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脱力について考える【ギタリストは知っておきたいカラダのこと】

2022-12-03

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音楽全般

「ギタリスト専門整体師」ことフジオカタクトと申します。いつもお疲れ様です!

さて今日はタイトルの通り、“脱力”について考えていきたいと思います。

ギターに限らず、楽器を弾いているとよく耳にする“脱力”という言葉。「力を抜いて弾いてみよう」とか「リラックスして~!」と一言でいうのは簡単ですが、いざ意識してみるとどうでしょう。どうやって力を抜けばいいかわからないし、リラックスしているつもりでもどこかぎこちなかったりと。このように悩んだ経験がある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?案外“脱力”というのは難しいことなのです。

プロの方々の演奏を見ていると、とても自然体で余計な力が全く入っていないように見えますよね。しかし脱力しようとしてもなかなかうまくできない。考えすぎて余計に体がガチガチに緊張してしまう方もいます。

まずは“脱力”とは何なのか?またどういう状態が楽器を演奏する上で好ましく“脱力”できているのか、そして“脱力”を演奏に取り入れるにはどうすれば良いのかを考えていきます。 よろしくお願いします!

その1:そもそも“脱力”ってなに?

さっきから脱力脱力…と言っておりますが、ではどのような状態のことを“脱力できている”というのでしょうか。まずはそこから考えてみましょう。
広辞苑を引いてみると、【脱力】– 体の力がぬけること。– とあります。そのままですね。(笑)
楽器を弾いていて体の力が抜けてしまうと演奏どころではありません。となると、一般的に使われる“脱力”という言葉の意味と、演奏時のそれとは意味合いが違うということになりますね。ここを勘違いしてしまうと、脱力=ダラ~ンとしただらしない姿勢となって、体が重たくなったように感じてしまうことにつながります。ただ単に力を抜けば良いというわけではありません。
ギターの右手で例えてみると、力を抜きすぎてしまうとストロークや指弾きでの音量が揃わなかったり、弾いているとピックがずれてしまったりします。

楽器を演奏する上での“脱力”とは“筋肉を無駄な緊張から解放すること”と言い換えられると思います。難しい表現になってしまっているかもしれませんが、「解き放つ」というイメージが僕の中では一番ピンときています。

その2:どういう状態が脱力できている?

自分が脱力できているかどうか、まずはチェックしてみましょう!
やり方はめちゃめちゃ簡単。6弦から順番に1弦ずつピッキングしていきます。基礎練みたいですね。ピックは下の弦に当てて止めましょう。

この時、下の弦も同時に弾いてしまう場合や弦がビビってしまう程力が入っている場合は必要以上に緊張していると言えます。
逆にピックがずれてしまったり、下の弦に当たる前にピックが止まってしまったり、弾いた弦の音量にばらつきがある場合は脱力を通り越して必要な力が入っていない状態です。

脱力をピッキングで活かすには『手の重みを利用する』ことが重要なのです。
肘から先の重みをピックに乗せて、その重みを弦に委ねるように下向きに下ろしていくイメージです。うまく重みを利用できれば6弦から1弦まで音量差はなく、安定したピッキングができます。
これが自然にできる状態こそが「緊張から解放された状態」、つまり「脱力」できている状態です。この時ピッキングだけでなく、全身の力がうまく抜けているはずです。

「筋肉を無駄な緊張から解放すること」を目指すには常に全身の状態に意識を向け、感覚を研ぎ澄ましていく必要があります。
難しく感じるかもしれませんが、例えばバランスボールに乗っていると思って想像してみてください。最初は不安定で、なかなかバランスが取れず、無駄に手足を動かしたり力技でバランスを取ろうとしてしまいます。どこか1箇所でも無駄な力が入っていると不安定になり、バランスが崩れてしまいます。
しかし力を抜いた方が安定することに気がつき、頭のてっぺんから足の先までを少しづつコントロールして、筋肉を無駄な緊張から解放することができると徐々にバランスが取れて、最後には簡単に座っていられるようになります。
楽器の演奏でも全く同じことが言えます。つまり「脱力=バランスが取れている状態」となりますね!!

その3:“脱力”を演奏に取り入れるにはどうすれば良いの?

言葉にすると難しいことのように感じてしまいますが、単にイメージをするだけでも構いません。まずは目を閉じて自分の体を頭の中で思い出してください。頭があって、次は首。その下には体幹が繋がっていて、肩から指先へ。そして骨盤があって、お股から足がついていて、爪先まで繋がっている。ひとつひとつのパーツの位置や形を正確にイメージしてみます。こうして体全体に意識を向けるだけでも力が抜けてきます。
これを演奏にも応用してみましょう。演奏中に体がどうなっているのか、自分自身でよーく観察してみてください。鏡を見ながら演奏してみると客観的に自分の姿が見えるのでおすすめです。そうしてみていくと、自分の体の癖に気がつく事ができると思います。
バランスボールの例えを思い出してください。人は体を安定させようとすると必ずどこかに力が入ります。演奏中に必要以上に力が入ってしまう方は、バランスボールに座って、頑張って力を入れてバランスを取ろうとしている状態と同じなのです!つまり、「バランスが取れていない状態」なのです。なぜ自分の体は不安定な状態になってしまっているのか?その原因に気がつくことができれば、あなたはもう脱力できていると言っても過言ではありません!
まぁあまり頭でっかちになっても余計に力が抜けなくなってしまうので、難しい話はこれくらいにしましょう!!(笑)
頭で考えるよりも五感や深部感覚(目を閉じていても手の位置がわかったりする感覚)を大切にしてみてください。あなたの体のことはあなたが1番よく知っているはずですので( ^ω^ )

最後に適度な脱力を実感できる体操をご紹介したいと思います。
椅子に座った状態で行います。
そして「股関節」を動かすような意識を持って体を前後左右・斜め方向に動かしてみましょう。ゆっくり四方八方に動かしていると、ふと体が軽く感じる瞬間があると思います。その時に、その姿勢をキープしてみましょう。楽に姿勢を保てると思います。

股関節(足の付け根・赤丸のあたり)から体を傾けるイメージでゆっくり動いてみてください。

左前へ動かしています。

右後ろへ動かしています。

ゆっくり呼吸をしながらリラックスして行うと脱力を感じやすいです。

これが“筋肉を無駄な緊張から解放すること”です!この感覚が感じられると不要な力が入っていると自分で気が付けるようになり、徐々に脱力をコントロールできるようになってきます。ぜひ日頃から脱力を感じて生活してみてください。

いかがでしたでしょうか!
今回の内容が少しでも参考になれば幸いです。
それではまたー!


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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フジオカタクト

2018年より関西を中心に活動中。 BABY BABYというアコースティックユニットでギターを弾きながら作業療法士というリハビリの仕事をしています。 リハビリで学んだボディマッピングの視点から、ギタリストなら知っていて損はないカラダのことをテーマに執筆していきます。 思ったように体が動かなくてギターが弾けない!という方は必見です! また音楽活動を通じて感じたことや愛する機材についても時々発信していきます。
website https://babybaby1992kobe.wixsite.com/babybaby
twitter https://twitter.com/tak__tyy
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