ついに発売となった話題沸騰中のオーディオインターフェイス、AVID「Mbox Studio」。
多彩な機能とハイグレードな音質が特徴ですが、今回は実機をご用意して実際の使い勝手をレビューしていきます!
まず、Mbox Studioがどんなオーディオインターフェイスなのか、その機能を中心に特徴を書き出してみます。
・4 つのマイク・プリアンプ
・最大21in / 22out ※デジタル入出力含む
・ギター等の楽器入力は「VariableZ」可変インピーダンスにより最適なサウンドに調整可能
・DSPエフェクト搭載(EQ、リバーブ、ディレイ)
・プリセットをボタン割り当てして1ボタンで呼び出し可能
・スマホなど接続可能なBluetooth入力
・ワイヤレス・ヘッドホンなど接続可能なBluetooth出力
・MIDI入出力
・チューナー機能内蔵
・ループバック機能
・トークバック・マイク内蔵
・リアンプ出力
・ペダルエフェクターも使用可能なデュアル・チャンネルFXループ
・130 を超えるプラグインをバンドル
・MBOX Control アプリで詳細設定のコントロール
ざっと書き出しただけでもこれだけの機能が満載されています!
入出力それぞれに搭載されたBluetooth機能も非常に気になりますが、ギタリスト向けの機能が多いことに驚きます。
Mbox Studioだけの機能もあり、たくさんボタンがあり、見た目も含めてワクワク感に溢れた製品です!
今回はこの中から特筆すべき機能をピックアップして実際の使い勝手をチェックしていきましょう。
その前に、まずはその外観や一番大事な音質について確認します。
外観

ワークステーションの中心としてどっしり鎮座する感じになります。
男子憧れのコックピットのようで、なぜかテンションが上がります!
ボタン配列については、向かって左側は入力関連、右側は出力関連とはっきり分かれているので、ボタンが多い割には迷うことなく操作できます。
抜き差しが多くなりがちな端子は手前側に、普段から接続しておくようなものは奥側に端子があるため、理にかなったデザインです。

音質
まずはメイン出力の音質をチェック。
さすがAVIDと言えるような極めて高解像度で正確なサウンド。低域もどっしりと重心が低く、安定感のあるモニタリングが可能です。より高価格帯のインターフェイスとも比較してみましたが、全く遜色ありません!
二つ搭載されたヘッドホン出力もメイン出力の好印象そのままに、歪みのないクリアなサウンド。
マイクプリは余計な色付けがなく、素材の音をそのままキャプチャーしてくれます。Pro Tools CarbonやVenue S6Lに搭載されているものと同じとのことです!
多彩な機能面を差し引いても、信頼できるハイグレード・オーディオインターフェイスとして活躍してくれそうです。
続いて機能を一つずつ実際に使用しながら解説していきます。
Bluetooth入出力
Bluetooth機能は入力と出力にそれぞれ搭載されています。
そのため、入力側にはスマホなどを接続してスタジオモニターやヘッドホンから音楽を流したり、スマホのサウンドを録音することが可能。
出力側ではAirPodsなどの完全ワイヤレスイヤホンやBluetoothヘッドホンなどを接続してミックスを確認することが可能です。
■ 入力側
1. 本体左側のBluetoothボタンを長押ししてペアリングを開始します。

2. スマホ側では「MBOX IN XXXX」の名称で表示され、これを選ぶことで簡単にペアリングが完了。
iPhoneのミュージックアプリから好きな曲を再生したところ、難なくスタジオモニターから出力されました!
スタジオモニターでスマホから手軽に好きな曲が聴けるのは何気にすごく便利です!なんで今までできなかったんだろう?と疑問に思うほど自然な使い心地。
サクッとリファレンス用の曲を流して自分のミックスと比較するなど、ミックス作業時にも一役買ってくれそうです。
■ 出力側
1. 本体右側にあるBluetoothボタンを長押し
2. ボタンが点滅したらBluetoothイヤホン/ ヘッドホン側でペアリング・モードにする。(お持ちの機器により操作は異なります)

3. モニターのノブを押してBluetoothアイコンに合わせればBluetoothイヤホン/ ヘッドホンから出力されます!
こちらも非常に簡単に使用することができました!日常使いしているイヤホンでミックスを確認すると新たな発見もあり、作品のブラッシュアップに繋がっていきそうです。
なお、モニターのノブを押すとモニターから出力するかBluetoothデバイスから出力するかどちらか選ぶことになりますが、Mbox Controlから両方同時に出力するよう設定することも可能です。
ただし、Bluetoothデバイスはわずかにタイムラグがあるため、同時出力は聞き方によってはちょっと気持ち悪い感じになります。
Bluetoothスピーカーなどからも出力可能なので、別のスピーカーでミックスをチェックしたりという用途にも最適です。
リアンプ出力
個人的にリアンプ作業はそれなりに準備の手間がかかる作業、という認識がありましたが、Mbox Studioでは本体手前に「Hi-Z OUT TO AMP」の端子が用意されており、リアンプ開始の心理的ハードルをかなり下げてくれています。

「Hi-Z OUT TO AMP」からアンプにシールド一本繋げばリアンプした時のサウンドがすぐ確認できるため、実際にリアンプすべきかどうかもすぐに判断がつきます。
クリエイティブな作業をするにあたってフットワークの軽さってとても重要だなと改めて感じました。
DSPエフェクト
Mbox Controlソフトウェア上で、EQ、ソフトリミッター、リバーブ、ディレイがかけられます。
モニターの音声にだけエフェクトをかけるか、DAWにも送るかを選べたり、ヘッドホン出力だけエフェクトを適用するなど、自由なルーティングが可能です。
EQはパラメトリック・イコライザーになっており、小さい画面ながら直感的にしっかり効いてくれるEQです。

リバーブはSmall / Medium / Large、またそれぞれHall / Churchから選べるため、用途に応じて必要な効果が得られます。クリアで心地よいリバーブ。
ディレイは最大320msまでと比較的短めのディレイですが、ローパス・フィルターやモジュレーションを付加できるなど、原音に馴染ませやすいディレイです。

ソフトリミッターは、コンプレッションを感じさせない非常に自然なリミッティングで、ダイナミクスの大きい音源には最適です!
Variable-Z
マイクでもギターなどの楽器入力でも、インピーダンスが調整可能です。
リボンマイクやマイクプリを接続する際にはダイナミックマイクより高めのインピーダンス設定が適切とされているため、どんなマイクや機器にも対応してくれる安心感がありますね。
楽器入力はさらに細かく7種からインピーダンス選択が可能。コンデンサーを挿入するモードも用意されており、ギターなど楽器の特性を最大限引き出してくれます。

確かにインピーダンスの数値を変えるとはっきりと音質も変わります。個人的には一番高いインピーダンスがダイレクトな質感で好みでしたが、求めるサウンドや、ギターの種類、同時に使用するアンプシミュレーターなどによっては別の選択がしっくりケースも多くありそうと感じました。
チューナー機能
文字通りチューナー機能がついていますが、これが想像以上に便利!
インターフェイス本体だけでも繊細なチューニングが可能ですが、PCと繋がっていればチューナーボタンを押すとPC上でもチューナーが立ち上がります。
こちらも使ってみるとなんで今まで付いてなかったのか不思議なほど自然な使い勝手です。


左下のメーターを見ながらチューニングして、ピッチが合うとグリーンに変わる
デュアル・チャンネルFXループ
アウトボードやペダルエフェクター用にセンド・リターン端子が付いています。2系統あるためモノラルでもステレオでもOK。

ペダルエフェクターを接続する際にはハイ・インピーダンスに変更できるため、そのポテンシャルをしっかり発揮できます!
こういったFXループはルーティングが面倒に感じがちですが、初見でもMbox Controlから迷わず設定できました。
まとめ
まだまだ特筆すべきポイントが多数ありますが、個人的にもっと使い込んでから紹介したい機能もあるため、次回に持ち越したいと思います!
Mbox Studioは、機能をただたくさん盛り込んだというものではなく、それぞれの機能に哲学があるように感じます。
令和時代のレコーディングに本当に必要な機能を追求した結果として、現在のスタイルにたどり着いたというような必然性があります。
そのため、最初は一見してボタンが多いと感じましたが、現在はその印象は180°変わって無駄な機能は一切なく洗練されていると感じます。
新たな音楽制作の在り方を提案するオーディオインターフェイス、Mbox Studio。
その懐の深さを次回さらに掘り下げていきます!