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蠱惑の楽器たち 75. 電子音源の仕組み15 ゲーム音源2

2023-10-31

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音楽全般

1980年代半~ FM音源の出現

ヤマハがFM音源チップを提供することで、FM音源はアーケードゲームやPCゲームに採用されます。主に矩形波でやり繰りするPSG音源と比較して、圧倒的な音色バリエーションで楽器らしい音も扱えるようになり、音楽的な自由度が格段に上がりました。

1984年 NEC PC-6001mkIISR / PC8801mkIISR

YM2203(FM音源+ SSG(PSG相当))FM音源部は4オペレータで同時発音数3音でした。パソコンだけでなくアーケードゲーム等にも採用されたチップです。

PC-6001mkIISR, CC BY-SA 4.0 (Wikipediaより引用)
YM2203, Public domain (Wikipediaより引用)

1987年 アーケードゲーム カプコン ストリートファイター等

YM2151 FM音源 4オペレータ、ステレオ同時発音数8音です。MSX用のFM音源でしたが、この時代の多くのアーケードゲームに使われました。

Streetfighter, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
YM2151, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1987年 シャープ X68000

シャープのXシリーズの流れを汲むパソコンで、当時としてはとても高性能でした。ゲーマーの家には、このパソコンがありました。音源は上と同じYM2151が使われています。

X68000, Public domain (Wikipediaより引用)
YM2151, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1988年 セガ メガドライブ

セガのビデオゲーム機は複数音源てんこ盛りです。FM音源(YM2612)、PSG音源(DCSG音源(SN76489))、PCM音源+ノイズという構成です。また1994年発売のセガサターンにもFM音源は搭載され続けました。

Sega-Mega-Drive, Public domain (Wikipediaより引用)
YM2612, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

携帯型ゲーム

1989年 任天堂ゲームボーイ

基本的に矩形波を中心としたPSG系の音ですが、コンパクトなこともあってチップチューンでよく使われます。

Nintendo Game Boy, Public domain (Wikipediaより引用)
DMG, CC BY-SA 4.0 (Wikipediaより引用)

チップはシャープ製LR35902です。矩形波2ch+波形メモリ音源1ch+ノイズ1chで、イヤホンを使うことでステレオ再生ができました。波形メモリは、任意の1周期分の波形を読み込んで鳴らすことができます。「ポケットモンスター ピカチュウ」で、ピカチューと言うところがありますが、波形メモリを利用して短いPCM音声を強引に再生しています。ゲームボーイもピカチュウも所有しているので、改めて今鳴らしてみると、かなりノイジーですね。当時はピカチュウがしゃべるということで話題になったと思います。

1990年代 MIDIを利用するゲーム

MIDI規格のGM音源の活用がゲーム業界で始まります。これによってFM音源でも実現できなかったオーケストラのようなアコースティックなアンサンブルも可能になりました。

1987年 Roland MT-32 LA音源+PCM音源

GM規格以前の音源で、GM音源の規格はこれがベースになっています。音源自体はLA音源とPCM音源のハイブリッド音源です。音源の仕様も基本的にはGM音源に酷似しています。同時発音数32音、8パート+リズム、128音色、30リズムサウンド。

MT 32, Public domain (Wikipediaより引用)

1991年 GM音源 PCM音源

幅広く使われたGM音源ですが、初期PCゲーム用音源としては別途用意する必要があったため、コスパ的に導入ハードルが高かったと思います。

Roland SoundCanvas,カタログより抜粋
Roland SCC, CC0 (Wikipediaより引用)

1994年 SoundBlaster AWE32 E-MU Systems音源 ウェーブテーブル soundfont

サウンドカードに内蔵されたGM音源です。GM音源もすぐに廉価な方向へ向かいます。そしてソフトウェア化されていきます。

Creative Sound Blaster, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1990年代 順次PCM化

1990年代は家庭用ビデオゲーム機の戦国時代です。基本的にはチップ音源とデータ再生のハイブリッドという流れになりますが、徐々にチップ音源が不要な方向へ進みます。またCD-ROMの登場も大きく影響します。

1990年 スーパーファミコン SONY SPC700(S-DSP)

CPU内蔵ではなく、ソニー製音源チップが独立しています。スペックはPCM音源でサンプリング周波数32kHz、16bitステレオ同時発音8音でした。波形はチップ内蔵でBRR圧縮されています。また任意のサンプルを書き込んで使うことも可能となっています。RAMは64KBあるため、読み込めるデータ量が大きいのが特長です。またリバーブ、ディレイなどのエフェクトも搭載されていました。解像度は落ちますが楽器用PCM音源に迫るサウンドになりました。

Nintendo-Super-Famicom, Public domain (Wikipediaより引用)
S-DSP A, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1994年 セガサターン FM、PSG、PCM

音源祭りのセガです。ヤマハ製 SCSP 315-5687(YMF292-F)を搭載し、16ビットPCM音源 32ch、FM音源 8ch、オーディオDPCが可能でした。

Sega-Saturn, Public domain (Wikipediaより引用)
315-5687, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1994年 PlayStation SPC

任天堂に振り回されたソニーは独自ゲームプラットフォームの開発に踏み切ります。SPU スーパーファミコンのSPC700の改良版です。サンプリング周波数 44.1kHz 同時発音24音 音色や音程をプログラム上のデータとして記録して、それを効果音などと同じ方法で再生する内蔵音源 CDからのストリーミング再生もはじまります。

PlayStation, Public domain (Wikipediaより引用)
CXD2938Q, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1998年 セガ ドリームキャスト

セガは毎回サウンドに力が入っています。ヤマハの最新GM音源拡張版のXG音源を搭載しています。YAMAHA製32bitRISCプロセッサ(ARM7 AICA 45 MHz)でPCM音源+ADPCMが再生可能でした。

Dreamcast, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
Super Intelligent Sound Processor, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)

1999年 バンダイ ワンダースワン

枯れた電子部品で本体価格4,800円を実現しました。デジタル音源4ch・ステレオで、波形メモリ音源、1chをPCM音源として利用できました。

WonderSwan, CC0 (Wikipediaより引用)
WonderSwan, Public domain (Wikipediaより引用)

2000年 PlayStation2

ソニーの技術力を見せつけてきます。特にグラフィックは圧倒的でしたが、サウンドも頑張っていました。SPU2 + ソフト音源 (WebSynth) サンプリング周波数は44.1、48kHzで、同時発音数48音でした。

PlayStation-2, Public domain (Wikipediaより引用)
Motherboard, Public domain (Wikipediaより引用)

2000年代 最後の音源内蔵ゲーム機?

2000年代は、メジャーなゲーム機は専用音源を廃止しソフトウェア化されていきます。

2001年 ゲームボーイアドバンス(SP)

互換性という意味で音源が内蔵されました。CPUはARM7TDMIとカスタムZ80のデュアル構成で互換性を保っていました。音は従来のPSG系に加えてPCMを扱えるようになります。

Game-Boy-Advance, CC BY-SA 4.0 DEED (Wikipediaより引用)

メジャーゲーム機では、ゲームボーイアドバンスがハード音源搭載の最後のゲーム機と思われます。これ以降、音源チップは不要な時代となり、PCM再生へと切り替わっていきます。

こうしてみると、楽器とリンクしている音源はFM音源とGM音源ぐらいで、それ以外はゲーム用に特化したPSGから派生した簡易的な音源が多いようです。楽器とかぶらないPSG音源系の個性は際立っていて、この音を聞くとゲームしか連想できません。解像度が低いノイジーな矩形波は楽器音色としては好まれませんでしたが、ゲームの世界ではコスパの良さから長く使われて定着しました。2000年以降はゲームもソフトウェア化してPSGは使われなくなりますが、レトロな音ということからチップチューンとして音楽分野で復活します。改めて音の価値はスペックではなく、何を背負っているかだと思いました。

現在の電子ゲームは基本的に音声データを再生します。またPCと同じようにハードウェアスペックが上がったため、多くのことはソフトウェアで実現でき、ゲーム内部にシンセサイザーを持つことも可能となっています。一度は消えたPSG音源、FM音源、GM音源ですが、今後エミュレートされ、ソフトウェア音源として復活するかもしれません。

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あちゃぴー

楽器メーカーで楽器開発していました。楽器は不思議な道具で、人間が生きていく上で、必要不可欠でもないのに、いつの時代も、たいへんな魅力を放っています。音楽そのものが、実用性という意味では摩訶不思議な立ち位置ですが、その音楽を奏でる楽器も、道具としては一風変わった存在なのです。そんな掴み所のない楽器について、作り手視点で、あれこれ書いていきたいと思います。
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