
エレクトロハーモニックスの定番リバーブエフェクター、Holy GrailのNANOサイズバージョン。その名もnano Holy Grail -Reverb-。一口にリバーブといっても、様々なスタイルや特色を持ったエフェクターがあります。そんな中、60年代ロックナンバーを演奏する時に使いたいエフェクターとしておすすめしたいのがこのペダルです。

リバーブのスタイルはスイッチの操作により、3種切り替えができるようになっています。ギターアンプに内蔵しているような、アメリカン・クラシカルなスプリングリバーブを再現するSPRING。正直もうこれだけでも最強なのですが、さらに!音色が広がるように伸びていくHALL。ほんのりフランジャーテイストなサウンドのリバーブが楽しめるFLERBは、モンド・ミュージック好きな方にも楽しめそうです。
エレハモのこだわりを感じる、アナログライクなリバーブサウンド。特にサーフミュージック、ソフトロックやガレージの曲を演奏する時、このペダルを踏んだ瞬間、思わず胸が熱くなってしまいます。
それもそのはず。Holy Grailのサウンドは、サーフ・インストの創始者である”キング・オブ・サーフ・ギター”、ディック・デイルでさえもスプリングリバーブと区別が出来なかったというほどです。
そこで、今回のブログではエレハモの傑作エフェクター、nano Holy Grail -Reverb-を使用して、弾いて楽しいサーフミュージック、ホット・ロッドの曲を、ディック・デイルはじめ、いくつかご紹介したいと思います。
選曲に関しましては私の独断と偏見によるものです。ベンチャーズやビーチ・ボーイズなどの名曲に関しては、様々な文献が書籍やブログで見ることができるでしょうから、ここでは割愛いたします。
RAVISH SITARのブログ同様、ほんのりとマニアックな選曲でお贈りいたします。どれも動画サイト等で聴ける曲ばかりです。皆様のサーフミュージックとnano Holy Grail -Reverb-の扉を開くきっかけとなれば幸いです。
今回は、ピュアなサウンドが特徴のシールド、EX PROのFL SERIESと組み合わせてレッツ・サーフ!!
1 :DICK DALE AND HIS DEL-TONES
KING OF THE SURF GUITAR―64年バージョン(1964年)

映画パルプフィクションの「MISIRLOU」でお馴染みのサーフ・ギター・キング、ディック・デイル。代表作「MISIRLOU」や「SURF BEAT」と共に忘れられないサーフ・クラシックです。1963年にリリースされたセカンド・アルバムで聴ける、ややスローなバージョンも人気。今回は少しアップテンポになった、64年のベスト盤収録バージョンで挑戦してみます。ボーカルナンバーのこの曲でも、キングのギターが炸裂。
清涼なコーラスのメロディに、リバーブが効いたギターが照りつけるように襲いかかる、エキサイティングなサーフ・ポップ。Holy Grailをスプリングモードでリバーブを強くしてトライしましたが、かなりの難易度です。キングは歌モノで弾いてもキングですね。
2 :THE CONTINENTAL CO-ETS / MELODY OF JUNK(1964年)

お次は一転して、初心者の私でも弾きやすい、裏定番なサーフ・インストを。チョイワル風(?)
ミネソタ州ガールズバンドのシングルB面曲。がむしゃらなリードギター、ちょっぴり前のめりになるリズム隊。正にウーマンパワー全開のスケ番サーフ・ガレージでございます。サーフなのにチャイナ風なイントロというのも挑発的でロックです。「メリーさんの羊」のメロディにヤキ入れされた展開部分も実にヤンキーチック。ガールズ・ガレージの定番コンピレーションアルバム「GIRLS IN GARAGE」にも収録されています。
3 :THE A-JAKCS / KNIGHT RIDE(1964年)

60年代のR&Rインスト・コンボ、Routersのヒット曲「LET’S GO」の作者、ラニー&ロバート・ダンカンによる、実にクールなガレージ・ダンス・キラー。パーカッションがカッコよく鳴り続けるイントロに続いて、実に勇ましいメロディのリバーブとトレモロが突っ走ります。
ファズがかったBメロもサーフ魂を煽りたてます。これぞ正にサーフ狂騒曲。nano Holy Grail -Reverb-をHALLモードにし、トレモロエフェクターと組み合わせて弾いても楽しめました。
4 :PAUL REVERE &THE RAIDERS / THE ORBID(1960年)

後に「KICKS」等のヒット曲を放つ、60年代のUSガレージビート・グループ、ポール・リヴィア率いるレイダーズ。これはデビュー期にリリースしていた、アーリー・サーフ・ミュージック・ナンバーのひとつです。
1960年ながら、元祖ヘビメタ様式なイントロでリバーブエンジン全開の波乗りビート。猥雑なサックスは後にメインボーカリストになるマーク・リンゼイとの事。近所に怒られない程度に、HALLモードにしてリバーブガンガンの大音量で弾きましょう。
実はもう一曲「LIKE A LONG HAIR」という、ピアノがメインながらギターがかっこよく絡む、ロッキン・サーフ・インスト(右写真)もあります。正直どちらも同一首位なので、この曲にKOされた方はぜひそちらもチェックしてみてください。
5 :CITY SURFERS - POWDER PUFF(1963年)

後にザ・バーズ のギターリストとして、アメリカン・ロックの歴史に名を刻む事になるロジャー・マッギン。この曲は、1960年代前半にロジャー・マッギンがアメリカの有名シンガー、ボビー・ダーリンの伴奏者として活躍していた、下積み時代に参加したグループのセカンド・シングル。
初期ビーチ・ボーイズ直系のコーラス・ホット・ロッド。このシングルのセッションにはボビー・ダーリンがなんとドラムで参加しているようです。オープニングのアメリカン・カスタム・カーの暴走音をバックに、エンジンを回すようにテンポアップするハイハットのイントロ。
そして、サーフ心のツボを抑えたギター・ソロは、ホット・ロッドな車の効果音と轟音バトル。まだ名もなき、若きロジャー・マッギンの野心が伝わるようで実にカッコいいです。
オリジナルよりもリバーブを強めにして弾いて楽しみました。ちなみにB面曲の「50 MILES TO GO」も、BO DIDDLEYスタイルのナンバーでナイスです。
BONUS TRACK (オマケ): MR. GASSER AND THE WEIRDOS / SURFINK(1964)

1960年代前半に、アメリカで人気を博したキャラクター、ラット・フィンクを生み出したカー・アーティスト、ビッグ・ダディことエド・ロス。
そのエド・ロスが"MR GASSER"の名で結成したサーフ/ホット・ロッド・バンドのアルバム「SURFINK!」のオープニング・ナンバー。ジャケットに描かれたラット・フィンクの叫びのようなサックスをバックに鳴り響く、リバーブの効いたミュート・リズム・ギターが実にハイセンス。コミカルなのに、どこか洒落ているのは、ゲイリー・アッシャーを始めとする西海岸の腕利きたちが一堂に介しているからだと思います。
ホテルのテラスから遠くの海を見つめながら弾きたい、ユルカワ(?)サーフ。モンド・ファンにもオススメです。
さて、nano Holy Grail -Reverb-で弾いて楽しい、サーフ・ミュージックナンバーをいくつかご紹介しました。もちろんサーフミュージック以外でも、このペダルで弾いてみたい曲はたくさんあります。
皆さまのエレハモチックなリバーブ心とサーフミュージック、ホット・ロッドに火が灯される事を期待しつつ、ペンを置くことにします。