はじめに
こんにちは。
バンド楽器の花形、エレキギターには、多くの楽しみ方があります。
演奏するのはもちろんのこと、アンプやエフェクターで音作りをしたり、コレクションしたり、ストラップを合わせてファッショナブルにしてみたり、そしてそして……改造してみたり。
しかしギターの改造と聞くと、かなりハードルが高いイメージもありますよね。穴を開けたり、配線し直したり、中には塗装し直したりレリック(経年劣化を再現した)加工を施す猛者もいます。
下手をするとギターを壊してしまうかもしれないので、素人の私たちには手が出せません。
とはいえ、改造とはいわば、自分専用で唯一無二のギターを作り出すこと。そのカッコよさに憧れてしまう気持ちは捨てられません。
いや、捨てなくて良いんです!
ということで今回は、技術がなくても簡単にできる、エレキギターの改造について紹介します。筆者が実際に改造を行った経験を踏まえて書きますので、これを読んだあなたも、一緒に改造の世界へ踏み出してみましょう。
注意事項
本題に入る前に、気を付けるべきことを列挙しておきます。
① 怪我や事故防止の徹底!
基本的なことですが、いちばん大事です。
改造には少なからず工具を使用します。怪我や事故には繋がらないようにしましょう。
小さな子どもやペットのいる部屋では行わない、などの配慮も必要です。
② パーツの寸法を確認!
エレキギターは、メーカーやモデルによって、パーツの規格や寸法が異なります。更には同じブランド内の同じモデルでも、製造された時期や工場が違う場合、異なった規格で作られていることもあります。
よくあるのは、「ミリ規格」「インチ規格」という違い。これが異なると、パーツを正しく搭載できなかったり、不具合が出たりします。
ですから、ネット上の情報を鵜呑みにして改造をすると、大きな失敗につながる可能性もあります。
できる限り自分で寸法を測ったり、リペアマンに相談することが必要です。
③ 改造は自己責任!
これは筆者が責任逃れをしているのではありません。
新品のエレキギターでは、購入から数年間のメーカー保証が付いていることがあります。この保証期間内に改造をすると、保証の対象から外れてしまう可能性があります。
改造は自己責任で、できれば保証期間を過ぎてから行うのが良いでしょう。
改造にチャレンジ
いよいよ本題に入ります。
筆者が改造するのは、愛用するBacchusのジャズマスタータイプ、WINDY(メーカー保証終了)!

この楽器の短所を直し、長所を伸ばすような改造を行いたいものです。
それでは行ってみましょう!
[改造1:アウトプットジャック]
シールドケーブルを差し込む部分ですが、経年劣化で故障しやすい、いわば消耗品です。筆者のギターも接触不良があり、どうしたものかと悩んでいました(まだあまり時間は経っていないのに……)。
接点復活剤を使用したり、しっかり磨くことで解決できる場合もあるそうですが、一時しのぎではあります。
そんなとき、これを見つけました。
Pure Tone Jack ( ピュアトーンジャック ) / PTT1
ジャックが新しくなるだけでなく、接点が増えてホールド力がアップ。信号の伝達効率も向上するらしい……。
いい機会ですから、取り替えてみましょう。
まずはギターから弦を外し、ピックガードも外します。この段階でお掃除もできますね。
ジャック部分が露出したら、写真を撮っておきましょう。配線し直す際の重要な資料になります。



この段階で、筆者のギターはジャックの配線が切れかけていたことを発見します。接触不良の原因はここだったのですね。
ジャックを取り替えつつ配線も直します。ここでは「はんだ付け」が必要になります。それほど難しい作業ではありませんが、火事や火傷には気をつけてください。
さて、配線が済んで一件落着。かと思いきや、今度は新しいジャックが元々のものよりも大きく、ピックガードの穴に入らないという問題に行き当たります。
見たところ、1ミリにも満たないような僅かな差であったため、ピックガードをヤスリで削って対応します。

そして完成!見事にピッタリと収まってくれました。プラグをガッチリとホールドしてくれるので、グラつくこともなく安心感があります。
[改造2:ロックペグ]
お次はロックペグの搭載です!
BacchusのWINDYは、お手頃価格でありながら、個性的でなおかつ使い勝手の良い優秀なギターなのですが、純正のペグにはコストカットの影響が見られます。
チューニング中に空回りしていたり、かと思えばいきなりピッチが変わりすぎてしまったり。演奏中にチューニングが狂うようなことは多くはありませんが、重要な部品ですから、グレードアップしておきたいところです。
欲を言えば、弦を挟んでロックする機能のついたペグを搭載したいです。
ということで、見つけたのがこちら。
GOTOH ( ゴトー ) / SG381-MGT-07-L6-Chrome
チューニングの精度向上と、弦交換のストレス解消を狙います。
GOTOHのペグには豊富な種類があるのですが、便利そうなのはMG-T(マグナムロック・トラッド)と名の付いているものです。これはダイヤルを回すだけでロックが可能な代物で、弦交換もかなり楽ちんになりそう。
サウンドハウスのレビューでは、加工無しでBacchusのギターに取り付けられたという報告も見られたので、これは試す価値ありかも。
そこそこのお値段がするので躊躇してしまうのですが、思い切って搭載してみたいと思います。


ペグを固定している六角のナットを緩め、裏側のネジも緩めて、取り外します。全部外せたら、今度はロックペグに交換。今回は1~3弦と4~6弦でシャフトの長さが違うペグなので、緑の印がついているものを1~3弦用にしてください。
ジャックのときと同じく、穴が少し小さくて、しっかり差し込むのに苦労しました。無理に力をかけるとヘッドが割れてしまうことがあるので、慎重に行ってください。
ナットとボルトを締め直し、そしていよいよ……


完成!ゴツくてメカメカしい感じが増しました。個人的には格好良くなったと思います。
改造前後の変化
ジャックとペグを交換してみて、WINDYは想像以上に変化した気がします。
言うまでもなく、弦交換は楽になりました。ダイヤルを回すだけという機構のお手軽さに驚かされます。
続いては弾き心地について。ロックペグになったことで弦のテンションが下がり、押弦に力がいらなくなりました。慣れないので違和感がありますが、すぐに弾きやすく感じると思います。
音に関しては、高音域が際立って(キンキンするわけではなく)キラキラとしたサウンドになりました。以前は割と大人しめの音だったので、かなりギャップがあります。音作りを微調整しなければと思えるほど、大きな変化がありました。
今後の展望
今回行った2つの改造は、どちらかと言えば改善という感じでした。が、次はまさしく改造といったものにも挑戦してみたいですね。
Goldo ( ゴルドー ) / TLT2N Les Trem
例えばこちらは、ブリッジの代わりに取り付けられるトレモロアームです。
本体への穴開けなどが不要ということで、非常に気軽に取り付けできます。値段はちょっと高いですが……。
トレモロアームを使うとチューニングが狂いやすくなりますが、今回取り付けたロックペグの力で被害を軽減できそうです。
終わりに
改造して、自分だけのギターを作っていく経験はクセになりますね。楽器への愛着も増します。
ただ、あれもこれもと取り替えていって、残ったのはボディ材だけ、なんてことになるのも、それはそれで虚しい気がします。
個人的には、手段は手段のまま、目的と入れ替わらない程度に楽しみたいところです。
今回もありがとうございました。
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