AFS(Auto Feedback Suppression)ってそもそも何?というところだと思います。
ここでいう「Feedback」は、PA用語でいう「ハウリング」のことです。現場では「ハウる」なんて言いますが、このハウリングは、マイク→スピーカー→マイク→スピーカー・・・とループすることによって起きる「キーン」とか「ブワーン」というような不快な音が生じる現象です。これが起きてしまうと、ライブが台無しになるだけでなく、耳に悪かったり、スピーカーが壊れる要因になったりと良いことが1つもありません。
これを回避するために注意すべきは3つ!
○ マイクとスピーカーの位置に注意。
スピーカーの近く、スピーカーの前にマイクを設置しない。
○ マイクのゲイン、全体の音量を上げすぎない。
例えばバンドの場合、ギター、ベースアンプの音量が大きい→ステージモニターの音量を上げる→ハウるというパターンがあります。その場合は、ギター、ベースアンプの音量は下げて、ギター、ベース前にあるステージモニターの音量を上げましょう。ステージ上は音を減らしてスッキリさせたほうがモニターしやすいし、演奏もしやすいです。
○ イコライザーでハウリングの原因周波数を探してカット(減衰)させる。
PAの場合、ミキサーについている例えば3バンドのパラメトリックイコライザーだと、どれか1つをグイっとカットしてしまうと音質に与える影響が大きいため、31バンドのグラフィックイコライザーを使用する場合がほとんどです。ベテランPAさんともなれば、耳で聴いて「この辺ね」と対応できちゃうようですが、そうじゃない人のほうが多いと思います。
そこで、出てくるのがこの「AFS(Auto Feedback Suppression)」です。
自動でハウリングの原因となる周波数を検知して、音質への影響を最小限にするために幅の狭いピンポイントの帯域をカットしてくれる機能です。
JBL PAスピーカー「EON700シリーズ」「EON ONE MK2」「PRX ONE」には、なんと、このAFSが搭載されています!!/p>
これはマジでスゴイことです。
dbxの名機AFS224から、AFS2に引き継がれ、今も人気のハウリングサプレッサーがなんとスピーカーに内蔵されているなんて。。。感動ですね(涙)。
では、前置きがすごく長くなりましたが、この内蔵されたAFS by dbx driverackについて見てみましょう。
こちらはEON ONE MK2の本体画面とiPhoneのアプリJBL PRO CONNECTの画面になります。



使用方法や各項目の内容は下記をご覧ください。
AFS by dbx On/Off
AFSプロセッサーのオン/オフが切り替わります。
Live AFS On/Off
ライブ(自動)AFS フィルターのオン/オフが切り替わります。ライブフィルターは、ステージ上を移動するマイクからのフィードバックをキャッチするのに最適です。ライブAFS は、 AFS 処理の使用を開始する最も早くて簡単な方法です。
Reset Live Filters
すべてのライブフィルターをリセットします。
Fixed AFS On/Off
固定AFSフィルターのオン/オフが切り替わります。固定フィルターは、例えばギターアンプ用マイクやドラムマイクなど移動しないマイクからのフィードバックをキャッチするのに最適です。
Learn Fixed On/Off (アプリではStart Discovery:ON、Stop Discovery:OFF)
固定 AFS フィルター周波数の自動検出と設定を開始します。
本番前に、マイクを接続し、スピーカーの電源を入れた状態で、"Learn Fixed "をONにします。その際、ライブAFS はオフにしてください。
その後、 近くのマイクに近づき、大きな声で話しかけてフィードバックを誘発させてみてください。フィードバックが見られない場合は、フィードバックが鳴って固定AFSフィルターで抑制されるまで、メインボリュームをゆっくりと上げていきます。スピーカーのAFSシステムがハウリングの周波数を検知するたびに、自動的にその周波数に固定AFSフィルターをかけます。ハンドヘルドマイクを持って演奏者の周りを移動するなどして、マイクに向かって大きな声で話し続けてください。
すべての固定AFSフィルターが埋まると、「Learn AFS」は自動的にオフになり、固定AFSフィルターは保持されます。すべての固定AFSフィルターの周波数割り当てが完了しない場合、ユーザーは「Learn Fixed」設定を再度クリックして、手動で「Learn AFS」を終了することができます。「Learn AFS」をオフにすると、自動的に設定が残ります。
「Learned Fixed」の設定が完了したら、「Live AFS」をオンにして、ライブイベント時 のフィードバック抑制設定を行います。
Reset Fixed(アプリではClear Fixed filters)
固定AFSフィルターをリセットします。
Remember Fixed on Reboot On/Off
スピーカーは、同じ設定で長時間使用することがあります。このような場合、スピーカーの電源を何度もオン/オフすることがあります。「Remember Fixed on Reboot」をオンにすると、固定されたAFSフィルターの設定が、再起動時にも維持するように設定されます。
サウンドチェックで固定AFSフィルターを設定してからイベントに参加するまでの間に誤って電源を落としてしまった場合に備えて、一般的にはこの設定をオンにしておくほうが多いでしょう。移動の多いPAシステムの場合は、この機能をオフにした方がいいかもしれません。場所によってフィードバックの問題が異なるため、以前の固定フィルターでは対応できないからです。
さらに、JBLサポートへ詳細を問い合わせたところすぐに回答がもらえました。レスポンスが早いサポートというのも信頼できる要素ですよね。
1. 最大フィルター数は?
- 24
2. 帯域幅(/oct)は?
- Q = 16 (1/11.1オクターブ)
3. 何dBカットできるのか?
-3dB-12dB
4. 自動適用されたフィルターの保持期間は?
- 新しいフィードバックで上書きされるか、ユーザーによってリセットされるまで、すべて保持されます。
- PRX ONE/EON ONE MK2の場合、フィルターは固定(12個)とライブ(12個)の2つのグループに分かれます。
AFSパラメーター "Remember Fixed on Reboot "をONにすると、本機を再起動しても固定フィルターは保存されます。
それ以外の場合はOFFにすると、本機を再起動したときに固定フィルターがリセットされます。これは、ユーザーが "Reset Fixed "パラメーターを使用してクリアすることもできます。
ライブフィルターについては、本機の電源を切るか再起動するとクリアされます。
- EON700の場合、24種類のフィルターは、本体を再起動してもすべて保存されます。これは、ユーザーが "Reset AFS Filter "パラメーターを使用してクリアすることができます。
5. 最大数のフィルターがすでに適用されているときに、新しいフィードバックが検出された場合の動作は?
一番古いフィルターがすぐに解除されるのか、それとも何も変わらないのか?
- PRX ONE/EON ONE MK2の場合、固定フィルター設定時に12個になると、最も近い周波数を抑えた古いフィルターに置き換わります。
ライブフィルターでは、12個に達した場合、最も古いフィルターから置き換わります。
- EON700の場合、24個に達すると、最も近い周波数が抑制された古いフィルターに置き換わります。
なお、PRX ONE/EON ONE MK2/EON700では、AFSを使用した場合、フィードバック前のゲインを最大3dB程度上げることが可能です。
どうでしょうか。要するに外付けのAFSプロセッサーとほぼほぼ同じレベルのものが内蔵されているということなんです!!
私も実際に試してみたくなってハウらせてみました。
マイクを片手にPRX ONEの前に立ち、ハウリングしやすいような奇声を放ち、わざとハウリングを起こしてみたところ、そのままの状態で少し待つと、ハウリングがストンと消えました。すると、それ以降は同じ奇声ではハウリングは起こせませんでした(笑)
難しい設定は本当に必要なくて、AFSをONにするだけなのでイベントでPAをされる方はとっても楽できると思います。ただ、本番中に新しいハウリングが起きた時、自動AFSフィルターが検知してカットするまで数秒かかりますのでご注意くださいね。
「ハウリングが起きないように配置、音量を調整していただく」というのが大前提ではありますが、いざという時に助けてくれるのがこのAFSです。
JBL PAスピーカーは、音質が素晴らしいのはもちろんのことですが、こうしたユーザーの利便性もかなり高められています。
PAスピーカーで迷ったら、JBL。
PAスピーカー担当の一推し機能紹介でした。