんみたいに!』と思うお父さんお母さんも増えているようです。
実は著者の息子も幼稚園年中からドラムを始め、現在小学1年生です。
2年間は著者が教え、現在はスクールに通っています。 息子の通うスクールにはやはりドラムを習う子供が多く、ギターの生徒数を超す勢いです。
今回は息子の成長過程で気付いた子供ならではのビギナーが注意したいことをいくつか紹介します。
■ スティックの太さ
大人のドラマーはプレイスタイルや欲しいサウンドなどからスティック選びをしますが、子供の場合はまず細いスティックを選んであげたほうが無難です。
著者の息子は家にあった太さ15mmのスティックをなんとなく使い続けていました。
その後、ドラムを始めてから2年経ち、スクールに通い始めたところ先生から太さについての指摘を受け13mmのスティックに変えたところ急激にうまくなりました。
たった2mmの違いではありますが、手の小さな子供にとってかなりの違いを感じるようです。
手の中でスティックをコントロールできるようになり、本人もやりやすいことに驚いていました。
一般的には14~15mmのものが多く、13mm以下のものは店頭ではあまり品数がない場合が多いです。
サウンドハウスなら多くの13mmの中から選べるので便利ですね。
■ 電子ドラムについて
ドラマー人気に呼応するように電子ドラムはここ数年で素晴らしい製品がどんどん発売されています。
アコースティックドラムのような外見がかっこいいRolandの上位機種、VAD506などはただの自宅練習用ではなく、ライブやレコーディングでも活躍できる電子楽器です。
とは言え、価格的にこれからドラムを始めようという子供に購入する人は少ないでしょう。
ちょうどいいのは10万以下の商品です。
PlaytechのPDS-750は練習に必要な機材とのセット販売もされていて、これだけあれば自宅練習には他に何もいらないくらいです。
2枚のシンバルを備え、全てのタムがメッシュパッドという仕様なので成長後も満足して使えるでしょう。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PDS-750 防音セットS

ドラムを始める子供の多くがこういった電子ドラムを購入し自宅練習するわけですが、この練習方法だと多くの子供たちが同じような問題を抱えます。
息子も、息子の友達もみんな同じ悩みを持っていました。
それはフォームが小さくなり音が小さくなるということです。
一部の電子ドラムを除きアコースティックドラムよりも小ぶりなのでフォームが小さくなります。
さらに、アコースティックドラムの爆音に慣れていないので、出音に委縮して音量を抑えようとしてしまいます。
これに関しては電子ドラムで練習する大人にも同じことが言えるのですが、子供は大人よりも頭ではなく体で覚えようとします。
そのため、「フォームを大きく」とか「大きい音出して」と教えても大人と違いなかなか体がいうことを聞きません。
録画したものを見せると自覚するのですが、どうやら無意識に小さくなっているようです。
なるべくアコースティックドラムに触れさせてあげる機会を作ってあげることで対処していきましょう。
■ ツインペダルについて
ツーバスサウンドをワンバスでこなすツインペダルの歴史は意外と浅く、1980年頃からと言われています。
多くのドラマーがツインペダルを使うようになったのはさらにその後で、1990年代後半くらいです。
そんな歴史の浅さもあってのことか、ベテランドラマーの中にはツインペダルそのものに否定的だったり、上級者になってからやるものだという意見もあったり…。
好き嫌いは仕方ないのでツインペダルを好まない人は使わなければいいだけのことですが、上級者になってから練習するものというのは間違いだと個人的には思っています。
少なくとも著者のまわりのキッズドラマーは初心者のうちからツインペダルの練習をし、楽しみながら上達しています。
最初から左足のバスドラは上達してから踏むものと決めつけているからあとで苦労するのであり、最初から左足はハイハットとバスドラを踏むものとして練習すればそれが自然になります。
両足でバスドラを踏めることで確実に表現の幅は広がるので早めに練習して損はありません。
特に子供はジャズやフュージョンといった難解な音楽ではなく、分かりやすくてノリのいいストレートなロックなどを好む傾向にあります。
音楽を続けていればツインペダルを踏む機会は訪れる可能性が高いです。
■ 基礎練習はやらない
先生によって教え方は様々ですので正解はありません。
ですが、著者が知るドラム講師のうち2人が同じことを言っていました。 子供に基礎練習は無理にさせないということです。
基礎練習は言うまでもなく大切なものですが、子供の場合、面白くないと思ったら練習に集中できず辞めてしまいます。
「将来役に立つから」という説得をしても小さな子供が将来のことまで見据えた行動ができるわけがなく、今楽しいことをしたがります。
これが音階のある楽器の場合、少し事情が変わります。
音感は小さければ小さいほど身に付きやすいので、多少無理をしてでも教えていく価値があります。 しかし、ドラムのようなリズム楽器は始めるのが遅くてもあまり問題がありません。 重要なのは楽しく続けられるかどうかであり、つまらないと感じた基礎練習は必要だと自分が判断できた時からでいいというわけです。
ただし、全ての子が基礎練習を苦にするわけではありません。
基礎練習を好む子供もいますし、楽しくはないけどつまらないわけではないという子供もいます。 基本は大切なので可能な限り早い段階で始められるといいでしょう。
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