ライブを盛り上げるために絶対に必要なものと言えば、ミュージシャンの想いを「大音量、大迫力、高音質」なサウンドにして伝える「PAスピーカー」です。
今回は、スピーカー界のトップブランドJBLの最新パワードスピーカー「PRX900シリーズ」をご紹介します。
1つ前に新発売された「EON700シリーズ」と比べてみました。
外観、入出力端子
左:PRX912、右:EON712

高さは、PRX912の方が少し低いですがほぼほぼ同じです。


奥行もほぼ同じですが、PRX912のほうが短いです。どちらも天面にハンドルがついていますが、どちらも握りこみやすくて持ち運びしやすいようにデザインされています。

横向きにしてフロアモニターとしても使えるようになっており、安定性も抜群です。

リアパネルは、EON700シリーズと異なる部分があります。
PRX900シリーズには、入力チャンネル1と2にパススルー出力端子があり、システムの拡張性が向上しています。また、チャンネル3にはEON700シリーズには無いステレオミニ出力端子があり、スマートフォンやプレーヤーの接続にも対応となっています。
※PRX900シリーズは、Bluetooth音楽再生には対応していません。
高機能DSPについて
PRX900シリーズには、EON700シリーズ同様にカラー液晶ディスプレイが搭載されており、MAIN / MENUノブを使用して、様々な設定をスピーカー本体だけで行うことができます。専用のコントロールアプリ「JBL Pro Connect」の画面も併せて見てみましょう。
DBX DriveRack Output


AFSは、「Automatic Feedback Suppression」の略で「ハウリングを自動で抑制」してくれるというものです。PAで起こると困るハウリングは、特定の周波数がマイク→スピーカー→マイクとループすることにより起きるノイズで、イベントの雰囲気を損なうだけでなく、スピーカーを故障させる原因にもなる厄介なものです。ベテランのPAさんともなると長年の勘でパッとEQを操作して対応できるかもしれませんが、多くの場合はそうじゃないと思います。PRX900シリーズではこの機能をONにするだけでそれができてしまいます。とりあえずここはONにしておくことをおすすめします。
EQ画面では、低域をブーストしてサウンドに厚みを持たせることもBass BoostをONにするだけで簡単にできます。
Limiterは、瞬間的な過大入力からスピーカーを保護したり、マスターミックスの一番大きな音を意図的に抑えることができるプロセッサーです。

12バンドのパラメトリックイコライザーは、バンドごとに中心周波数(Frequency)、ブースト / カット(Gain)の他、ピンポイントで上げ下げしたり、大まかな範囲で上げ下げしたりできるようにバンド幅(Width)も調整することができます。
Pass Thru & Time Align


この画面では、「PRX900スピーカーから出力する音」と「MIX OUTから出す音」を調整することができます。一番上に表示されているプリセットを使用すると簡単に最適なセッティングを呼び出すことができますが、Customを選ぶことにより、各パラメーターを自由にセッティングすることも可能となります。
広い空間で開催されている音楽イベントで離れたスピーカーからやまびこのように時間差で聴こえたという経験はありませんか?Delayはその時間差を調整することができる機能です。例えば、MIX OUT出力を客席後方に設置されたフルレンジスピーカーに接続する時は、客席から近い方のスピーカーからの出力を遅らせてあげます。また、ステージ前方にサブウーファー、ステージ上にフルレンジスピーカーを設置した場合にもディレイを使用します。この構成では、MIX OUTに接続したサブウーファーは、客席に近い位置にあるため、フルレンジスピーカーに比べてわずかですが遅らせることにより、低域と高域がピッタリ合った気持ちの良い音で鳴らすことができるようになります。
Setting

この画面の「Bluetooth Control Pairing」では、PRX900スピーカーとスマートフォン、またはタブレットをペアリングし、専用アプリ「JBL Pro Connect」を使用可能にすることができます。
※Bluetoothは1対1の通信となるため、複数のデバイスで同じスピーカーをコントロールすることはできません。
ペアリングはとても簡単です。
1. スピーカー側で「BT Control Pairing」にカーソルを合わせてMAIN / MENUつまみを押します。

2. JBL Pro Connect画面のSetupを選び、「Add Speakers」をタッチします。

3. ペアリングするスピーカーの「Connect」をタッチすると、スピーカー本体側の液晶ディスプレイに「Pin number is 〇〇〇〇/Do you want to connect?」と表示されるので「Yes」にカーソルを合わせてMAIN / MENUつまみを押します。アプリ画面上の表示が「Connected」に変わったら完了です。



G-Sensor

PRX900シリーズに、搭載されたユニークな機能がこの「G-Sensor」です。
Automatic Position Detect optimizes tuning based on main or monitor orientation
日本語にすると「自動位置検出機能により、メインやモニターの向きに応じて最適なチューニングを実現」です。これはスピーカーを縦向きにして使用する時が「Main」、横向きにして床置きする時が「Monitor」になり、それぞれに最適なEQに変えてくれるものとなります。マニュアルやメーカーサイト商品ページに具体的な周波数やブースト/カット量というのは公開されていませんが、「Auto」の状態でスピーカーを横向きにすると、低音が抑えられ、モニターしやすいスッキリとしたサウンドに変わるのを体感することができました。ステージ上でいろいろな用途で使う場合にポジションを変えるだけで対応できる便利な機能です。
サウンドキャラクター
これは私個人の感覚での話になりますが、EON700シリーズも発売時に試聴した時に「良い音」だなと感動していたので、上位シリーズとなるPRX900シリーズにどのような違いを感じるかワクワクしていました。実際に交互に鳴らし比べてみると、確かに違いがあります。PRX900シリーズのほうが、スピーカー自体の重量があり、アンプ出力W数が大きいことも影響してか、低域の芯と輪郭に、より音圧と厚みが加わっていて、中高域も、より押し出し感があり、音飛び、抜けの良さが増しているように感じました。シンプルにEON700シリーズのサウンドと比べて、すべてにおいてグレードアップしているという表現がしっくりきます。
サウンドハウスでは、いち早くJBLパワードスピーカーの比較動画を用意しましたのでぜひヘッドホンでじっくり聴き比べしてみてください。
いかがでしたでしょうか。
今回、新たに加わったPRX900シリーズは、説明文にもあるように「PAシステムを新たな次元に引き上げてくれる」「グレードをワンランクもツーランクもアップさせてくれる」高音質、高機能を備えたパワードスピーカーです。より良い音で音楽イベントの成功をサポートしてくれるPRX900シリーズ、ぜひチェックしてみてください!!
ご購入者様向けに
初回ペアリング時には「ファームウェアのアップデート」をお願いします。
手順は下記となります。
1. JBL Pro Connectの「More」画面に表示されている「Firmware Update」をタッチしてください。

2. 「Firmware Updated」の右端にあるマークをタッチすることでファームウェアのアップデートが始まります。100%になるまで数分かかりますので何も触らずに待ちます。

3. 100%になった後、もうしばらく待つと自動的にスピーカーが再起動されて完了となります。

4. 万が一、アップデートの途中でアプリを閉じてしまったり、スピーカーの電源が落ちてしまったりしたことにより、中断してしまった場合は、そのままで再度電源を入れても液晶ディスプレイに「アップデートをしてください」というメッセージが表示され使用することができません。スピーカーの電源を入れて、アプリのファームウェア画面を立ち上げるとアップデートを再開することができますので完了まで進めてください。