サウンドハウスで多数取り扱いのある、音楽制作向けの「オーディオインターフェイス」。 DAWソフトと組み合わせて、音声の録音/再生に欠かせない機材です。しかしある時、「配信用途だとどのように機能するのか」とふと頭をよぎりました。 今回そんな疑問に答えを出すべく、スマートフォンを中心に話題の配信サービスを1つずつ検証してみました!
検証に使用するオーディオインターフェイスは、手頃な価格でハイクオリティな音楽制作を実現する『Focusrite / Scarlett 4i4』と、FocusriteクオリティでiPhone・iPad向けにデザインされた『Focusrite / iTrack Solo』です。
FOCUSRITE / Scarlett 4i4 (gen. 3) USBオーディオインターフェイス
FOCUSRITE / iTrack Solo オーディオインターフェイス
【検証環境】
◼ スマートフォン:iPhone XR / iOS 13.5.1
◼ オーディオインターフェイス:Focusrite / Scarlett 4i4、Focusrite / iTrack Solo
[入力]
Ch.1:コンデンサーマイク audio technica / AT4050
Ch.2:エレキギター Fender / Stratocaster(シールド直結)
Ch.3-4:オーディオプレイヤーからの音声をステレオで入力(Scarlett 4i4のみ)
- iTrack Soloは付属のLightningケーブルでiPhoneと接続
- Scarlett 4i4とiPhoneは、Apple純正品のUSB-Lightning 3 カメラアダプタを使用して接続
- Scarlett 4i4とiPhoneを接続するには給電が必要となるため、セルフパワーのUSBハブを経由して接続(画像参照)
それでは早速検証結果を見ていきましょう!
※あくまで記事執筆時点、上記環境での検証となります。スマートフォンの機種やOSバージョン、アプリのバージョンアップなどで動作状況が変わることがあるため、導入にあたってはくれぐれも自己責任でご判断ください。また、各機種やバージョンなど最新の対応状況につきましては各メーカー窓口にてご確認ください。
[ライブ配信アプリ]、[通話・WEB会議アプリ]、[動画・音楽アプリ]と3つのカテゴリーに分けて検証しました。
系統 | サービス | オーディオ I/O | 結果 | 詳細 |
ラ イ ブ 配 信 |
17LIVE | iTrack Solo | ◯ | モノラルだが両チャンネルで入力可能 |
Scarlett 4i4 | △ | 1,2chはモノラルで入力されるが、3,4chは入力されない | ||
Poco-cha | iTrack Solo | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に振られて入力 | |
Scarlett 4i4 | × | 1,2chはPANが左右に振られて入力 3,4chは入力されない | ||
ツイキャス | iTrack Solo | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に振られて入力 | |
Scarlett 4i4 | × | 1,2chはモノラルで入力されるが、3,4chは入力されない | ||
iTrack Solo | ◯ | モノラルだが両チャンネルで入力可能 | ||
Scarlett 4i4 | △ | 1,2chはモノラルで入力されるが、3,4chは入力されない | ||
LINE LIVE | iTrack Solo | △ | 1chは入力されるが2chは入力されない | |
Scarlett 4i4 | △ | 1chは入力されるが、2,3,4chは入力されない | ||
You Tube Live | iTrack Solo | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 | |
Scarlett 4i4 | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 3,4chは入力されない |
||
通 話 ・ W E B 会 議 |
Zoom | iTrack Solo | △ | 1chは入力されるが2chは入力されない |
Scarlett 4i4 | △ | 1chは入力されるが、2,3,4chは入力されない | ||
Skype | iTrack Solo | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | |
Scarlett 4i4 | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | ||
FaceTime | iTrack Solo | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | |
Scarlett 4i4 | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | ||
Google Duo | iTrack Solo | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | |
Scarlett 4i4 | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | ||
Line通話 | iTrack Solo | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | |
Scarlett 4i4 | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | ||
iOS通話 | iTrack Solo | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | |
Scarlett 4i4 | × | 通常の通話になってしまうため使用不可 | ||
動 画 ・ 音 楽 |
iOSビデオアプリ | iTrack Solo | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 |
Scarlett 4i4 | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 | ||
Tiktok | iTrack Solo | △ | 1chは入力されるが2chは入力されない | |
Scarlett 4i4 | △ | 1chは入力されるが、2,3,4chは入力されない | ||
Nana | iTrack Solo | △ | 1chは入力されるが2chは入力されない | |
Scarlett 4i4 | × | 1chのみ入力されるがPANが左に振られる | ||
Acappela | iTrack Solo | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 | |
Scarlett 4i4 | × | 1chが左、2chが右とPANが完全に分かれて入力 3,4chは入力されない |
検証の結果、iPhoneではアプリの仕様に大きく左右されることがわかりました!
まとめると下記のようになります。
- モノラル仕様のアプリは問題なく1-2chチャンネル入力することができました!ただしZoomやLINE LIVEなどのアプリは1chしか入力されないものもありました。また、Scarlett 4i4のように4ch以上の入力を備えた機器であっても、iPhoneアプリでは全て3,4chは使えませんでした。
- ステレオ仕様のアプリだと1chのマイクの音は完全に左に振られ、2chのギターの音は完全に右に振られて入力となりました。
- [通話・WEB会議系のアプリ]ではZoom以外はすべて使用できないという結果になりました。端末側の通話機能が優先されるようで、オーディオインターフェイスからは入力、出力どちらも機能しませんでした。
- 録音時には、アプリ側で入力音をモニターできない場合が多いため、ダイレクトモニター機能をオンにする必要があります。(ほとんどのオーディオインターフェイスには付いている機能です)
続いて、リスト中のアプリで、PCもメインとするサービス、You Tube Live、Zoom、Skypeについては、PCでも検証してみました。
【検証環境】
◼ PC:Mac Book Pro(Mid 2017)/ Mac OS 10.14
◼ オーディオインターフェイス:Focusrite / Scarlett 4i4
PC | You Tube Live | Scarlett 4i4 | △ | 1,2chは入力されるが、3,4chは入力されない |
Zoom | Scarlett 4i4 | 〇 | 1-4chまでモノラルで入力される | |
Skype | Scarlett 4i4 | △ | 1chは入力されるが、2,3,4chは入力されない |
PC側もスマートフォンでの検証と同様、サービス側の仕様に依存することがわかりました! 興味深いことにスマートフォンアプリとも全く違う結果になっています。
生配信系のサービスだと、エンコーダーを利用することでインターフェイスについてもう少し設定できる場合もあるようです。画面共有やゲーム実況にも便利な機能もあり、使っているサービスによって組み合わせてみるのもいいかもしれません。
今回はこういった結果になりました。アプリ自体のアップデートで仕様が変更になることもしばしばありますし、サービス側も随時変化しています。そのため上記の結果はあくまで参考程度に捉えていただければと思います。試行錯誤しながらベストな配信環境を整えていきましょう!!