世界三大FUZZと言えばFUZZ FACE、BIG MUFF、Tone Benderということは皆さんご存じかと思います。FUZZ FACEとBIG MUFF系のペダルは色々な物が出ていますが、Tone Bender系のFUZZって他と比べて少ない気がしますよね。
考えられる理由はやはりゲルマニウムトランジスタが安定供給されないからだろうと思われ、Tone Bender系ペダルを出しているメーカーはいわゆるブティック系と言われているメーカーが多いです。ゲルマニウムトランジスタ自体はまだ探せば手に入らなくもないですが、性能にばらつきがあり使用できる物を選別する必要もあります。
数年前にBOSSからTB-2Wが3000台限定で発売された際も瞬く間に完売し、現在では10万以上の値段がつくなどレアリティの高いアイテムとなっています(買っておけばよかった~)
そんなTone Bender系FUZZに一石を投じるペダルがWarm Audioから発売された訳です。
WARM AUDIO ( ウォームオーディオ ) / Warm Bender
最初の入荷時に検品など行っており、感触がよいことは知っていたので個人的にも気になっているペダルでした。FUZZ FACEのクローンなどは自分でも作ったりして遊んでいたことはありましたが、Tone Benderってあまり知らないなぁと思っていたところ、エフェクター担当のスタッフから……
『代理店のサウンドハウスとしても動画を作るので、何か弾いてね!!』と急に言われまして、先日その動画が公開されましたので、感想をつらつら書こうかと思います。
まず良いなと思ったのは見た目です。

クラシックな外観ながらサイズはオリジナルのTone Benderより小さくエフェクターボードにも入れやすいですね。
トランジスタ切り替えの各モードを見ていきましょう。
- NOS76
- 歪み量が一番少ないモードです。ギター側のボリューム操作でのゲインコントロールもしやすく動画でもアピールしてみました。FUZZ FACEに近いかな?とも思いましたが、図太い低音とミッドの粗々しさはBender系ならではですね。
- NOS76+SAG
- Warm Benderの特徴としてはこのSAG(サグ)コントロールがついていることですね。電源電圧を下げることで、電池で使用した際に電池の残量が無くなってきた時の独特のコンプレッション、弾いた時の食いつきや音の切れ具合などが変わります。
動画でも粗々しいサウンドになっているのがわかるかと思います。 - NOS75
- 図太く歪み、往年のハードロックを弾きたくなる音です。
Tone Bender MK2と言えばJimmy Pageのイメージです。動画で弾いている曲のリフで本人が使っているFUZZが何なのかはわかりませんが(マニアではないのでよく知らない)、Led Zeppelin のライブ盤などを聴いていると毎回音が違うので使っている時もあるでしょう!!(知らない)程よくスムースさもあり一番扱いやすいかと思います。 - NOS75+SAG
- スムースでありつつギャリッとピッキングへの食いつきもよく個人的には一番好きなモードです。
歪み量のコントロールはGAINとかFUZZとかではなく”ATTACK”です。それを体現するかのように、ただ歪みの量が変わるというだけではなく上げるほど荒い音になっていきます。 - SILICON
- モダンな雰囲気になりますが、あくまでFUZZです。FUZZに近いディストーションではなく、ディストーションに近いFUZZです。Van Halenのリフを弾いていますが初期のVan Halenのいわゆるブラウンサウンドというのはよく聴くとファズっぽいニュアンスがあるんですよね。ブラウンサウンドはフルアップのマーシャル1959の電圧を下げて歪ませており、濁った感じの歪みも合わさることであのサウンドになっています。ブラウンサウンド系のディストーションペダルなどはきれいに歪むペダルが多いですが個人的にはちょっと違うなぁと思っています。
とは言ってもFUZZを使ったら音の傾向は違う訳ですがニュアンスに近い部分を感じて思わず弾いてしまったのでした。 - SILICON+SAG
- SAGモードに一番変化があります。ピッキングに食いつきまくり音はブチブチと切れ、とても“弾きづらい”です。ですが安心してください、壊れてはいませんよ!!
『そうそうFUZZってこうだよね!』と言いたくなる良くも悪くもチープ感のある音、元祖FUZZともいわれるMaestro FZ-1のようなニュアンスもあります。
FUZZというエフェクトペダルの特性上、好き嫌いははっきりしているかと思います。
しっかりとピッキングし気合を入れて弾かなければよいサウンドは出ないのでFUZZ初心者は困惑するかもしれませんが、使いこなせるようになった時にあなたのギターレベルは一皮剝けることでしょう。
またFUZZは古いマーシャルなどにブースターとしてかました際のサウンドも魅力の一つです。単体で歪ますのではなく、オーバードライブペダルと掛け合わすことで他にないサウンドメイキングができることでしょう。
ヘヴィメタル系の人が1番嫌うタイプのFUZZの魅力がWarm Benderにはふんだんにつまっています。
FUZZの魅力に取りつかれたあなたにはぜひ手に取って欲しい、そんな1台です。