ギタリストであれば、一度は購入した経験がある歪み系エフェクター。
おそらく、エレキギターをやっている人の大半はジャズから入るなんてことは無く、ロックのような音楽から入り、ギターを歪ませパワーコードをかき鳴らし、チョーキングに心を込めてきたのではないでしょうか。
そんなロックで育ったギタリストも、ちょっとおしゃれな音楽がやりたいと思ってジャズギターに手を出すものの「ジャズギターといえば、アンプ直のクリーントーンだ」と思っている人が多いはず。
今回は、そんなジャズギター原理主義のみなさまに、オーバードライブからディストーションの音色によるジャズギターの魅力をご紹介できればと思います。
01. ジョン・スコフィールド
まず紹介するのはジョン・スコフィールド。
ジョン・スコフィールドのサウンドといえば、適度にドライブした音色が印象的です。
そんな彼のサウンドの基本は、VOX/AC-30のアンプとRATの組み合わせ。
VOX ( ヴォックス ) / AC30 CUSTOM (AC30C2) ギターコンボアンプ
RAT側のDistortionつまみはしっかり右に回し、歪みは深めにかけているようです。
とはいえ耳にできるサウンドはもっとマイルドなものであるため、おそらくギター側のボリュームを絞って歪みの量を調整しているのでしょう。
また、J. Rockett Audio Designsより発売されているBlue Note Over Driveという機種も愛用しており、こちらの機種の方がギターの生音をより自然に歪ませてくれます。
J. ROCKETT AUDIO DESIGNS ( ジェイ・ロケット・オーディオ・デザインズ ) / Blue Note Over Drive
02. マイク・スターン
マイク・スターンといえば、独特のクリーントーンが象徴的ですが、ソロで盛り上がった時の歪んだサウンドも印象的です。
そんな彼が愛用しているのがBOSSのDS-1。
BOSSの歪み系エフェクターの中でもスタンダードな機種であるDS-1。
マイク・スターンは過去のインタビューの中で「ツアー中に万が一壊れた時でも、すぐに調達可能なエフェクターとして愛用している」と話していました。
日本においても、手軽に買えるエフェクターの1つですね。
しかし、「手に入りやすいからDS-1」という論理だとYAMAHAのSPX90を愛用しているのは矛盾している気もしなくはないですが……(1986年に生産完了)
長年、マイク・スターンはDS-1を使ってきた印象ですが、近年はWAZA CRAFTによってカスタマイズされたBOSSのSD-1やBD-2も使用しています。
03. アラン・ホールズワース
最後に紹介するのはアラン・ホールズワース。
そのサウンドから、ジャズではなくプログレやフュージョンのギタリストと認識する方も多いと思いますが、彼自身しっかりとジャズのスタンダードも嗜むジャズギタリスト。
その理知的なプレイは、ジャズの造詣の深さを感じずにはいられません。
彼自身もアルバム「None Too Soon」の中で多くのジャズ・スタンダードのカバーをしています。
そんな彼のサウンドは、ディストーションとディレイがかかった独特の音色になりますが、歪みは基本的にアンプで作っているようですね。
使用アンプはMESA BOOGIEやYAMAHAやHughes&Kettnerなど時期によって異なりますが、基本的にはハイゲインなものが多いです。
MESA BOOGIE ( メサブギー ) / RECTO-VERB 25 HEAD
クリーントーンとの切り替えは、ボリュームを利用していたようです。
そのため歪み系ペダルの情報は少ないのですが、過去にはJ. ROCKETT AUDIO DESIGNSより、Allan Holdsworth Signature OD/Boostが発売されました。
しかし、現在では販売が終了しております。
J. ROCKETT AUDIO DESIGNS ( ジェイ・ロケット・オーディオ・デザインズ ) / Allan Holdsworth Signature OD/Boost
ホールズワースファンの筆者としては、再販を心より望んでいる一台です。
いかがでしたか。
エレキギターという楽器が歪みという概念と共に歴史を紡いできた楽器であることを考えると、ジャズギターにおいても歪みが活用されるのは必然といっても良いのではないでしょうか。
玉虫色のようなクリーントーンのジャズギターも好きですが、ブルージーに歪んだギターのジャズも私は好きです。
ぜひ、みなさまにも歪んだジャズギターの魅力を感じていただければ何よりです。
次回も引き続きジャズギターの魅力を発信しますので、よろしくお願いいたします!