
(祝第1回)ビートルズの新曲「NOW AND THEN」でM44G用交換針を聴き比べ!

2023年、ポップミュージックシーン最大のトピックと言えば、ビートルズの最後の新曲「Now And Then」でしょう。発表されるや否やニュースでも大きく取り上げられています。音源となるメディアも様々な仕様のレコード、さらにはカセット、CDシングルまでもがリリースされるという、コレクター泣かせなマーケティングが大きな話題となりました。
レコードは様々な色の7インチカラーレコード、そして12インチシングルがリリースされ、全買いコレクターも多くいるかと思います。家族を養うサラリーマンのワタクシは予算の都合で12インチシングルだけを購入。カラー盤の7インチシングルも魅力的ですが、12インチは音の溝幅が広くなる分、音質も良くなるだろうという判断の元これにしました。
さて、通信販売で購入したこのレコード。偶然にもビートルズやレコード好きの仲間たちと食事会で集まるその日に到着!そりゃ皆テンションあがりました!急遽、視聴会となり、配信やラジオとは全く違う音質が部屋中に轟き、曲が終わっても皆で何回も針を落として感動に浸っておりました。集まった皆もすっかり頭の中に曲が染み込んでニュースタンダードとなった事でしょうw。
さて、このブログではそんな楽しい初ナウ&ゼンのリア充メモリーに浸りながら、SHUREのレコードカートリッジ「M44G」と、対応する交換針を聴き比べてみたいと思います。 1960年代から世代を超えて、リスニング用としても、DJ用としても愛され続けるSHUREの超定番カートリッジ「M44G」。そしてM44Gリスナーをサポートする交換針。現在SHURE製ものはなく、様々なメーカーが製造しておりますが、どの交換針にしようか迷う方がいるかと思います。サウンドハウスでも100SOUNDSそしてNAGAOKAの交換針を取り扱っています。
以前、ポール・マッカートニーのLP「マッカートニーIII」に関するブログにて、100SOUNDS製のものとNAGAOKA製のモデルでの聴き比べをしました。
どこまでもクラブ向きで心がハイになる100SOUNDSとじっくり聴き込みたくなる信頼のNAGAOKAという印象でした。その時に紹介したNAGAOKAのモデルは廃番となりましたが、うれしいことに新たにパワーアップされた針が発売されました!
というわけで、100SOUNDSとNAGAOKAの新しい針を取り出してみましょう。
まずは今や定番、100SOUNDS の「RS-44-100B M44G/M44-7対応 交換針」。
100SOUNDS ( ヒャクサウンズ ) / RS-44-100B M44G/M44-7対応 交換針
様々なスタイルの楽曲をトランシーに鳴らすところが魅力で、先日レゲエやソウルをかける集まりでDJを行った際は、金属パッケージをスライドする瞬間からテンションが上がったものです。
低音域の轟音とシャウターボイスを強調するようなサウンドにより、おかげ様で盛り上がりました。
そして、今回初めて体感するNAGAOKAの新しい「DJ-44G」。
NAGAOKA ( ナガオカ ) / DJ-44G - M44G・M44-7対応 交換針
音質実剛健なタフさを損なわず、よりパワフルな音圧、かつ繊細なワイドレンジで迫力のあるサウンドを実現させたモデルという事で、聴きこむにもよし、DJでもアガる音質が期待できそうですね。
パッケージから針を取り出してみますと、針先部分にカバーがあり、リスニングユーザーへの配慮に拘りに泣けます。
レコード針の準備ができたので、つぎはレコードを開けてそれぞれ聴いてみましょう!!
ビートルズの新曲「NOW AND THEN」、そのパッケージを開けてみますと、中には歌詞や解説が記載されたインナー。


レコードを取り出すとA面はお馴染みアップルレコードのラベル。


しかし、良く注目して欲しいのがラベルのリンゴの色合い。60年代ビートルズ活動期にイギリス製のレコードで使用されていた深緑色の通称ダークグリーン・ラベル(※)に近い所が泣けます。製作者の熱量を感じますね。


※70年代になると明るい色のグリーンのラベルが貼られるようになっていったそうです
(画像左側:ダークグリーン・ラベル / 画像右側:通称ライトグリーン・ラベル)
パッケージも盤も楽しいビートルズの最新ナンバーの12インチシングル「Now & Then」。M44G用の二つの針で聴き比べして。
※再生環境によっては音質や響き方も変わってくると思いますので、参考程度にお読みいただけたら幸いです。
Side A: Now & Then
●100SOUNDS
ボーカル、コーラスを含め一丸となってビートルズが空間を包むようなサウンドで、70年代のイギリスのUKオリジナル盤を彷彿させる迫力のあるサウンドです。ベースの音はうねるような太い音色ですが、あくまでも強力な歌のメロディーを引き立てるサウンドでした。スライドギターはセルフネオサイケ感な響きで「今日のロック」という印象で響かせるのが、100SOUNDSならではと思いました。やっぱり2023年のナンバーもレコードで聴きましょうよ、ビートルズは!

●NAGAOKA
ピアノ、ボーカル、ドラムのリム、そしてコーラス一人ひとりの声がとてもクリアです。
意外なのはスライドギターの音色が派手に響くというよりも、ストリングスと溶け合うサウンドで、ストリングスアレンジの素晴らしさとスライドのハーモニーに耳を奪われました。ベースもじつに歌っております!

両方楽しむこの醍醐味を、A面だけでもディープに堪能しましたがB面(AA面)にひっくり返しますと……LOVE ME DOの2023 MIXが収録されています。モノラルではなくステレオと表記されていますね。


こちらの面もラベルに注目していただきたいのですが、1962年当時のUKオリジナル盤のデザインである、レッドパーロフォンラベルのデザインを採用しているところが最高に泣けます。
LOVE ME DOのオリジナル盤もかなり高額で取引されていて、私は持っておりませんので、参考までに同時期の他アーティストによる当時のオリジナル盤の写真と比較を……


という具合にラベルにまで拘った渾身のラブ・ミー・ドゥ。
前回2012年にリリースされた発売50周年リイシュー盤(2009年リマスター版)と聴き比べると、さらにハーモニカの響きがキレイにブラシュ・アップされボーカルのリバーブがより心地いいミックスに感じました。

発売50周年リイシュー盤
そして今回の「LOVE ME DO」2023 MIX。二つの針で聴き比べるとどうなるのでしょうか。
Side AA:Love Me Do
●100SOUNDS
アコギとドラムのマッチ感がリズミカルに響き、手拍子のリバーブ感がクラブ感覚に鳴るあたりが流石100SOUNDSという感じです!ベースのウネリがP.I.L.ぽく感じました。ハーモニカの雑味がほんの少し残っているところが、不良ロックの感じを出していて、この針でPRETTY THINGSを聴いても楽しいかなと思いました。ビートルズはやはりロック・バンドだという事を改めて感じるガレージフレーバーを楽しめました。

●NAGAOKA
ハーモニカの雑味がこちらではなめらかになっており、心の奥まで響き渡ります!ベースのラインが明るくボーカルに負けじと歌っていますので、ポールファンなら思わずニンマリです。ボーカルの余韻、そしてハーモニカソロのあたりで聴ける手拍子の強弱が手に取るようにわかる音です。ビートルズ初期のUKオリジナル盤シングルをモノラル針で聴いているときの鮮やかさと迫力を思い出します。

さて2つの針で両面を聴いてみましたが、どちらの音も素晴らしくこの2曲だけで終われない!というのが正直なところです。
ビートルズのもっとアッパーな曲で聴いたらどうなるかと「TOMORROW NEVER KNOWS」を聴いてみたら……両方の針からそれぞれ別な衝撃が走るサウンド!ヤバすぎでしょう!というという事で、次回もビートルズとなりますが、アルバム「REVOLVER」で聴き比べしてみたいと思います!
