
安価なDAWソフトやプラグインの普及とパソコンのスペック向上により、DTMは多くの人に身近なものになりました。
ちょっと頑張ればアマチュアでもプロが使うソフトが簡単に手に入ります。
ならばプロと同等かそれに近い音質の音源も作れるようになりたい!と考えるようになるわけですよね。
プロと同等の音質を作るにあたって避けては通れないのがマイクプリの存在です。
マイクプリは一般的なオーディオインターフェイスに組み込まれているものなので、わざわざ別で購入する人は少ないですが、今回はその必要性について書いていきます。
■ そもそもマイクプリってなに?
マイク用のプリアンプのことで、ギターやベースにプリアンプを使うのと同様にマイクを通した音にもプリアンプをかませなければなりません。
自宅でレコーディングを行う人のほとんどはオーディオインターフェイスの中に入っているマイクプリを使用します。
オーディオインターフェイスにマイクプリが組み込まれていることすら意識せずに使っている人もいるくらい入っていて当たり前のものですし、よほど高音質に録音しようとする人以外は別でマイクプリを買うことはありません。
プロはこういったマイクプリではなく、マイクプリ単体で使用しています。
それならマイクプリを買ってプロクオリティの録音をしようと考えた人もいるかもしれませんが、価格もそれなりです。
プリアンプだけで50万円以上は必要になりますし、ビンテージものだと何百万~何千万円のプリアンプもあるそうです。
アマチュアミュージシャンが買うものとして現実的ではありませんね。
■ オーディオインターフェイスに搭載しているプリアンプ
サウンドハウスの評価数などから予想すると、アマチュアミュージシャンがよく使うオーディオインターフェイスで売れ筋の価格帯は1万円から2万円くらいのものと思われます。
著者もPresonusのStudio24cという2万円弱の商品を使用しています。
PRESONUS ( プレソナス ) / Studio 24c オーディオインターフェイス
マイクプリで選んだわけではなくバンドルされていたStudio one Artistが目当てでした。
それがなければ1万円程度のものを購入していたでしょう。
この価格帯のオーディオインターフェイスに搭載されているマイクプリは大きな差がつきづらいからです。
PCに標準で付いているDACや、車に最初からついているスピーカーを想像してもらうとわかりやすいと思います。
あれらは【とりあえず音がでればいい】という目的のものなので、【イイ音が欲しい】という期待に答えるためのものではありません。
低価格なオーディオインターフェイス付属マイクプリも【とりあえず音が増幅されればOK】という程度に考えてもらうのもいいかもしれません。
※メーカー側でマイクプリの音質にこだわっているモデルもあります。
■ アマチュアミュージシャンにおすすめするマイクプリ
売れ筋価格帯のオーディオインターフェイスについているマイクプリは少々頼りない。
しかし、プロ仕様のものは50万円オーバー。
となればその中間の価格帯を狙っていくのがアマチュアミュージシャンの選択肢として無難なところです。
APOGEE ( アポジー ) / Symphony Desktop
多くのレコーディングスタジオでも導入されているAPOGEEのフラッグシップモデルSymphony I/O MKⅡをデスクトップ型にし、手が届きやすい価格に抑えたのがこの商品です。
厳密に言えば全く同じ音ではないものの、安いオーディオインターフェイスと比べたら差は歴然です。
マイクプリはアナログ回路とDSP処理を組み合わせたもので、NAVE1066とAmpex601というヴィンテージプリアンプのエミュレーションも使用できます。
また、ゼロレイテンシーや最大75db対応などプリアンプ以外でも低価格帯商品との差別化がしっかりされています。
自宅や自宅に作られた簡易スタジオで使うぶんにはこれ以上のものは必要ないのではないかと個人的には思っています。
FOCUSRITE / ISA One /DI
Symphony Desktopよりも価格はグッと抑えられて5万円程です。
オーディオインターフェイスではないので、お手持ちのオーディオインターフェイスと合わせて使う商品です。
オーディオインターフェイスにマイクプリのON/OFFがあればOFFにし、ないようであればGAINをさげるのを忘れないでください。
マイクプリの中でも人気商品で、この価格くらいの商品から誰の耳でもあきらかに音が変わることに気付きます。
著者が初めて使ったマイクプリでもあるのですが、その違いに驚きました。
マイクプリなしのものと比べると、ボーカルはマイクを変えて録音したんじゃないかと思うほどでした。
逆に言えばISA Oneを通すだけで安物マイクでもある程度なんとかなります。
■ 高価格オーディオインターフェイス・マイクプリの必要性
録音するという目的を達成するには数千円のオーディオインターフェイスから可能でありながら、数百万円のマイクプリを選択する人もいるわけです。
高くなれば音質は上がっていきますが、コストと自分に必要な音質のバランスを考える必要があります。
ブログ的な意味合いでYouTubeに弾いてみた動画を記録しておきたいだけなら数千円のオーディオインターフェイスでもじゅうぶんです。
趣味のバンドが何年かに一度行うレコーディングでも同じことです。
アマチュアだけどオリジナル曲をサブスクなどで配信したい、プロを目指しているという人は先程紹介したワンランク上の機材などを使用して音質にこだわる必要が出てきます。
では50万円以上になってくるとどうでしょう?
裕福で趣味の音楽にお金をたくさんかけられる人は購入したらいいと思います。
ですが、ほとんどの人は50万円を使うなら新しい楽器に使いたくないですか?
また、その値段のマイクプリを使うならマイクや防音設備にもお金をかけなければ最大限に性能を発揮できません。
20万円のマイクを買って、30万円かけて部屋の防音をして、ケーブルもいいものに変えて、ノイズ除去ソフトにメロダインの最上位グレードも買って…
なんてことをしていたらとんでもない金額になってしまいます。
まずは5~15万円程度の価格帯でマイクプリの導入、もしくはオーディオインターフェイスの強化を行ってみてはいかがでしょうか?
それだけでも録音された音にはかなりの差が生まれます。
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