PAスピーカーの超定番ブランドElectro-Voiceから大好評発売中のバッテリー駆動ポータブルPAスピーカーEVERSE 8。今回、12インチモデルの「EVERSE 12」が新発売されたということで、さっそく実機を交えてレビューしていきたいと思います。
Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / Everse12 Black

基本的なスペックは、EVERSE 8と同じ、シンプルに12インチとふた回り大きいバージョンになっています。

まずは大きさを見てみましょう!
JBLの12インチ・パワードスピーカーIRX112BTと並べて見比べてみました。






奥行はIRX12BTの方が短いですが、横幅と高さはEVERSE12の方が短くコンパクトになっています。
触ってみて気づいた所で言うと、天井面にあるハンドルが縦(EVERSE12)か横(IRX112BT)という違いがありますが、EVERSE 12はこの縦のハンドルが長いおかげか、重心が取りやすく、とても持ち上げやすいと感じました。持ち運びや設置、撤収が多いポータブルPAではこういうところがとても重宝されると思います。

また、EVERSE 8と同様に「縦置きのまま上に傾けて角度をつけることができる」ので、床置きの状態でも、立っているお客さんに向けて音を届けたい、遠くに届けたい時に威力を発揮してくれるでしょう。

背面パネルも見てみましょう!
こちらもEVERSE 8と同じXLR/TRSコンボx2、ステレオミニ/Bluetooth x1、MIX OUT、FOOTSWITCH端子となっています。

例えばマイク、ギター、音源を使用した弾き語りであればこれ1台あれば対応できます。
もちろんファンタム電源供給(INPUT 1のみ)もできるので、高音質なコンデンサーマイクも使用可能です。
EVERSE 8の時も思いましたが、Electro-Voiceの良いところは、初心者の方でも簡単に安心して高音質なPAをできるようにアシストしてくれる機能が満載という点です。
離れたところからコントロールしたい
客席からサウンドをチェックしたい。客席とスピーカーの間を行ったり来たりしなくても大丈夫です。専用アプリEV QuickSmart Mobileを使えば、音量や音質、エフェクトなどをワイヤレスでコントロールすることができます。



楽器に合わせたイコライジングがよくわからない
PRESETが16種類も用意されているので、使用する機器に合わせたものを選ぶだけでOKです。このプリセットをベースにして、気になるところがあれば各chやマスターのEQで微調整していく感じで良いと思います。

ハウリングが起きたらどう対応したらいいかわからない
ずばり、AFS(Automatic Feedback Suppression)をONにするだけです。ここはとりあえずONにしておきましょう。これだけでパフォーマーは安心してパフォーマンスに集中することができます。

エフェクターがよくわからない
ボーカルや楽器にかけるリバーブやエコーなどのFX(エフェクト)はなんと30パターンもあります。リバーブだけで響き方の異なる17パターンがあるので、SENDレベルを例えばセンター(12時)にして、1つずつ変えてみてちょうど良いと思うエフェクトを選んでもらえればOKです。

急に大きな声出されてびっくり
これも現場ではよく見かける光景ではないでしょうか。あいさつの出だしのこんにちはが異常に大きくてドキっとしたりしたことはありませんか?COMPをONにしてあげれば「音の大きさ」を揃えるコンプレッサーが効いて、大きな音をぎゅっと抑えて適切な音量で鳴らすことができます。逆に小さい声も大きくしてくれるので、色々な人が使用する際に便利な機能です。

細かく音質調整をしたい
こんな要望にもしっかり応えてくれます。EVERSE 12は、各chの3バンドEQに加えて、MAIN画面では7バンド・パラメトリックEQ、または7バンドのグラフィックEQかを選んでチューニングすることができます。

スピーカーの数を増やしたい
EVERSE12のMIX OUTは、出力する信号を選択することができます。単純に同じ音を出すスピーカーを増やしたい時は「Mono(L+R)」、ステレオ再生したい場合は「Stereo Left」または「Stereo Right」という感じです。
※MIX OUTは各chのレベル調整の影響を受けます。MASTER VOLUMEは影響しません。


悪天候でも音楽を鳴らしたい
一般的にパワードPAスピーカーは「屋内向け」となり、雨など水に濡れる場所では使えないものです。でも、EVERSE 12なら、付属の防水入力カバーを装着することにより、IP43 (水しぶきや小雨に対する耐水性) に準拠し、悪天候時でもBluetooth音楽再生のみなら対応することができます。(あくまで一時的な使用のみ)

肝心のサウンドですが、一言で言うとさすがElectro-Voiceという感じでした。樹脂製エンクロージャーの軽量なPAスピーカーの場合、低音が少しボワつくイメージがありますが、EVERSE 12は、12インチの大口径ならではのキュッと締まった量感の伝わる低音なので、サウンド全体を聞いた時に気持ち良く感じます。もちろん中高域もはっきり聞き取ることができ、低音とのバランスも良いので用途を選ばず、万人受けするサウンドと思いました。
バッテリー内蔵タイプのPAスピーカーはYAMAHA、BOSE、JBL、SAMSONなど、著名なブランドからリリースされていますが、「12インチ」モデルはElectro-Voiceが一番乗りでした。シンプルに「サイズが大きい=音量・音圧も有利」になるので、「バッテリー駆動対応」「もっと音量を出したい」「もっと低音を出したい」というニーズに応えてくれるお薦めのPAスピーカーです。