楽器や音響機器、皆さんが使用する家電には数百、数千、物によっては数万種類以上のパーツが組み合わさって構成されています。そして、そのパーツは「基板」と呼ばれる板にまとめて取り付けられています。

機器の心臓部ともいえる基板には、さまざまなパーツが取り付けられていますが、その中の一つが故障しただけでも、基板全体が機能しなくなってしまうという事態が多々あります。
先日、修理でお預かりした照明機材AMERICAN DJ「MEGA BAR RGBA LEDウォッシャー」を一例に挙げます。
AMERICAN DJ ( アメリカンディージェイ ) / MEGA BAR RGBA LEDウォッシャー
この機種は10mmのLEDが320個取り付けられており、LEDの内訳は赤64個、緑96個、青96個、アンバー64個となっております。
LEDの劣化や寿命が起因し点灯していない部分がありました。一カ所LEDが切れてしまうと、同じ列に並んでいる他のLEDにも影響が現れ点灯不良を起こしてしまいます。そうなった場合は、まず不具合の故障パーツをとらなければなりません。

こちらが普段使用している道具です。
パーツの除去に必要なものは、はんだごて、はんだ、はんだ吸い取り線、はんだ吸い取り機の4点です。
■ はんだ吸い取り線

はんだ作業の中でも最もポピュラーな道具がこちら。取りたい部分に当て、吸い取り線ごと熱すると熱で融けたはんだを吸着してくれるという代物です。
(編み込まれた銅線に「フラックス(ヤニ)」という、金属同士の接合を妨げる酸化物を取り除く役割の素材が塗られているものです)

取りたい部分にはんだ吸い取り線を乗せ、押し当てています。

取れました。
■ はんだ吸い取り機

名前の通り、はんだを吸い取ってくれる道具です。中にばねが仕込まれており、細い部分を押し込んでロックし、ボタンを押して解放するとばねの反発力で吸い取ってくれます。

はんだを盛って、いざ…
(ここではんだを盛っておかないと、はんだ全体にうまく熱が伝わらず、融けていなかった部分が残ってしまいますので、盛ります。)

はんだを融かし、その部分にはんだ吸い取り機の口を近づけ、ボタンを押します。

取れました。

では2つを見比べてみましょう。上がはんだ吸い取り線、下がはんだ吸い取り機です。
仕上がりだけで見ると、はんだ吸い取り線が優秀ですね。しかし、その反面デメリットもあります。はんだ吸い取り線は特性上、熱する時間が長かったり、基板に押し付けて使用しますので、パーツが密集している基板では使えないことも多々あります。
そんなときに役に立つのがはんだ吸い取り機です。はんだを融かして吸い取るというヒット&アウェイ方式なので、熱する時間は最小限かつ先端を当てさえすれば狭いところでも除去できます。
このようにメリット、デメリットはそれぞれにありますので、適材適所で使っていきましょう。
以上、はんだ除去編でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。