知っているようで意外に知らないジャックの話 Vol.1
続・知っているようで意外に知らないジャックの話 Vol.2
ジャックの話、第3弾。
前回までは、こちらのようなオープンタイプのジャックを軸に説明してきましたが、
今回は別のタイプについてのお話。
ギターアンプのインプットジャックを外側から見ていると、フォンジャックにも色々な形があることに気が付きます。

外から見てもこのように様々な形がありますが、内側はそれ以上に多種多様な形状をしています。以前、ギターアンプを修理するお店で働いていた時は、色々な種類のジャックを用意してありましたが、古いアンプに使われていた特殊なジャックはなかなか手に入らず苦労することもあったり、近年の製品の基板に直接取り付けられているタイプのジャックは足(端子)の位置が合わなくて手に入る物を加工して取り付けたりする場合などもありました。
一例をあげると
MONTREUX ( モントルー ) / Cliff mono jack vintage style [857]
このタイプはMarshallの1959などに使用されています。
MONTREUX ( モントルー ) / Cliff stereo jack vintage style [858]
これはそのステレオ仕様のジャック。
MONTREUX ( モントルー ) / Cliff mono jack [859]
これはMarshallではJCM800以降はこのタイプです。(正しくは70年代後半からですが)
MONTREUX ( モントルー ) / Cliff stereo jack [860]
そのステレオ仕様。
とこれだけでもすでに4種類あります。上記は全て足が輪っかになっており配線を通してはんだ付けできるようになっています。
現時点での取り扱いはありませんが、これらそれぞれに基板用もあります。
MarshallのJCM800 2203などは発売した後、すぐに基板用に変更になっていますね。
基板用というのは

このような細い足になっています。
サウンドハウスの在庫では、ノイトリックのジャックがありました。
これらいくつかの基板用のジャックを比較してみると……

足の位置がちがーーう!!!!!!!
これは実際大問題で、足の位置が違うと基板に取り付けられたとしてもアンプのシャーシにはどうやっても取り付けることができなかったりします。基本的には同じ形の物を探さなくてはなりません。違う形のジャックに線を這わして取り付けることができる場合もありますが、外から見て並んでいるジャックが一つだけ違ったりすると違和感があるのでそれは最終手段じゃないかと個人的には思います。
似たタイプで
このような形のジャックもありますが、こちらはプラグを挿す穴が少し横にあります。元の基板がクリフのジャックだったら取り付けはできません。ほとんどの場合は基板に合うかどうか、合わせてみないとわからないことが多いです。
このようにパーツ探しは大変なのです……
アンプの修理をする方はこういったパーツを色々持っています。買ってみたけど合わなかったから返品なんてことはできませんので、たまっていきます。「使えないんだから返品させろよ!」と思ってしまう人には、そもそも中をいじるという行為をオススメしません。
と、大変さは置いといて。
このタイプのジャックは裏を返すとこのようになっており、ステレオなら6個も端子があります。

3本の端子はTRSのそれぞれの端子につながります。

もう3本の端子は、ジャックが挿さっていないときにそれぞれつながるようなスイッチになっています。
プラグを挿すと

少し隙間があるのがわかりますか?このようにプラグが挿さるとOFFになる仕組みになっています。
多くのギターアンプのインプットはこういったスイッチつきのジャックになっています。このスイッチをどう使用しているかというと、

このように、基板上でTIP(赤)のスイッチ端子がSleeve(黄)とつながっています。この効果により、インプットジャックからシールドを抜くとショートして音がミュートされるような設計になっています。
もし、このようになっていなかったらヴォリュームを上げた状態でジャックからプラグを抜くとノイズが発生します。
ちなみに『このアンプはノイズが多い!壊れている!』と思ったときはヴォリュームを上げたままプラグを抜いてみてください、その時そのノイズが消えたら、それはあなたのギターやエフェクターやシールドなどの故障やセッティングの問題であることが多いです。
ギターアンプのジャックの抜き差しは「アンプ側のヴォリュームを0にしてから!!」とよく聞きますが、アンプのジャック側でミュートされるので実はそこは気にしなくても大丈夫です。
ですが、アンプにケーブルをつないだままギターに挿しているジャックを抜くのはNGです。初心者のうちは混同してしまうかもしれないのでスタジオなどの張り紙ではとにかく0にしてから!!としておいた方がいいかもしれないですね。