サウンドハウスをご覧の皆様、おはようございます。DJのおわたにです。実に半年ぶりの寄稿ということでご無沙汰しておりました。
今回の記事はタイトルにもある通り、あるギターをリペアしてみたという一種のルポに近い内容です。とはいえ筆者はギターをちゃんとリペアした経験はなく、まあ言ってみれば「リペアごっこ」ぐらいのレベルなのですが、以前寄稿させて頂いた際の付与ポイントをガッツリ活用して行っているので何をどう揃えたのかなどを中心に記録として残してみたいなと思ったためこうして筆を執った次第というわけです。
今回リペアしたのはYAMAHA製のストラトタイプ・PacificaのエントリークラスモデルであるPAC312。
定価は税抜き37,000円(2021年10月現在)とお手頃価格なギターです。アルダーボディにメイプルネック、ローズウッド指板というオーソドックスなスタイルでピックアップはSSH配列とこれまた安めのギターにありがちなセット。5ウェイセレクターにマスターヴォリューム・マスタートーンというコントロールでテレキャスタースタイルに慣れていた筆者としても大変ありがたい構成になっています。

↑写真は本格的なリペアに入る前のもの
実はこのギターは筆者が入手したわけではなく、数年前に父がヤフオクで落札した一本で、本人曰く1万円程度で手に入れたとのことでした。その頃もよく触らせてもらっていたのですが、音は悪くないものの弦高が異様に高くてジャックの接触不良もなかなかというコンディションのためあまり父も弾きたがらず、落札から3年ほど経ったある日、Fender mexのストラトキャスターを購入したことからいよいよ触らなくなってしまったという不運なギターだったのです。
聡明な読者の皆様であれば、「弦高ならブリッジサドルのイモネジでどうにかなったんじゃないの?」とお思いになっていることでしょう。わたしも確かにそう思い父に訊いてみたのですが、返答は「イモネジがサビていて回らない」でした。見てみると確かにサビサビ。これじゃあ調整も思い通りにはいきません。互換性のあるサドルに取り換えるという方法もあります(そして筆者は実際にそうしました)が、父はアコギをメインにしていてあまり積極的にそれをしようとはしていませんでした。

ではなぜ筆者はこのPacificaをリペアしようと思ったのか。何となく音は良いしちゃんと調整すればいい感じになるのではないかという予感があったのは確かですが、それ以上にわたしを動かしたのは「響け!ユーフォニアム」の中川夏紀さんの存在でした。
https://twitter.com/yamahaguitar_jp/status/1142447280143785984
2018年の映画「リズと青い鳥(http://liz-bluebird.com/)」、そしてその翌年に公開された「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(http://movie3.anime-eupho.com/)」に食らってからというもの、中川夏紀さんがPacificaを構える姿はわたしの脳裏に焼き付いて離れませんでした。もちろん前2シーズンの総集編映画も拝見し(TV版はまだ全話観れてないです。スミマセン)、その人となりを調べてみたところ、なんと国内のバンドもいくつか聴いているというではありませんか。そして筆者はこう思ったのです。「例えばあの子は透明少女」。
というわけで、テレキャスタータイプのギターしか所有していなかった筆者は是非このパシフィカで透明少女の田渕氏パートを弾いて中川夏紀さんを感じてみたいというその一心でリペアに乗り出します。まずは弦を外して全体的に拭いてホコリを取り、どうにかブリッジサドルを取り外します(ここがスムーズにいったのは本当に助かりました)。そしてフレットを金属磨きで磨いたのち指板にレモンオイルを塗布します。この状態で撮ったのが一枚目の写真です。
■ フレットガード(筆者が使っているものとは別ですがこれに酷似しています)
FERNANDES ( フェルナンデス ) / Fingerboard Guard 3P
■ レモンオイル
■ フレット磨き(筆者は普通の金属磨きを使いました)
dmiguitarlabs ( ディーエムアイギターラボ ) / FRET BUTTER フレット磨き専用クロス
ブリッジ本体も金属磨きをかけ、PUカバーのくすみなどはありつつもそれなりにちゃんとした見た目になってきたPacifica。

まずは取り外したブリッジサドルの幅を測り、10.8mm幅のサドルを注文します(今回はGOTOH製のニッケルを選択。色は違いますがその辺は気にしない)。替え弦やストラップ、ストラップ抜け防止の留め具や欠品していたアームも注文し、実際に組み上げたのがこちら。

■ ブリッジサドル
■ アーム
FERNANDES ( フェルナンデス ) / RSTアーム CR/SWキャップ '16
なかなかいい感じですよね。作業工程などはほぼすっ飛ばしましたが、その辺はわざわざ書かなくとも「シンクロナイズドトレモロ 調整」とかでググれば山ほど出てくるので大丈夫でしょう。初めてちゃんとアーミングのできるギターを導入したことでシューゲイジングがはかどり大変楽しい日々を過ごしております。
https://twitter.com/o_w_t_n/status/1396664212324118530?s=20
ナンバガじゃなくね?でも多分、中川夏紀さんマイブラもお好きだと思います。そんなわけで皆さんも「リズと青い鳥」「響け!ユーフォニアム」シリーズ是非観てみて下さいね!それでは!
■ Pacifica 112V(中川夏紀さんの弾いていらっしゃる同仕様のパシフィカ)
YAMAHA ( ヤマハ ) / Pacifica112V OVS エレキギター パシフィカ
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