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間違えやすいミキサーの仕様

2024-05-08

テーマ:実録 ! サービスマン日記, PA, Tips&お役立ち

今回はミキサーについて、よくある問い合せや間違った使い方について説明していきます。

ヘッドホンアウトのバランスが悪い

ほぼ全てのミキサーにはヘッドホンアウトが付いています。

このようにPHONESと印字されていることが多いです。
ヘッドホンアウトの出力はステレオなのでTRSのプラグを挿しこみ、そしてヘッドホンアウトのボリュームを上げれば音は出ます。

しかし、ここで左右の音量差が酷いといった問い合わせを受けることが時折あります。
どのような状況で起こるか確認してみると、ほとんどがボリュームを上げ始めるタイミングで起こるとのこと。

おそらくこのあたりで音量差が出ていると思われます。

じつはこの音量差……仕様です。
これはボリュームのつまみに原因があります。そもそもボリュームって何なのかを説明すると「可変抵抗器」というパーツが使われています。その名のとおり抵抗を変えられるパーツで、抵抗値の大きさで信号をコントロールしているのです。
ひとつのつまみで左右ふたつの音量をコントロールするには可変抵抗器が2個必要になりますが、このステレオ出力に使われている可変抵抗器はひとつの軸にふたつの抵抗部が付いています。2連ボリュームや2連可変抵抗器などと呼ばれています。
この2連ボリュームの構造上、回し初めに抵抗値の差が出やすくなっています。そのため音量差が発生することがありますが、仕様との回答をさせていただいております。

同様の問い合わせをヘッドホンアンプやオーディオインターフェイスでもいただくことがありますが、ヘッドホンアウトと2連ボリュームが付いている機材はどれも起こり得ますので、覚えていただけたら幸いです。

マイク入力とライン入力の違い

このようにミキサーにはMICとLINEの入力端子を備えているものが多いです。小型のミキサーや古いミキサーでは片方しか端子がないものもあります。この端子についてよくある間違いも交えて説明します。

ミキサーにマイクを繋げても音が出ないという問い合わせがありました。どのように接続されているか確認したところ、使用しているマイクはダイナミックマイクでケーブルはXLR-TSのプラグ形状でLINE入力端子に接続していたとのことでした。

まず、マイク入力とライン入力の大きな違いは音量レベルです。マイクから得られる信号の電圧レベルはとても小さいのが特徴です。ラインレベルには-10dBVと+4dBuとふたつの基準があり、簡単に説明すると-10dBVは一般機器用(市販されている音楽プレーヤーなど)で+4dBuはプロの業務用機材として分けられています。
このラインレベルはマイクレベルに比べてかなり大きな信号の電圧レベルになっています。

このレベルの違いを踏まえて問い合わせの内容を考えると、MIC端子に比べてLINE端子には大きな信号が入力されることが想定されている。そのLINE端子に信号レベルの小さいマイクからの信号を入力しても音が出ないように感じてしまう(実際は小さな音はでている)。ということでした。

逆パターンでライン信号をマイク入力に入れて音割れするといった事例もあります。
必要に応じてダイレクトボックスなどを使用しレベルマッチングするといったテクニックを覚えればミキサー活用の幅が広がります。

以上、お読みいただきありがとうございました。

技術サポート / 黒巣 翔太

ESPミュージカルアカデミーでギター・エフェクター・アンプ製作の技術と知識を学び、卒業後はライブハウスでPA・照明を担当。ステージ上の全ての機材をメンテナンスするようになり現在の修理業務のベースが完成。照明のムービングヘッドやフォグマシンをメインに修理を行っていますが、ジャンルにとらわれず修理業務に従事しています。最近はアナログレコードの面白さを覚え、レコード屋を巡っています。

 
 
 
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