TS系でハイゲイン、そう言われてピンとこない方はぜひこの記事をお読みください。
百聞は一見に如かずということで、いきなり動画を貼らせていただきました。いかがでしょうか。要はオーバードライブで音を作るのではなく、アンプで作った音をオーバードライブでブーストする、というわけです。その中でも特にハイゲインアンプをTS系オーバードライブでブーストしたサウンドは、歪みのキレやコシが増した素晴らしいサウンドであるとして、実は数多くのギタリストがサウンドシステムに取り入れています。
クリーンブースターや他のオーバードライブと異なる点としては、TS系のオーバードライブは中域が強く出るため、相対的に低域が削れて、アンプの歪み方がシャープになります。低音が出すぎていると歪ませたときに音がつぶれてしまうため、適度に削ってあげることにより、肥満体が細マッチョになったかのような効果が得られます。
また、クリーンブースターと異なり、アンプの歪みにオーバードライブの歪みを混ぜることになるため、なんとも言えない高音部分の旨味成分が染み出してきます。
ただし歪みを混ぜすぎると音がやせてしまうため、基本的にはオーバードライブ側の歪みは極少に抑えることがカギとなり、音量はアンプがしっかり歪む程度に高く保つ必要があります。
さて、TS系と言われればIbanez TS9をはじめ、数多くのメーカーがコピーモデルやモディファイモデルを発売しています。ハイゲインアンプをブーストする、という用途においては、先述の動画でも用いられているMAXON / OD808が個人的におすすめです。
MAXON (マクソン) / OD808
正直なところ、このOD808が原点にして頂点という感じで、MAXONのODの中では、最高級のゴリゴリサウンドが得られます。
OD808はドライブのツマミをゼロにしても歪みがのるため、基本的にドライブのツマミはゼロがオススメです。加えてバランスはMAX。OD808やTS9などの昔ながらのTSは出力が低いため、ゲインを下げると音量が小さくなってしまうためです。TONEはお好み。回せばまわすほど音がエグくなります←。(12時がオススメです。
欠点をあげるとすれば、使えるセッティングが限られていることです。
先述の通り、ドライブのツマミをゼロにしても歪みが乗るため、逆に言うとそれ以上ゲインを絞ることができません。つまり、もう少しTSの存在感を隠したい、というときにOD808だとブーストがかかりすぎてしまうことになります。
欲張りなことを言うと、たまに気分を変えてアンプをクリーンにしてTSを踏んだ時に、良くも悪くも古き良きTS。もう少しアンプライクな歪みにならないものかと思ってしまう自分がいます。
OD808の素晴らしいブーストサウンドを継承し、さらに幅広い音作りができるペダルがほしい。そう思った瞬間に僕のMAXONオーバードライブ探求は始まりました。
MAXON (マクソン) / OD9Pro+
OD9Pro+は、OD9をベースに改良を加えたもので、最大の特徴はBoost / Normalの切り替えスイッチを搭載していることです。Normalは通常のOD9を継承したサウンド。Boostは通常のOD9のサウンドから、さらに中音域を押し出したサウンドであり、アンプをブーストした時のTSの効き方を、よりアグレッシブにできます。それによって、さらに深いサチュレーションを得ることができます。
また、ゲインの調整幅が若干広くなっており、ゲインを最小に絞ることで、歪みのないクリーンなサウンドを得ることができるため、TSによるゲインブーストの量感をさらに微調整することができます。
MAXON (マクソン) / VOP9 Vintage Overdrive Pro
VOP9はOD9とは若干サウンドの質感が異なり、OD9に比べて若干高域と低域が強調レされた、レンジの広いサウンドとなっています。また、ドライ音とウェット音をブレンドして出力する、ミクスチュア回路の恩恵で、音が立体的で、よりアンプライクなサウンドを実現しています。さらにDRIVEのツマミをゼロに設定すると、オーバードライブサウンドをオフにした、クリーンブースト出力になることも特徴の一つです。一方、中域の押し出しが若干おとなしいため、808のアグレッシブなブーストに比べて、若干マイルドなブーストとなります。
MAXON (マクソン) / OOD9 Organic Overdrive
OOD9は、オーガニックオーバードライブという名前の通り、かなりナチュラルな歪みが得られるペダルです。ほかのモデルよりゲインが高く設定されているためか、アンプの歪みに混ぜると若干サウンドのレンジが狭くなる印象で、808や9系とはかなり違った雰囲気のODです。
実を言うとあまりじっくりと試せていない機種の一つなのですが、第一印象としては、アンプをクリーンにして踏んだ時にかなりガッツのある音が出ていた印象です。
個人的にはTONEツマミを持たないシンプルなデザインがグッとくる一台です。
いかがでしたでしょうか。
まだまだMAXONのODペダルはたくさんありますが、筆者が試した経験がある4機種を紹介してみました。すべてのペダルに共通して言えることは、MAXONらしい丁寧な作りが感じられる仕上がりになっていることだと思います。
アンプ直派のメタラーのみなさん、この機会にぜひMAXONのオーバードライブを足もとに加えてみてはいかがでしょうか。