突然ですが、皆さんはご自身のギターのコントロールキャビティ・パネルを外したことはありますか?
なんとなく開けると良くない感じがして一度も開けたことがない方も多いんじゃないでしょうか?
まぁ昔の私がそうだったですけどね。
しか~し
コントロールキャビティには使われているパーツや配線方法など、各メーカーによってさまざまな創意工夫やコストを抑え価格を下げるための企業努力など、エレキギター、ベースの情報が集約されていると言っても過言ではありません。
今回は価格や生産国の異なる5本のエレキギターのコントロールキャビティをのぞいてみましょう。
SUHR ( サー ) / Modern Plus PF Chili Pepper Red
まずは言わずと知れた高級ギターSuhr / Modern Plus。
こちらはフレイムメイプルトップにバスウッドバック、ネックはローステッドメイプルでジョイント部にはヒールカットとTHEハイエンドギターな仕様。HSHのピックアップにコイルタップ機能がついていたりと、多彩なサウンドメイキングができるのが特徴のギター。

コントロールキャビティ内はどうなっているのかといいますと、CTSのポットにスーパースイッチといかにも高級ギターといった感じの仕様ですね。
はんだの盛り方は肉厚なアメリカンスタイル。(この呼び方に関しては私が個人的に勝手に言っているだけなので気にしないでください)
各配線材は強固なモノを使用し少し長めになっていて、パーツが緩んでいることに気が付かずにポットを回した際も断線しにくくなっている優しさ配線です。
しっかり厚めに塗られた導電塗料で「キャビティ内のノイズは許さねぇ‼」といった感じですね。
さすがSuhr。細かいところにも気配りがなされている印象ですね。
ZEMAITIS ( ゼマイティス ) / MFG-AC-24 NT
2本目LPタイプにメタルフロントが特徴的なZEMAITIS / MFG-AC-24 NT。
こちらのモデルはメーカー内では中級グレードの国産品で、バック材にはアフリカンマホガニーを使用しており木材にまで徹底こだわり設計された一本。

コントロールキャビティ内はとってもスッキリ!!
底面には金属プレート、ポットのアースはメッキ線が使用されていて、元になったであろうGibson / Les Paulに忠実に、そして丁寧に配線されていますね。
トーンコントロールのコンデンサにはオレンジドロップが採用されており、音質もさることながらやっぱり見た目が可愛くていいですよね。
Suhr と同じく導電塗料が塗ってありますがこちらは銅テープでパネルのアースを落としてあり、細かいところですがビスの圧力で一番外れにくい部分についていますね。
こういった丁寧な配線は見ていてとても気持ちがいいですし、繊細で日本的だなって感じがます。
ギターの配線って結構お国柄や個人の性格が出るものなんですよ。
EDWARDS ( エドワーズ ) / E-HR-145III Black
3本目は日本が誇るハイエンドブランドESPの弟分、EDWARDS / E-HR-145III。
EDWARDSはESPの自社工場で製造することにより、高いクオリティに定評のあるメーカーですね。

先の2本とは違う大きな特徴が2点あり、まずはポットがCTSではなくBournsを採用していることです。
このポットはESPの特注品でCTSより軽めのトルクとなめらかな動きが特徴的なパーツですね。
そして細かい部分ですが、はんだの量が先の2本と比べ少ない点です。
はんだに関しては様々な流派や信仰があり、これがベストとは一概に言えませんが、個人的にはこの少ないはんだで綺麗なフィレットを作るやり方は好きです。
はんだが少ないとすぐに外れそうな気もしますが、そうではないんですよ。(はんだについて書くととっても長くなるのでまた後日機会があれば…)
中級モデルだからといって一切妥協しないパーツ選びと技術力の高さはさすがEPSといった感じです。
EPIPHONE ( エピフォン ) / SG Standard Alpine White
4本目はGibsonの傘下ブランドのEPIPHONE / SG Standard Alpine White。
ACDCのアンガス・ヤング、Black Sabbathのトニー・アイオミ、なども使用していることで有名なGibson / SGをよりお求めになりやすい価格で販売しているモデル。

こちらは中国製で、このあたりの価格帯からパーツのグレードが一気に落ちがちなのですが……なんとポットにはCTSが使用されているんですよ。
この価格帯のギターでCTSがついているって結構すごいです‼他のメーカーでは、まずありえないです。
ピックアップの配線がソケット式になっていたりと、このあたりは作る側が作業しやすいように、そしてミスを減らすためだと思います。
海外の工場はいわゆるパートのおばちゃんのような方が多いと聞きますので、そういった知識のない方でも素早く簡単に効率良く作業ができ、時間当たりの生産本数を増やすことでこのクオリティと価格を実現できているのでしょうね。
先の3本とは異なる点がもう1つあり導電塗料が塗られていませんね。
導電塗料に関しては、10万円以下のモデルではほとんどのメーカーで塗られていない印象ですし、標準的といった感じです。
導電塗料は地味に塗るのが難しかったり、時間がかかるので人件費など諸々のコストがかかりますからね。
PLAYTECH ( プレイテック ) / ST250 Rich Black
最後は弊社が誇る最強ギターPLAYTECH / ST250。
コストパフォーマンスに優れ、ギター入門者の方におすすめのサウンドハウス的には絶対に紹介しておきたい1本です。

パーツや配線を見てみるとシンプル?
これまでにさまざまなメーカーのキャビティを見てきたので少し物足りなさを感じてしまうかもしれませんが、これがPLAYTECHの特徴なんです。
徹底的に製造の手間を簡略化、しかしポイントを押さえることにより低価格で一定のクオリティを出しています。
初心者モデルのイメージが強いPLAYTECHのギターですが、作りがとてもシンプルなので改造もしやすく「徹底的にギターをイジり倒したいぜ!!」という方のセカンドギターとしてもオススメですね。
いかがでしたでしょうか?
今回は価格や生産国の異なる5本のエレキギターのコントロールキャビティをのぞいてみましたが、見比べてみると結構違いがありましたね。
これを機に普段あまり目にすることの少ないコントロールキャビティに興味を持っていただけたら幸いです。
機会がありましたらご自身のキャビティパネルも開けてみてくださいね。
ちょっと今回は内容が薄味になっておりますので、玄人の方には物足りない感じかもしれませんが今後もっとディープでマニアックなことや面白いことを書いていけたらと思います。
それではまたサウンドハウス・スタッフブログで会いましょう。
さようなら。