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世界から見た東京の音 millennium parade

2023-02-09

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音楽全般

はじめに

こんにちは。
以前、こちらの記事にて、気鋭の4人組バンド King Gnuについて、思う存分語らせていただきました。
圧倒的なセンスで数々の名曲を生み出し、ファンの心を鷲掴みにしてきた彼ら。その中心人物である鬼才・常田大希が主宰するもう一つのプロジェクトが、millennium paradeです。
今回の記事では、そんなmillennium paradeの魅力について、たっぷりと語っていきます。知らない人も、知ってる人も、はたまた既に大ファンの人も、ぜひ読んでいただきたいと思います。

millennium paradeとは

millennium parade、通称ミレパは、King Gnuの常田大希が率いる音楽プロジェクトです。邦楽をやることを目的として立ち上げたKing Gnuとは別に、世界から見た東京の音を表現するというコンセプトを持っています。
結成されたのは2019年ですが、それ以前にもDaiki Tsuneta Millennium Parade(DTMP)名義でいくつかの作品を発表しています。DTMP時代のアルバム『http://』は、プレミアが付き、一部では5万円以上の値段で販売されています。
ミレパはメンバーを固定しないプロジェクトですが、多くの曲に共通して参加するメンバーは存在します。以下では、そんな6人のメンバーを紹介します。

常田大希(King Gnu)

グループの要、全作品の作曲および、日本語詞の作詞を担当するリーダーです。ギタリストというよりは、プロデューサーに近いような形で楽曲に携わっています。

新井和輝(King Gnu)

King Gnuのメンバーでもあるベーシストです。エレキベースのみならず、ウッドベースやシンセベースも操り、楽曲の低音を魅力的に彩っています。
時にはもうひとりのベーシスト、佐々木集(PERIMETRON)とともに、ツインベース体制で演奏を行うこともあります。

勢喜遊(King Gnu)

同じく、King Gnuから参加のドラマーです。ツインドラム体制のミレパでは、手数を減らした踊れるビートを任されています。
かと思えば、ビートのプログラミングを担当することもあり、様々なアプローチで、楽曲のリズムを支えているといえます。

石若駿

ミレパのもうひとりのドラマーです。常田氏と同じく東京藝術大学の出身で、いま日本で最も売れていると言われるジャズドラマーです。
King Gnuの前身バンド、Srv.Vinciのメンバーであり、近年では米津玄師の楽曲でも活躍し、更にはアニメ「坂道のアポロン」「BLUE GIANT」では劇中のドラム演奏を担当するなど、活躍の場を拡げています。
ミレパでは、ビッグビートを奏でる勢喜氏に対して細かいグルーヴを任されているほか、シンセベースを演奏することもあり、ドラマーとしてだけでなく、リズム隊を総合的に演出できるプレイヤーであることが窺えます。

江崎文武(WONK)

こちらも東京藝術大学出身の鍵盤奏者で、ミレパの全楽曲でピアノ、シンセ、オルガンなどを演奏しています。
ソウル・バンド WONKのメンバーであるほか、映画音楽を制作したり、King Gnuにおいても多数楽曲のレコーディングに参加しています。なお、WONKではアートワークも担当しています。
東京大学大学院の修士課程を卒業しており、子どもの音楽教育に携わってきたという経歴も持っている、多方面から音楽に関わる人物です。

ermhoi(Black Boboi)

ミレパの複数楽曲でボーカル、英語詞の作詞を担当しています。
自身もトラックメイカーとして活躍する傍ら、他アーティストの作品でボーカル、コーラスのサポート、楽曲提供を行っています。
過去にはKing Gnu(Srv.Vinci)の楽曲「サマーレイン・ダイバー」でコーラスを担当したこともあります。

おすすめの作品

楽曲の素晴らしさもさることながら、PERIMETRON(常田氏が主宰するクリエイティブチーム)が作るMVについても、無視できない圧倒的な魅力があります。
音楽と映像を合わせた総合芸術として、おすすめの作品を3つご紹介します。

Fly With Me

アニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌であるのとともに、ミレパ自身のテーマソングとしての立ち位置も持つ楽曲です。
フルCGで制作された本MVは、短編映画としても申し分ない作品です。特に終盤のアクションシーンは見どころで、音楽と映像のどちらがメインなのか分からなくなってしまいそうです。
PERIMETRONは、多大な時間と予算をかけ、世界を変えるという意気込みのもと、この作品を完成させました。
そんな背景からか、楽曲中の<Money make the world go around(金が世界を回す)>という歌詞は、単なる社会風刺ではなく「ここから変えていくぞ」という熱い決意表明であるように受け取れます。
余談ですが、MV中のキャラクターの動きにはモーションキャプチャーが活用されており、演じているのはボーカリスト本人なのだそう。アーティストとの一体感もありつつ、ただのプロモーションで終わっていないところが、このMVの魅力になっています。

Philip

Srv.Vinci時代の楽曲「Stem」をリメイクした楽曲です。「Stem」から引き続き、俳優の中野裕太氏が作詞・ラップで参加しています。
MVの制作は、King Gnu「prayer x」でもおなじみの山田遼志氏です。アニメーションの中では、ドーベルマンのStanを主人公とした、切ない物語が展開されています。
中野氏の語りかけるようなラップに、MVのストーリーも相まって、シリアスな作品に仕上がっています。
楽曲中では、拳銃に弾を装填する音や、犬の鳴き声などの音が、非常に効果的に使われています。これらの音と、歌詞や映像がリンクすることで、作品の世界観に入り込んでいけるのです。
ちなみにその犬の声は、中野氏本人によるものだとインタビューで明かされています。

FAMILIA

映画『ヤクザと家族 The Family』の主題歌として制作された楽曲です。常田氏が「これを超える曲を書ける自信がない」と話すなど、並々ならぬ想いのこもった一曲であるようです。
ゲストボーカルとして井口理(King Gnu)が参加しています。ミレパにおいては珍しい日本語詞を、常田氏とともに堂々と歌い上げています。
何と言ってもその歌詞がすごい!〈愛を知ってしまった その代償は計り知れないね〉という言葉の重みに、心が揺さぶられます。King Gnu「Slumberland」の〈中身が空っぽの強み〉〈来た道振り返り生まれる弱み〉という表現にも通ずるものがあるかもしれません。
MVには、映画の主演俳優である綾野剛をはじめとして、多数の豪華メンバーが出演しています。映画のシーンの継ぎ接ぎではなく、この作品のために『ヤクザと家族』の藤井監督が自ら撮影したとのこと。
井口氏の参加によって、King Gnuとの境界を曖昧にした一曲でありながら、それでもミレパにしかできない表現にあふれた名曲です。

おわりに

長い記事でしたが、millennium paradeの魅力について知っていただけましたか?
今回ご紹介した3曲を始めとして、たくさんの楽曲を聴いていただけたら嬉しいです。
今回もありがとうございました。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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oct

作曲家・編曲家。自身のプロジェクトにおける曲作りの傍ら、提供曲の制作も経験し、現在に至る。
Twitter https://twitter.com/ComposerNoir
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