
2022年にリニューアルされたSTRYMONのコンパクトペダル6製品、「V2」シリーズ。見た目には大きな変化のないモデルが多いので、どのような点でバージョンアップしているのか気になっているギタリストも多いのではないでしょうか?
今回はサウンドハウスのエフェクター担当スタッフが、実際にV2シリーズ6製品を弾いてみたレビュー、感想をお伝えしていこうと思います!
V2シリーズ全体の印象
エフェクターを愛するギタリストにとっては、ペダルの見た目も重要ですよね。実物を目にして、「どの商品も重厚感のあるアルミボディでかっこいい!」と感じました!その質感から、かなり重いのでは?と思いつつ実際に触って持ち上げてみると、想像よりも軽く少し驚かされました。エフェクターボードに組み込むうえで、こうした耐久性と軽さを兼ね備えた仕様はギタリストにとって嬉しいのではないでしょうか。
また、全てのモデルがMIDIに対応。TRSケーブルとUSB-Cケーブルの両方に対応しており、MIDIコントローラーを用いれば非常に細かなコントロールが可能です。STRYMON製品を複数台そろえれば、マルチエフェクターのような操作感も実現可能!ギタリストの夢がさらに広がる仕様になっていると強く感じました!
それでは各製品を実際に弾いてみた感想をお伝えしていきます!
STRYMON ( ストライモン ) /
blueSky V2
まずはリバーブペダル「blueSky V2」。旧モデルは、その高品質さでコンパクトペダル界のリバーブに革命を起こしたとも言えるモデルですよね。
リバーブタイプは旧モデルと同様「plate」「room」「spring」の3種類。旧モデルでは「norm/mod/shimmer」という3種類のモードが選択可能でしたが、V2ではMODの切り替えスイッチへと置き換えられました。MODは「off」「light」「deep」の3種類から選択可能で、残響音のアレンジ幅が広がっているように感じました。
特筆すべきはやはり、新たに追加されたSHIMMERノブでしょう!原音のオクターブ上の音が追加されることで、倍音が煌びやかに響くシンセのような音が特徴のSHIMMERサウンド。旧モデルではトグルスイッチにてSHIMMERモードに切り替える必要がありましたが、今回はノブを回すだけでリバーブ音への味付けが可能になりました。roomリバーブでは 1オクターブ上と5度上の音を、springリバーブでは1オクターブ下の音をそれぞれ追加可能。実際に使ってみると、重厚感のあるオルガンをバックに、教会でギターを弾いているような気分に!いつまでも弾いていたくなるサウンドでした!
STRYMON ( ストライモン ) /
El Capistan V2
次に演奏したのは、太くて温もりのあるテープ特有のサウンドを徹底的に再現したペダル「El Capistan V2」。実際に音を鳴らしてみて、あのアナログテープサウンド特有の質感が、非常に高い精度で再現されていることに感動しました!旧モデルと同様、「fixed」「multi」「single」の3種類からヘッドモードを選ぶことができ、細かなシミュレーション設定が可能。また、デジタルであることの強みとして、MIDIコントロールによるディレイタイムの同期も可能となっているので、まさにアナログとデジタルのハイブリッドサウンドが得られます!
V2から新しく追加されたSPRINGノブでは、かつてテープエコーマシンの中に搭載されていた小さなスプリングリバーブタンクのサウンドを再現!TAPE AGEツマミでは、新品の安定したエコーサウンドから、使い古されたノイジーなサウンドまでカバーが可能です。これらを組み合わせると、どこまでもレトロな質感のサウンドを追求することが可能となっています!
STRYMON ( ストライモン ) /
FLINT V2
リバーブとトレモロの2種類のエフェクトを収録した「FLINT」。全機種を触ったうえで振り返ると、今回のV2シリーズの中では最も操作感がシンプルな機種だったように感じました。あまりエフェクター操作に慣れていない初心者にも扱いやすい仕様であるように思います。
旧モデルよりもSpeedノブのLFOスピードレンジが広くなったとのこと。非常にゆっくりな揺らぎから、激しいトレモロサウンドまで鳴らすことが可能なため、ジャンル問わずさまざまな音楽に使用できるエフェクターです!
スプリングリバーブがついているモデルはV2シリーズの中にも多いですが、特にこのモデルの’60sモードはスプリング独特のピチャピチャサウンドが生々しく、非常にリアルで筆者のお気に入りでした!
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Lex V2
ビンテージロータリースピーカーのサウンドを再現した「Lex」。旧モデルからノブが2つ、切り替えスイッチが2つ増設され、またノブが黒色から白色へと変更。6製品の中では外見の印象が大きく変わったモデルです。まさにロータリースピーカー!といった、レトロなビジュアルが素敵ですね。
注目すべきは増設されたMIC DISTANCEノブ。実際にノブを回してみると、左へ回し切るとやや荒々しい印象、右へ回すとメロウな感じと、かなりニュアンスが変化させられることに気が付きました!その他にもマイク位置をfrontかrearで選択できるMICスイッチ、またローターの立ち上がりスピードを3段階でコントロールできるRAMPスイッチなどが新設されています。追加された機能によって、旧モデルよりも音作りの幅が格段に向上している印象でした。
STRYMON ( ストライモン ) /
DECO V2
ギターエフェクターでは珍しい、オープンリールのテープマシンサウンドそのものを再現したテープサチュレーションエフェクト「DECO」。筆者は今回初めてテープサチュレーション系のエフェクターに触れましたが、デジタル機器でありながらも、アナログ時代を感じる音の質感が衝撃的でした!
旧モデルからの大きな変更点として、TONEノブの増設があげられます。これによってダークからブライトなトーンまで調整でき、以前のモデルよりも音作りがしやすい仕様になったと感じます。またVOICEスイッチの搭載によって、「classic」「cassette」の2種類のモード選択が可能に。 他のエフェクターと比べると派手な効果はなく、ややマニアックなエフェクトではありますが、その唯一無二さが非常に魅力的です!レトロな音作りが好みである筆者も、弾いていて一台欲しくなってしまいました(笑)。
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DIG V2
1980 年代に開発されたラック型ディレイと、strymon流のモダン・ディレイという異なる2タイプのディレイを収録した1台「DIG V2」。旧モデルから引き続き、ディレイタイプは「ADM」「12bit」「24/96」の3種類が用意されています。特にハイレゾ・ディレイである「24/96」モードの非常にクリアなディレイ音は、さすがSTRYMONといったところでしょうか!(ちなみに、3種類のディレイタイプについての詳細な解説は、メーカー公式の「DOG:技術白書」をぜひご覧ください!必見です!)
旧モデルからの大きな変更点はTONEツマミの追加。フィードバック音のフィルター機能を担っており、細かなサウンドのニュアンスが簡単に調整できるようになっています!
2種類のエコーを同期させることで極限まで複雑な設定も可能なため、やや上級者向けのペダルではありますが、ツマミを触っているだけでも複雑なサウンドが飛び出してくるので、あまり難しく考えずに触ってみるのがおすすめです!
おわりに
いかがだったでしょうか?本稿でSTRYMONのV2シリーズの魅力が少しでも伝われば嬉しいです!全機種がMIDIに対応したことによって足元でのコントロール性が向上しているため、空間系ペダルでお悩みの方はエフェクターボードに1台組み込んでみてはいかがでしょうか!?その音質と使い勝手の良さは、きっとあなたのボードを一段階レベルアップさせてくれることでしょう!それでは良いSTRYMONライフを!