最近、修理に半田ごてを使用していると、こて先の温まりが遅くなったなと感じるようになりました。
そこで、今回交換用のパーツを入手し、この機会にメンテナンスを行ったので、その内容を紹介させて頂きます。
ちなみに使用している半田ごてはHAKKOのPRESTO No.984
通常は20Wで加熱しますが、手元にスイッチが付いており押すと130Wで加熱されるので立ち上がり時間の短縮や熱量が必要な時に使い勝手がよい半田ごてです。
15年以上同じ機種使用していて今の物で3本目になります。

メンテナンスに入る前に状態チェック。
それなりに使い込んでいる。よく見ると先端が少し曲がっているのですが、お気づきでしょうか?
普通に使えていたのでそれ程気にせずに使っていたが、細かい作業をするときにストレスになっていました。
根元のネジを回して先端を外し分解してみると…

保護パイプとこて先が分かれるはずなのですが、分かれずに固着しており、さらには本体側のセラミックに金属が貼り付いている。
調べてみたら稀にある症状らしい。きっと長期間メンテナンスしてなかったことが原因なのではと考えつつ分解を進める。

セラミックに貼り付いた金属を取り除くと炭化した粉が隙間から出てきた。
写真では細かすぎて見えにくいが、その炭化した粉があるために熱伝導率が下がっていたのだと考えられる。
セラミック周辺や隙間をブラシで入念にクリーニングし炭化した粉や汚れを落とした。
パーツ交換はこて先のみ行おうと考えていたが保護パイプから外せないので保護パイプも交換することにした。

こて先にも多くの種類があるが今回は使い慣れている980-T-BIという品番の物にした。鉛筆の先端のような形状でB型といわれるものです。
保護パイプはNo.B2564という品番、PRESTO用の純正品です。

早速交換。
見違えるほど綺麗になりましたね。もはや新品です。

使用感はというと、立ち上がり時間が今までより早い。やはり内部の汚れにより熱伝導率が下がっていたのだろう。
試しに基板の半田を溶かしてみたが、これも今までより時間をかけずに行える様になっていた。熱し過ぎずに作業を行えるので基板へのダメージを減らせますね。
ちなみに半田ごてのメンテナンスは分解して内部の掃除をするだけでも効果があります。今回のように炭化したゴミが詰まっている場合もあるので、月に一度、軽くメンテナンスすれば作業の効率も下がらず半田ごての寿命も延びるかと思います。
また、こて先は熱によって酸化して劣化していくので使用しない時は先端に半田を盛ることで酸化被膜ができるのを防ぎ寿命を延ばせます。
この記事が機材とメンテナンスの役に立てれば幸いです。